ビルドアップの意味とは?戦術的な考え方も詳しく解説!
現代サッカーにおいて非常に重要視されているビルドアップですが、サッカー用語として定着しています。ここではサッカーでのビルドアップとはどのようなもので、どんな意味があり、どうして重要視されるプレーなのかを解説していきたいと思います。
2022.12.06
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サッカー
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ビルドアップの意味とは?
サッカーの試合の解説や戦術解説でよく使われるサッカー用語にはその意味がよくわからないものが多いです。その中でも最近特に頻繁に使われる用語にビルドアップというものが、この意味とはどのようなものか説明していきます。
後方からボールを繋いで前に運ぶことを意味する
サッカーにおいてビルドアップとは、自陣後方から前方まで主にパスを活用してボールを運んでいくことを指します。一般的なサッカーではディフェンシブサードからミドルサードまでのパスワークのことを意味する用語というわけです。
味方選手が適切な距離感と適切なスペースを埋めることで安全で最適なパスコースを確保し、敵前線が行うプレッシングを確実に回避しつつ、相手陣内へとボールを運んでいくのです。
このためビルドアップとは味方の攻撃戦術の起点となるプレーとされ、どのようにビルドアップを
行っていくかはチーム戦術の基盤となるものとされています。これはビルドアップという概念が相手ゴールから逆算して考えられた概念だからなのです。
味方選手が適切な距離感と適切なスペースを埋めることで安全で最適なパスコースを確保し、敵前線が行うプレッシングを確実に回避しつつ、相手陣内へとボールを運んでいくのです。
このためビルドアップとは味方の攻撃戦術の起点となるプレーとされ、どのようにビルドアップを
行っていくかはチーム戦術の基盤となるものとされています。これはビルドアップという概念が相手ゴールから逆算して考えられた概念だからなのです。
セーフティで的確なパスワークが要求される
主にサッカーにおいてビルドアップは自陣ゴール前のGKからのパスを開始点とするため、ビルドアップ中のパスは確実でセーフティなものが求められます。
なぜならビルドアップ中のパスを相手選手にカットされた場合、自陣ゴール近くで相手にチャンスを与えてしまうことになるからです。
適切なスペースに入り込み、ボールホルダーに複数の選択肢を与えるようなプレーを求められるため、チーム練習として何度も反復しておかなければ成立しない戦術プレーがビルドアップだと言えるでしょう。また相手のゴールを奪うために確実にボールを繋いでいくためにも、パスワークを磨きビルドアップ能力を高めることは大切です。
なぜならビルドアップ中のパスを相手選手にカットされた場合、自陣ゴール近くで相手にチャンスを与えてしまうことになるからです。
適切なスペースに入り込み、ボールホルダーに複数の選択肢を与えるようなプレーを求められるため、チーム練習として何度も反復しておかなければ成立しない戦術プレーがビルドアップだと言えるでしょう。また相手のゴールを奪うために確実にボールを繋いでいくためにも、パスワークを磨きビルドアップ能力を高めることは大切です。
チーム戦術の志向を問わず重視されるビルドアップ
サッカーにおいてビルドアップはマイボールを維持しながら攻めあがる戦術のため、ポゼッション戦術と親和性が高いとされています。的確で安全なビルドアップはそのまま攻撃戦術の成功に繋がると言えるからです。
またパス能力やスペース管理能力の高い中盤の選手も必須となるため、これもポゼッション戦術と相性が良い面だと言えます。
ただしカウンター志向の速い攻撃戦術を行う場合でも、ミドルサードまで確実に運んでからプレッシャーを受けない状態の味方ボランチのロングフィードを活用するためにビルドアップを重視するチームもあり、一概にビルドアップがポゼッション戦術かと言うと、そうとは言い切れない場合も多々あります。
またパス能力やスペース管理能力の高い中盤の選手も必須となるため、これもポゼッション戦術と相性が良い面だと言えます。
ただしカウンター志向の速い攻撃戦術を行う場合でも、ミドルサードまで確実に運んでからプレッシャーを受けない状態の味方ボランチのロングフィードを活用するためにビルドアップを重視するチームもあり、一概にビルドアップがポゼッション戦術かと言うと、そうとは言い切れない場合も多々あります。
重要度を増したビルドアップの意味するもの
このように現代サッカーにおいてはマイボールを維持するために重要な戦術プレーがビルドアップとなっています。
一昔前のサッカーではパスを繋ぐことに長けたMFがいない、または少ないチームは必然的にカウンター志向となり、当然ビルドアップを放棄して前線へロングフィードを繰り返すサッカーを行っていました。
しかし戦術的に進化した最新のサッカーではマイボールを維持することでチーム戦術のクオリティを上げるサッカーが主流となってきたため、戦術性を高める意味でも現在ビルドアップを放棄するチームは皆無と言えます。
欧州5大リーグなどでは強豪クラブ顔負けの素晴らしいビルドアップを披露する下位クラブも多く存在し、この点からも現代サッカーの戦術を語る上で外せないプレーとなっています。
一昔前のサッカーではパスを繋ぐことに長けたMFがいない、または少ないチームは必然的にカウンター志向となり、当然ビルドアップを放棄して前線へロングフィードを繰り返すサッカーを行っていました。
しかし戦術的に進化した最新のサッカーではマイボールを維持することでチーム戦術のクオリティを上げるサッカーが主流となってきたため、戦術性を高める意味でも現在ビルドアップを放棄するチームは皆無と言えます。
欧州5大リーグなどでは強豪クラブ顔負けの素晴らしいビルドアップを披露する下位クラブも多く存在し、この点からも現代サッカーの戦術を語る上で外せないプレーとなっています。
ビルドアップでのサッカーの変化とは?
ビルドアップが現代サッカーの戦術上、重要な意味を持つプレーとなってきているわけですが、この影響によってサッカー選手に求められるものも変化してきています。現代サッカー選手に求められるものとはどのようなものがあるのか、ビルドアップの面から解説していきます。
サッカーのビルドアップにおけるGKの役割
サッカーのビルドアップは必ず後方のゴール前にいるGKからのパスを開始点としますから、GKを担う選手の役割は重要です。
ビルドアップを含めたサッカーにおいては、セービング能力などにプラス適切なパス能力も求められるのがGKです。
従来型のGKであれば大きくボールを蹴れればとりあえず問題なかったのですが、ビルドアップを行う上では最適な強さとコントロールを備えたショートパス能力や、遠目のスペースに移動した味方選手の足元へ確実にパスする能力が必要になってきています。
代表的な選手だと、マンチェスター・シティのエデルソンが最もビルドアップに最適化したGKでしょう。
ビルドアップを含めたサッカーにおいては、セービング能力などにプラス適切なパス能力も求められるのがGKです。
従来型のGKであれば大きくボールを蹴れればとりあえず問題なかったのですが、ビルドアップを行う上では最適な強さとコントロールを備えたショートパス能力や、遠目のスペースに移動した味方選手の足元へ確実にパスする能力が必要になってきています。
代表的な選手だと、マンチェスター・シティのエデルソンが最もビルドアップに最適化したGKでしょう。
サッカーのビルドアップにおけるDFの役割
CBはGK同様フィジカルが重視されてきたポジションですがビルドアップではパスワークの中心とならなければいけないため、パスの正確さは絶対に必要とされるポジションとなりました。
またビルドアップによってミドルサードに侵入した後は、サイドや相手DFラインの後方へのロングフィードが行うことでボランチのようにオフェンス戦術の中心にもならなければいけなくなっています。
代表的な選手は、ユベントスのボヌッチ、レアル・マドリーのセルヒオ・ラモスなどです。
またビルドアップによってミドルサードに侵入した後は、サイドや相手DFラインの後方へのロングフィードが行うことでボランチのようにオフェンス戦術の中心にもならなければいけなくなっています。
代表的な選手は、ユベントスのボヌッチ、レアル・マドリーのセルヒオ・ラモスなどです。
サッカーのビルドアップにおけるSBの役割
SBはビルドアップ時には左右で高いポジショニングを行いボランチが降りるスペースを空けつつ幅をとり、相手のプレッシング距離を広げることで間接的にビルドアップを助けます。
またチーム戦術によっては幅をとる役目をウィングに任せ、ボランチポジションに入り込むことで中盤の数的有利を作り出したり、逆にCBのラインまで降りてそこで数的有利を作る動きなど、非常に戦術的で高度な意味を持つポジショニングが求められます。
攻撃ではサイドで幅をとりながら起点となったり、あるいはFWの開けたトレイラーゾーンを活用するなど、SBは現代サッカーにおいてもっとも変化したポジションだと言えます。代表的な選手は、レアル・マドリーのマルセロ選手でしょう。
またチーム戦術によっては幅をとる役目をウィングに任せ、ボランチポジションに入り込むことで中盤の数的有利を作り出したり、逆にCBのラインまで降りてそこで数的有利を作る動きなど、非常に戦術的で高度な意味を持つポジショニングが求められます。
攻撃ではサイドで幅をとりながら起点となったり、あるいはFWの開けたトレイラーゾーンを活用するなど、SBは現代サッカーにおいてもっとも変化したポジションだと言えます。代表的な選手は、レアル・マドリーのマルセロ選手でしょう。
サッカーのビルドアップにおけるMFの役割
従来のように中盤にいるだけのMFは現代サッカーではほぼ通用しなくなっています。ビルドアップ時にそれは顕著で、中盤の位置でリンクマンとなるだけではなく、DFラインまで降りてCBのパスワークを助けたり、CBとSBの間に降りて相手プレスを誘導するなど、SB同様に高度な意味を持ったポジションでビルドアップのサポートを行わなければいけません。
またビルドアップ中のパスワークにおいて前を向いてボールを保持できた場合は、前線の動きを見ながら効果的なパスを行う役割もあります。代表的な選手は、チェルシーのジョルジーニョでしょう。
またビルドアップ中のパスワークにおいて前を向いてボールを保持できた場合は、前線の動きを見ながら効果的なパスを行う役割もあります。代表的な選手は、チェルシーのジョルジーニョでしょう。
サッカーのビルドアップにおけるFWの役割
ビルドアップではウィングを含むFWの役割は前線に張ることよりも中盤に降りて縦パスを受ける役割が重視されます。
なぜならビルドアップのためにポジションバランスを崩して後方に下がっているMFが空けたスペースを埋めつつ、パスコースを増やすことが重要だからです。このためボールをおさめるトラップ技術やワンタッチではたく視野の広さが求められ、しかも中盤の数的有利を作り出す戦術眼など、従来のストライカーの役割だけでは務まらないポジションとなっています。
代表的な選手は、ユベントスのディバラやリバプールのフィルミーノなどです。
なぜならビルドアップのためにポジションバランスを崩して後方に下がっているMFが空けたスペースを埋めつつ、パスコースを増やすことが重要だからです。このためボールをおさめるトラップ技術やワンタッチではたく視野の広さが求められ、しかも中盤の数的有利を作り出す戦術眼など、従来のストライカーの役割だけでは務まらないポジションとなっています。
代表的な選手は、ユベントスのディバラやリバプールのフィルミーノなどです。
ビルドアップの型について解説
サッカー観戦をしているとビルドアップには一定のパターンがあることがわかってきます。後方から安全に確実にボールを運ぶために必要なポジショニングやスペースメイクは、シンプルであることが大切で、複雑なポジションチェンジやパスワークはミスを誘発しやすく、またオートマチックなプレーとして確立するのが難しいためです。
サッカーのビルドアップにはどのような型があるのかを図で解説します。
サッカーのビルドアップにはどのような型があるのかを図で解説します。
ボランチが降りて数的有利を作り出す型①
サッカーのビルドアップではボランチのポジショニングが重要です。最も一般的なのは世界最強と呼ばれたころのバルセロナが確立したボランチの選手がCBの間に降りてパスワークの中心になる型です。
主にビルドアップという用語が用いられる際はこの形がスタンダードにイメージされていると思います。GKを含めて4人がパスコースを作り出すため、プレッシングを剥がして前に運ぶ際に抜群の安定感を誇ります。
ただしボランチが1枚減った中盤の数的不利をどのように解消するかも大切で、後方で保持しているだけのビルドアップでは意味がないため、FWが1枚下がったりウィングなどのサイドの選手が中に入るなど、連動しなければいけません。
主にビルドアップという用語が用いられる際はこの形がスタンダードにイメージされていると思います。GKを含めて4人がパスコースを作り出すため、プレッシングを剥がして前に運ぶ際に抜群の安定感を誇ります。
ただしボランチが1枚減った中盤の数的不利をどのように解消するかも大切で、後方で保持しているだけのビルドアップでは意味がないため、FWが1枚下がったりウィングなどのサイドの選手が中に入るなど、連動しなければいけません。
ボランチが降りて数的有利を作り出す型②
主にダブルボランチのフォーメーションの場合のビルドアップで活用される型です。ボランチの片方が高い位置のスペースへ移動したSBが空けたスペースに入りビルドアップをサポートします。
片側に相手のプレスを誘導したあとに逆サイドへ展開する際にこの形になることでサイドでの数的有利を作り出して、素早いサイドアタック戦術を行うときに活用します。
片側に相手のプレスを誘導したあとに逆サイドへ展開する際にこの形になることでサイドでの数的有利を作り出して、素早いサイドアタック戦術を行うときに活用します。
ボックス型ビルドアップの型
4バックでダブルボランチのフォーメーションで使われる型です。中央にCBとボランチでボックスの形を作り、この中に相手プレスを置いてコントロールしながら前に運びます。
パスコースが多く数的有利であればかなり安定する形ですが、後ろ向きにプレーすることが多いボランチはボールを捌くのが難しくなるため、前を向いたSBが高い位置ではなく横でサポートする必要があり、若干サイド攻撃が鈍くなりがちです。
選手の個性に合わせて導入する必要がありますが、ボランチがDFに降りないことで中盤の人数は揃っているので、前線にボールが入ったあとの攻撃戦術のバリエーションが広がるのがメリットだと言えるでしょう。
パスコースが多く数的有利であればかなり安定する形ですが、後ろ向きにプレーすることが多いボランチはボールを捌くのが難しくなるため、前を向いたSBが高い位置ではなく横でサポートする必要があり、若干サイド攻撃が鈍くなりがちです。
選手の個性に合わせて導入する必要がありますが、ボランチがDFに降りないことで中盤の人数は揃っているので、前線にボールが入ったあとの攻撃戦術のバリエーションが広がるのがメリットだと言えるでしょう。
3バックシステムにおけるビルドアップの型
ビルドアップを安定させることにプライオリティをおいた戦術では3バックシステムを導入することが多いですが、4バックよりもパスコースが増え、よりポゼッションよりのビルドアップができる特徴があります。
ボランチがスペースを空けて降りなくとも後方の数的有利が確立できるビルドアップですが、ウィングバックとなるサイドの選手が高い位置を取らないと後ろが重い攻撃に陥りやすく、単発の攻撃で終わってしまいがちなため、選手全員の共通認識が必要なビルドアップとなります。
ボランチがスペースを空けて降りなくとも後方の数的有利が確立できるビルドアップですが、ウィングバックとなるサイドの選手が高い位置を取らないと後ろが重い攻撃に陥りやすく、単発の攻撃で終わってしまいがちなため、選手全員の共通認識が必要なビルドアップとなります。
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ビルドアップとはこのディフェンシブサードからミドルサードまでをパスワークで運んでいくプレーを意味する。
この2つのエリアでのボールロストは相手のショートカウンターのチャンスとなってしまうため、現代サッカーではビルドアップの精度を非常に重要視する。