サッカーで起きた悲劇とは？サッカーファンなら知るべき14の悲劇

サッカーの悲劇とは、決して忘れてはいけない歴史的な敗北や大規模な死者を出す事故や事件のことを指します。人々のエンターテインメントの1つであるサッカーは、ときに関わる人々へ悲しみをもたらす悲劇を生み出してきました。

サッカーに関連して起きた悲劇には1950年代からの長い歴史があり、悲劇の記録は、今もなお人々の記憶に強く刻まれています。

サッカーに関連する悲劇の歴史は、第二次世界大戦後の1950年代から始まりました。悲劇が起こり始めた理由は、1950年代以降に欧州各国リーグを交えた国際大会が開催されるようになり、サッカーが国際的な盛り上がりを見せたことです。

サッカーに関連して起きた悲劇は、世界的に大きなニュースとして取り上げられ報道されています。発生した悲劇はその後の歴史に記録され、後世へと伝えられていきました。

サッカーの悲劇には、試合に関連する悲劇と人命にかかわる悲劇の2種類が存在します。前者は悲劇的な敗北を意味し、サッカー史に残る大敗や劇的な敗北を喫した試合のことです。

後者はより深刻で、サッカーに紐づく行為のなかで、死者が出てしまった事件や事故のことを指します。サッカーでは、稀に飛行機移動で事故や、試合中に死者が出ることが起こるため、試合に関連する悲劇とは異なった意味の悲劇として記録されています。

サッカーでは、歴史に刻まれる敗北がいくつか存在します。特に有名な敗北には、次の4つの事件があります。

・ドーハの悲劇
・ロストフの悲劇
・マラカナンの悲劇
・ミネイロンの悲劇

4つの敗北は、まさしく悲劇というほかないほど残酷で、劇的な出来事でした。

ドーハの悲劇とは、1993年に開催されたワールドカップアジア地区最終予選日本代表vsイラク代表の試合の通称です。日本代表は終盤まで2‐1と優位に進めながら、ロスタイムの失点で2‐2の引き分けに終わりました。

ワールドカップ初出場を賭け予選2位の座を争っていた日本代表は、この試合で韓国に得失点差で後れを取り、ワールドカップ出場権を逃す結果に終わりました。日本人のなかでは最も印象的な悲劇の1つです。

14秒ともいわれるロストフの悲劇とは、2018年のロシアワールドカップ決勝ラウンド1回戦の日本代表vsベルギー代表の試合のことです。

日本代表は、強豪ベルギーを相手に終盤までリードし、ロスタイムには2－2という善戦を繰り広げていましたが、後半ロスタイム3分に日本がベルギーのカウンターから失点し、2－3で敗戦しました。劇的な幕切れでベスト8入りを逃したショックは大きく、語り継がれる悲劇となりました。

マラカナンの悲劇は、1950年にマラカナンで行われたワールドカップ決勝リーグで、ウルグアイを相手にブラジルが優勝を逃した試合の通称です。

ブラジルは、強豪ひしめく決勝リーグのなか、最終戦でウルグアイ相手に優位に試合を進め引き分け以上で優勝の状況でしたが、後半の34分に逆転され敗戦しました。期待が高い地元開催のワールドカップで優勝を逃したことは、ブラジル国民のなかに大きな悲劇として記憶されました。

ミネイロンの悲劇とは、2014年のワールドカップブラジル大会の準決勝で、ブラジル代表がドイツを相手に1‐7の惨敗を喫した試合の通称です。

ブラジルは、マラカナンの悲劇の雪辱を晴らすために臨んだ地元開催のワールドカップで、途中までは順調に勝ち上がっていました。しかし、同じく優勝候補のドイツとの準決勝で対戦が1‐7の悲劇的なスコアでの敗戦となり、マラカナンの悲劇が塗り替えられた瞬間となりました。

サッカーでは時に試合の勝ち負けとは全く関係のないところで、病魔が不慮の悲劇を起こすことがあります。サッカーは激しいスポーツなため、試合中に心臓の問題で命を落とす選手たちが多いです。悲劇的な死を遂げた選手で有名な選手は、次の3名です。

・ダニ・ハルケ
・アントニオ・プエルタ
・マルク・ヴィヴィアン・フォエ

彼らの若すぎる死は、今なお人々に悲しみを刻みつけています。

ダニ・ハルケは、2009年8月8日に、フィレンツェのホテルで急性心筋梗塞が原因で26歳の若さで急死しました。若い頃から代表入りを果たしていたスペインの有名選手だっただけに、ハルケの死がスペインのサッカー界に及ぼした悲しみは計り知れないものでした。

後にスペインがワールドカップで優勝したときに決勝ゴールを決めたイニエスタは、ハルケへのメッセージを書かれたシャツを見せ、優勝を亡き級友に捧げました。

アントニオ・プエルタは、欧州のビッグクラブも熱視線を送るほどの期待の有望株でしたが、2007年8月25日に開催された開幕戦で倒れ、遺伝性の心筋梗塞が原因で22歳の若さで死亡しました。

プエルタが試合中に亡くなったことへの反響は大きく、スペイン中に悲しみが広がりました。所属していたセビージャのホームでは、現在もプエルタの背番号だった前半16分に彼の応援歌が歌われるなど、存在が記憶され続けています。

マルク・ヴィヴィアン・フォエは、2003年6月26日、カメルーン代表で臨んだコロンビア代表との試合で肥大性心筋症で倒れ、亡くなりました。

イングランドやフランスで順風満帆なキャリアを歩んできたフォエの突然の死は驚きと悲しみを呼び、同じ大会へ参加していた代表選手たちは皆、フォエの死を悼みました。所属していたマンチェスター・シティでは、フォエの背番号23は永久欠番として登録しています。

サッカーで起きた悲劇の事故とは、サッカーに関連して起きた大規模な事故のことです。サッカーでは、戦後から国際大会が盛んになり、異国間や大陸間を飛行機で移動することが多くなりました。飛行機での移動では、いくつかの大きな事故が起きています。

一方、試合会場内での事件・事故なども少なくありません。特に過激なサポーター同士の争いは、ときに暴力へと発展して死者を生み、語り継がれるほどの悲劇の事件も起こっています。

ミュンヘンの悲劇とは、1958年2月6日にミュンヘンのリーム空港で起きた飛行機事故のことです。マンチェスター・ユナイテッドのチャーター機に乗っていた選手8名、スタッフ15名の計23名が死亡しました。

現在、マンチェスター・ユナイテッドの本拠地であるオールドトラフォードには、ミュンヘンの悲劇の追悼碑が建てられています。2012年までは、飛行機事故が起きた時刻にあわせて時計が止められていました。

スペルガの悲劇とはと、1949年5月4日にイタリアにあるスペルガの丘で起きた航空機の墜落事故のことです。犠牲者にはイタリアのACトリノの選手18名が含まれていました。

当時のトリノはセリエA5連覇を目前でしたが、スペルガの悲劇で選手の大半を失い、ユースチームのメンバーのみで戦わなければならなくなりました。しかし、トリノに敬意を示した全チームがユースチームで戦ってくれたおかげで、見事連覇を達成します。

ガボンの悲劇とは、1993年4月27日にザンビア代表を乗せた同国空軍の輸送機がガボンの空港から離陸直後に海上へ墜落した飛行機事故のことです。乗客乗員30名の犠牲のうち18名がザンビア代表選手でした。

事故の背景には、政治情勢の変化により代表選手の移動に空軍の輸送機を使用していたことが挙げられます。ザンビアとガボンの間では事故の調査ににまつわる禍根が残り、両国の国民感情も悪化する結果となりました。

ヘイゼルの悲劇とは、1985年5月29日にヘイゼルで開催されたUEFAチャンピオンズカップ決勝のリヴァプールvsユベントス戦で、サポーター同士の衝突から起こった群衆事故のことです。39人の死亡者と400人の負傷者を出す大惨事となりました。

両選手たちは試合の中止を求めたものの、試合中止によるさらなる暴動激化の危険性を考慮し、試合開催予定から1時間半遅れの極限状態のなかで決勝戦を戦いました。

ヒルズボロの悲劇とは、1989年4月15日に行われたFAカップ準決勝のリヴァプールvsノッティンガム・フォレストの試合中に起きた群衆事故のことです。死者は76人、負傷者は766人で、試合中の事故では史上稀にみる大惨事でした。

リヴァプールは事件を受け、当面の間リーグ戦やカップ戦への参加を自粛して犠牲者を悼みました。事件発生の責任や死因審問の評決は、20年以上経過した2016年まで持ち越されています。

アルゼンチンのサッカー選手であるエミリアーノ・サラは、2019年1月21日にナントから移籍先のカーディフとの契約のために飛行機移動中、墜落事故に遭って死亡しました。事故発生後、サラや搭乗していた機体の行方が不明となり、発見されたのは約1か月後の2月7日のことでした。

サラの一件がサッカー界に与えたショックは大きく、無事を願っていた多くの選手やスタッフは、遺体発見後にSNS上で彼の死を悼みました。

ラミア航空2933便墜落事故とは、2016年にブラジルのシャペコエンセの選手・スタッフが搭乗していた飛行機が墜落した事故のことです。事故で死亡した死者71人のなかには、ヴィッセル神戸で指揮を執ったカイオ・ジュニオール監督も含まれていました。

カイオ監督の死や事故の経緯は日本でも大きく報道され、多くのファンが悲しみに暮れました。事故を起こしたボリビアのラミア航空は、後に運転免許を停止されています。

当時レスターの会長を務めていたスリヴァッダナプラバ会長は、2018年10月にレスターの試合観戦後に搭乗していたヘリコプターが墜落し死亡しました。

サポーターとの交流に積極的だったスリヴァッダナプラバ会長は、ファンや選手のみならず、クラブ関係者からも慕われていたため、彼の死はクラブに大きな悲しみを呼びました。レスターは、事故後にスリヴァッダナプラバ会長の像を作成することを発表しています。

サッカーにまつわる数々の悲劇は記録として歴史に刻まれ、後世へと伝えられていきます。何年時間が経過しても、人々は悲劇の被害者を悼み、決して忘れることはありません。

悲劇を通じて亡くなった人々が戻ってくることはありません。しかし残された記録は、次の悲劇が起きたときに、サッカーに携わる人々やサッカーファンたちが事件を乗り越えるための教訓として役立てられていきます。