元Jリーガーの現在とは？セカンドキャリアについて考察してみた！

元Jリーガーのセカンドキャリアは指導者、一般就職、タレントに転身とさまざまです。Jリーグ普及に貢献した武田修宏氏や元日本代表の内田篤人氏はバラエティ番組やスポーツ番組で活躍しています。

一方で鈴木啓太氏は現役時代から、ビジネスの知識を増やしたり人脈を広げる活動をしていました。オフを利用して短期間就労をする選手やユーチューバーでサッカーに関わり続ける元選手もいたりと、セカンドライフの選択肢は令和の時代でさらに変化しています。

Jリーグでは毎年100人ほどの選手が引退し、ベテラン選手はJリーグのチームでコーチやスタッフに就任します。J1のコーチの場合年収1000万円に達する可能性があり、JFA公認の資格が必要です。コーチを目指す選手は現役時にプレーしながら資格取得に励むため、進路が決まりやすい傾向です。

一方で若手の元Jリーガーは大学に進学、もしくは一般就職の道へ進みます。知名度や経験値が低いことから、引退後すぐにサッカー界に貢献することは難しいです。

日本ではサッカー選手の選手寿命は約2、3年と言われていて、選手生命が短いとされるスポーツの1つです。理由は試合で何kmも走らなければならないことで、1試合で走る平均距離は10.3～12.5㎞と言われています。また相手との接触による怪我も引退が早まる大きな要因の1つです。

高卒1年目に戦力外を受けることもあり、代表選手や期待されている選手以外は単年契約が多いのも選手寿命が短いことの要因です。引退年齢の平均は25、26歳とされています。

引退後の進路は現役時代の貢献度や経験値で大きく変わります。代表の経験やチームに大きく貢献した元Jリーガーはコーチに転向したり、解説者やキャスター、タレントの道に進みテレビに登場することが多いです。

ただ、プロ選手になるのと同じく華々しい世界は狭き門で、Jリーグチームのコーチになるには人脈や資格、経験が必要となります。若手選手の多くが一般就職し、再スタートを切る流れが一般的と言えます。

引退後の収入の変動は各選手で異なります。現役選手の年収は2021年シーズンのJ1選手で、平均3218万円です。年俸ランキングでは日本人選手はヴィッセル神戸に所属する酒井高徳選手の1億4000万円が最上位に位置します。

一方で、30代の平均年収は男性が約309万円です。高額を貰っていた選手が一般就職した場合はサッカー選手時代からかなり減る傾向にありますが、メディアに出演している元選手は活躍ぶりで現役時代以上の高収入も見込めます。

現役中に日本サッカー協会公認の指導者ライセンスを取り、引退後に指導者の道に進む選手は多いです。プロでの経験やサッカーで得た技術を生かして若手や子供たちを指導しています。

指導者の仕事はトレーニング指導だけでなく、精神的なサポートも重要な役割です。サッカーの第一線で活躍してきたからこそ、指導力や手腕も注目を集めています。

前田遼一氏はJ1歴代5位の通算154ゴールの成績を残し、日本代表でも活躍したストライカーです。2020年限りで21年の現役生活を終え、21年に古巣のジュビロ磐田のU‐18コーチに就任しました。

35歳頃に引退後の準備を始め、徐々に指導者のライセンスを取得していきました。ライセンスの講習で小学生、中学生のチームを指導したことで、指導者のやりがいに気づいたと語っています。レジェンドの育成手腕に期待が集まっています。

2008年をもって現役を引退した岡山哲也氏は、古巣の名古屋グランパスのスクールで幼稚園児や小学生たちの指導を始めました。11年2月からはクラブからの出向で、母校である中京大中京のサッカー部監督に就任しています。

サッカーを通して生徒たちの進路相談や人間教育をし、生徒たちに真正面から向き合うことを大事にしていると語っています。岡山流指導とは驕ること無く、謙虚さと熱意を持って取り組むことです。

ドイツや鹿島アントラーズでプレーした内田篤人氏は怪我に苦しみ、惜しまれながらも2020年8月に引退しました。同年9月に日本サッカー協会が新設した新役職・ロールモデルコーチに就任しています。役割はU-19を代表とするアンダーカテゴリーの代表チームをはじめ、若年層の強化や普及に関わる活動を行い、若い世代の指導にあたることです。

21年3月からは報道ステーションのキャスターに就任、CM出演も果たし、活動の場を広げています。

サッカー選手とはいえ、体力だけが自慢ではありません。現役時代に得た知識や経験を思う存分生かし、興味のある分野で起業をする選手が増えてきています。1度きりの人生をサッカー選手だけで終わりたくないと、現役時代から実業家の道を模索する選手も多いです。サッカーを通して学んだ諦めない姿勢は実業家に通ずるものがあります。

中田英寿氏は若くして世界や日本代表でプレーし、2006年、29歳で引退を発表したときは日本中に衝撃が走りました。引退後は世界各地や日本全国を転々とし、15年に株式会社JAPAN CRAFT SAKE COMPANYを設立しました。代表取締役に就任し、日本酒を中心にあらゆる日本文化の情報を世界に発信しています。

社長以外には、立教大学の客員教授、ユーチューバー、株式会社東ハトの執行役員と、多岐にわたる活躍ぶりです。

石塚啓次氏は2003年に現役を引退し、アパレルブランドをプロデュースしました。12年、家族と共にスペイン・バルセロナに移住すると、13年には旅行やサッカー留学のサポートをする会社と新たなアパレルブランドを立ち上げました。さらに現地で唯一の自家製うどん屋YOIYOI GIONを経営しています。

若いころから好きだったファッションの仕事と、家族を養っていくために始めたうどん屋でお店に立ち、精力的に活動を続けています。

鈴木啓太氏は浦和レッズ一筋を貫き、2015年に現役を引退しました。現役時代から引退後のキャリアを想像しながら過ごし、現役最終年にアスリートの腸内環境を研究する企業、AuB株式会社を設立しました。

楽しく生きるにはコンディションや健康が大事と気付き、腸内環境を整えるサプリメントやプロテインを発売しています。健康づくりをサポートしながら、将来的なサッカークラブ経営を目標に突き進んでいます。

サッカー選手からタレントの道に進んだ選手はおしゃべりが面白くて上手な人が多いです。バラエティー番組で活躍する元選手、解説者やスポーツキャスターでサッカーに関わり続ける元選手と、テレビでも元Jリーガーの活躍の場は広がっています。特に現役時代に実績を残した選手がテレビで起用される傾向にあります。

武田修宏はJリーグ発足後のヴェルディ川崎の黄金時代を築いた選手でした。甘いルックスと類まれなる才能で人気を博しましたが2001年に現役を引退しました。引退後はタレントに転身し、サッカーの解説者やコメンテーターでテレビに出演したり、トーク番組やバラエティーで活躍を見せています。

おしゃれなファッションセンスと、明るい笑顔、軽快なトークが大人気でお茶の間をにぎわせています。

永島昭浩氏は2000年に現役を引退し、JFAアンバサダーの立場でサッカーの普及活動に尽力しました。現在はサッカースクールで後進の指導に携わるとともに、スポーツキャスターや解説者でサッカーに関わり続けています。解説者なのに噛みすぎと話題になったほどです。テレビ以外にはトークショーや講演会とマルチに活動中です。

日本サッカー協会国際委員会委員、日本代表OB・OG会副会長の顔も持ち合わせています。

日本代表で活躍した中澤佑二氏は2019年に現役を引退した後、日本体育大学の女子ラクロス部で指導を始めました。2人の娘がラクロスをプレーしていることから影響を受けたと語っていて、選手のモチベーションを保つことが1番難しく、日々ジェネレーションギャップを感じながら指導しています。

ラクロス以外ではバラエティーやスポーツ番組、多数のメディアに出演し、現役時代同様、鉄人ぶりを発揮しています。

サッカー人生はやりきった選手は、一般就職の道に進む人が多いです。華やかな世界で活躍していた選手たちが一般社会に溶け込むことは難しいと思われがちですが、ピンチの場面や緊迫した状況を乗り越えてきた強い精神力はビジネスの場面で生かされます。真面目でコツコツと仕事ができる人に向いていると言えます。

永田充氏は2020年2月、37歳で現役を引退し、翌月に古巣・東京ユナイテッドのユニフォームスポンサーの大手総合建材メーカー・文化シヤッターに入社しました。工場見学をしたときの工場長の人柄に魅力を感じ、入社を決意しました。

現在はさいたま市内の自宅から栃木県小山市の工場まで、片道1時間超かけて出勤しています。ものづくりの奥深さやチームワークの大切さを感じながらサラリーマン生活を送っています。

三上卓哉氏は2011年に引退しましたが、クマガヤサッカースポーツクラブで現役復帰を果たした後、古巣・浦和のスポンサー企業のアイル・コーポレーションに入社しました。熱心な仕事ぶりが高く評価され、所属部署では次長にまで昇進しました。

20年12月末にアイルを退社し、契約社員で勤務を続けています。一方で地元に恩返ししたいとの思いから浦和に小規模保育施設・ルアナ保育園を開所し、管理者の立場で日々奮闘しています。

ユーチューバーが仕事になる時代ですが、動画の世界に飛び込んだ元Jリーガーもいます。一般人が踏み込むことのできないサッカー事情を配信したり、現役Jリーガーを出演させる演出で多くの反響を得ています。元Jリーガーだからこそできるコンテンツを世に発信することが彼らの強みです。

那須大亮氏は現役時代からユーチューバーに可能性を見いだし、サッカー選手と2足のわらじをはいていました。当初は批判も多かったですが、引退後に1本に絞り、現在は30万人近くのチャンネル登録者数を得ています。

チャンネルには現役選手に1日密着動画や強豪高校サッカーチームでの1日体験動画と、サッカーファンなら見たい動画が満載です。那須氏はサッカー人気を押し上げるために日々、動画撮影やユニークな企画を考えています。

増嶋竜也氏は2020年、地元の千葉で現役引退を決めました。年明けに家族4人でユーチューバーになることを自身のチャンネルで発表しました。増嶋家ちゃんねるでは家族仲睦まじい様子や妻で元バドミントン選手の潮田玲子との対決動画と、バラエティーに富んだ動画を配信しています。

また、現在未所属の元Jリーガーたちの練習を支援するプロジェクトを考案し、集まった仲間たちと新たな挑戦に挑んでいます。

サッカー選手たちは1試合平均で10.3～12.5㎞を走るため、高い基礎体力を持ち合わせています。サッカーで培った強靭な精神力や体力はボクシングでも生かされています。ただ、歳を重ねた状態で新たなスポーツに挑戦し、新たな舞台で活躍するには過酷なトレーニングや高い技術が必要です。

ハウバート・ダンは高校サッカーで強烈なインパクトを残してプロ入りしましたが、活躍を残せずチームを退団しています。退団後はモデルに転身したり、現役復帰もしましたがボクシングの魅力に気づき、ハードなトレーニングを経て2021年に晴れてプロボクサーに転向しました。

サッカーではできなかった完全燃焼をボクシングで果たすと語っていて、40歳を超えてもリングに立ち続けることを目標にしています。

元Jリーガーたちは現役時代に培った洞察力や精神力、体力を生かし、さまざまな職業で第2の人生を歩んでいます。全員が引退後もサッカーに関わる仕事をしているわけではないですが、根底にはサッカー愛やサッカーに対する感謝の気持ちが存在していることが見受けられます。

華々しい活躍でファンを魅了してきたJリーガーたちですが、セカンドキャリアでの全力プレーも注目必須です。