近場の河口や防波堤などで、大型のクロダイ(チヌ)をルアーで釣る方法を詳しく紹介します。ルアー釣りの経験ない初心者の方が釣り場・釣り方を知って、必要なタックルなど大事なことを理解すれば、クロダイを簡単に釣ることができます。クロダイの強い引きを楽しみましょう。
クロダイ(チヌ)とは?
分 類 |
スズキ目タイ科クロダイ属 |
学 名 |
Acanthopagrus schlegelii |
英 名 |
Japanese black porgy |
出世魚 |
チンチン→カイズ→クロダイ |
別 名 |
チヌ、カワダイ |
分 布 |
北海道南部以南の本州、四国、九州各地 |
クロダイ(チヌ)は、北海道より南の日本各地の水深50mより浅い沿岸部に生息するスズキ目タイ科の魚です。大きさによって呼び名が変わる出世魚で、関東ではチンチン、カイズ、クロダイと変わります。大きくなると性転換してメスになり、最大70cmぐらいまで成長します。尾びれや腹びれが黄色のキビレ(キチヌ)は、河口などの汽水域に生息します。
クロダイ(チヌ)をルアーで釣るチニング
エサ釣りがメインのクロダイ(チヌ)釣りですが、大型のクロダイ(チヌ)は小さな魚を食べるフィッシュイーターですので、ルアーで釣ることができます。ルアーでクロダイ(チヌ)を釣ることをチニングと呼びます。岸からのショア釣りで、引きが強い大型を釣ることができるため人気があります。
クロダイをルアーで釣る最適な時期
クロダイ(チヌ)は回遊性が弱く、1年中釣ることができます。春の産卵時期は乗っ込みと呼ばれ、浅場で大型が釣りやすいです。活性が高くなる夏から秋がチニングの最適な時期です。小型でも引きが強く、数釣りができますのでチニングの入門にベストシーズンになります。
クロダイ(チヌ)がよく釣れる時間と潮
クロダイ(チヌ)がよく釣れる時間帯は、日没後の薄暗くなり始めてから周りが見えづらくなるまでの夕まずめです。警戒心が弱い夜間もおすすめですが、ポイントになりそうな場所や障害物などの釣り場の状況を明るいときにチェックします。夜間は危険を避けるため、足場の確認をしましょう。潮は干潮から満ちはじめが活性が高くなり、アタリが多くなります。
クロダイ(チヌ)の釣り場
クロダイ(チヌ)は浅場から深場まで、いろいろな場所に生息しています。クロダイのルアー釣りに適した釣り場は、水深が深くない浅場です。ルアーに反応する活性の高いクロダイは、エサを求めて浅場を中心に泳いでいます。釣り場の特徴や釣り方などを紹介します。
汽水域の河口や運河
河口や運河は、クロダイ(チヌ)をルアーで釣る場所に最も適しています。淡水と海水が混ざる汽水域は、エサとなる小魚、エビ、カニなどが豊富で、回遊してくるクロダイは食欲があり活性が上がっていますので、狙いやすい釣り場です。適度な濁りありますので警戒心が弱くなり、クロダイのルアー釣り初心者におすすめです。
水深が深い漁港や堤防
漁港や堤防は、エサ釣りでクロダイ(チヌ)の実績が高い場所が多いですが、ルアー釣りで深場を攻めることは効率が悪くなりますので、水深5mぐらいまでがおすすめです。漁港や堤防は底に変化が少ないため、クロダイが着きやすい岩や瀬の位置を把握して集中的に狙いましょう。簡単な釣り方は、ワームなどを使用してエサを求めて岸壁に近づくクロダイを狙うガンクロです。
ガンクロとは?
岸壁のクロダイを狙う落とし込み釣りで、エサの代わりにルアーを使用する釣り方をガンクロ、ガンクロゲームと呼びます。漢字で書くと岸黒、岸壁のガンと黒鯛のクロで岸壁黒鯛を短くした呼び方です。
浅瀬のサーフやゴロタ浜
サーフやゴロタ浜は水深が浅く、大きなクロダイ(チヌ)が釣れそうにないイメージですが、エビやカニ類が豊富に生息していますのでルアーで狙うことができる釣り場になります。大きな石やカケアガリなど変化のある場所はクロダイが着きやすく絶好の狙い目です。浅瀬のため取り込みにランディングネット(タモ)の必要がなく、気軽に釣行できるメリットがあります。
クロダイ(チヌ)をルアーで釣る方法
チニングは豊富な種類のルアーがあり、釣り場やルアーによって釣る方法が異なります。ルアーに合わせた釣る方法を紹介します。
初心者の方は、最初は2種類のルアーを使用して少しずつ釣り方をマスターしましょう。同じルアーでも大きさや重量によって、扱いやすさや釣果に差があります。2~3つのサイズを用意して試すことをおすすめします。
ジグでボトムをズル引き
クロダイ(チヌ)はボトムをズル引きする釣り方が最適です。使用するルアーはジグで、根掛かりしにくいラバージグがおすすめです。ルアーをキャストして底まで落とし、リールをゆっくり巻きズル引きします。クロダイ(チヌ)がルアーにアタックしやすいように巻いて止めるを繰り返します。簡単なアクションでチニングの基本になります。
バイブレーションで広範囲を探る
バイブレーションは飛距離があり、広範囲を探る釣り方に適しています。ラインを巻くとブルブルと震えるアクションでクロダイ(チヌ)を誘います。キャストして着底後、ズル引きや持ち上げてゆっくり落とすリフト&フォール効果があります。クロダイ用のバイブレーションは根掛しにくい形状やフォールスピードが遅いなどの特徴があります。
ワームで落とし込み
ワームを使用する落とし込みは、簡単にクロダイ(チヌ)をルアーで釣ることができます。ワームはカニやイガイの形状など、いろいろな種類が豊富にあります。岸壁に沿ってワームをゆっくり落とすだけですので、初心者の方も簡単にできる釣り方です。満潮前後が釣果がよく、短時間でクロダイ釣りを楽しむことができます。
ホッパーで浅瀬を攻める
ホッパーは水面でクロダイ(チヌ)を誘う釣り方に適したルアーです。ラインを巻くと音や水しぶきが発生します。夏が釣りやすい時期で、水温が高い6~10月に河川や河口などの水深が2mぐらいまでの浅瀬を攻めます。水面のルアーにアタックするクロダイを見ることができますので、ゲーム性の高い釣り方です。
夜釣りで大型を狙う
警戒心が薄れる夜は、大型のクロダイ(チヌ)をルアーで狙うことができます。夜行性のカニやエビなどが生息する浅場にエサを求めて近づく個体は、活性が高いためルアーによく反応します。遠投する必要がなく、ルアーアクションが簡単ですので、大型を狙うなら夜釣りがおすすめです。ルアーアクションは昼に比べてスピードを落とし、ゆっくりで自然な動きでクロダイを誘います。
クロダイ(チヌ)をルアーで釣るためのタックル
クロダイ(チヌ)をルアーで釣るために必要なタックルを紹介します。ルアー釣りの経験があり、ロッドやリールなどを所有している方は、メバリング、シーバスロッドなどが流用できますので、チニング用ルアーを準備してチャレンジしましょう。
ルアー釣りのタックルをこれから用意する方は、必要なものをチェックして予算を決めると選びやすくなります。
ルアーロッドとリール
クロダイを釣るルアーロッドに必要な性能は、アタリがわかりやすい高感度の穂先と強い引きに耐えることができるバットパワーです。
長さは7~9ftぐらい、3~10gのルアーが遠投できるロッドが適しています。
リールは使いやすいスピニングリールで高い性能は必要なく、メーカー品の2000~3000番の大きさであれば大丈夫です。
クロダイを釣るためのルアー
クロダイを釣るためのルアーは、種類やカラーが豊富にあります。
チニングを始める初心者の方は、ジグとワームを重量や大きさが異なるサイズを3つ用意するといろいろな釣り場や状況に対応できます。ジグとワームは実績が高く、アクションが簡単なルアーですので、定番のルアーになります。
ランディングネット(タモ・玉網)
クロダイ(チヌ)は、近場の釣り場から40cm以上の大型を釣ることができます。確実に取り込むために、ランディングネットやタモ・玉網を使用します。足場の高い釣り場では必須です。ランガンに対応できるように、コンパクトな小継で3~5mぐらいの長さのランディングネットを準備しましょう。
クロダイ(チヌ)をルアーで釣るためのタックル
ルアーロッド |
長さ:7~9ft、硬さ:L,ML,M |
リール |
スピニングリールの2000~3000番 |
ルアー |
ジグ、ワーム |
ランディングネット |
3~5mのコンパクトな小継 |
初心者におすすめなチニングのロッド
チニング専用のロッドは使用するルアーや釣り方に合わせた性能が搭載され、使いやすいメリットがあります。これからチニングを始める方は、いろいろなルアーや釣り方に対応できる性能に幅がある初心者向けのロッドがおすすめです。好みのルアーや釣り方が決まると、専用ロッドを選びやすくなります。
シマノ:ルアーマチック S86ML(入門用としておすすめ)
ルアーマチックS86ML |
全長 |
2.59m |
自重 |
145g |
ルアー |
6~28g |
釣り具の総合メーカー、シマノの入門用ルアーロッドのルアーマチックは基本的な性能や耐久性があり、価格が安くコストパフォーマンスが高いロッドです。
ルアーマチックS86MLは、チニングだけでなくシーバス、エギング、タチウオ、トラウトなど幅広いルアーゲームに対応するオールラウンダーのロッドで、これからルアー釣りを始める方におすすめです。
①ダイワ:チニング X 76ML
チニングX76ML |
全長 |
2.29m |
自重 |
122g |
ルアー |
4~18g |
ダイワのクロダイ専用調子のロッドで、高い操作性とクロダイの引きを楽しむ最適なしなやかさを持ちます。チニングX76MLは、ボトムのズル引きを中心に、あらゆるシチュエーションに対応するオールラウンドロッド。
取り込みにおいて重要なバット部分に、ネジレ防止構造のブレーディングXを搭載してバットパワーが強い特徴があります。
76MLの他に、穂先がやわらかく食いの渋いときに有効な76L、遠投性が高く広いエリアを狙える710MLと3種類のモデルをラインアップ。
メジャークラフト:3代目クロステージ 黒鯛 CRX-S782ML
クロステージ 黒鯛 CRX-S782ML |
全長 |
2.38m |
自重 |
記載なし |
ルアー |
2~15g |
メジャークラフトの3代目クロステージ黒鯛CRX-S782MLは、ボトムのズル引きに特化したソリッド穂先のモデルです。食い渋るときのついばむようなアタリに、食い込み抜群のソリッド穂先が威力を発揮します。ルアー重量が2~15gに対応、ねじれに強い新製法のマイクロピッチクロスフォースを採用しています。
チューブラーとソリッド
チューブラー穂先はパイプ状の中空構造で、反発力が高く魚のアタリが手元までダイレクトに伝わる特徴があります。食い渋りの小さなアタリでフッキングが難しいことがデメリットです。
ソリッド穂先は中身が詰まった中実構造で、柔軟性と粘りがあり、よく曲がるしなやかさが特徴で、食い渋るときに食い込ませることができます。遠投性が弱く、重いルアーに対応できません。
初心者におすすめなチニングのリール
チニングのリールは基本性能がしっかりしたメーカー品であれば問題なく、高級品である必要はありません。他の釣りにも対応できるスピニングリールにすると、いろいろな釣りを楽しむことができます。ルアー釣りでよく使用する2500番の大きさは、最初のリールに最適です。
シマノ:19 シエナ2500(入門リールにおすすめ)
19 シエナ2500 |
自重 |
250g |
最大ドラグ力 |
4.0kg |
ギア比 |
5.0 |
シマノの19シエナ2500は、キャスト時のライントラブルを防止するAR-Cスプールを搭載してるため、初心者の方もトラブルなく安心して釣りを楽しむことができます。2.5号のナイロンラインが150m付属してあるので、ラインを購入する必要がありません。クロダイのルアー釣りに慣れたら、PEラインに巻き替えるとよいです。
ダイワ:15 レブロス 2506
15 レブロス 2506 |
自重 |
270g |
最大ドラグ力 |
4.0kg |
ギア比 |
4.8 |
ダイワの15レブロス2506は、基本性能が高く機能充実の小型汎用スピニングリールです。PEラインを巻くための浅溝スプールでルアー用リールの入門モデルです。0.8号のPEラインが130m巻くことができ、エギングやシーバスなどの他の釣りにも対応できます。
シマノ:17 セドナ2500S PEライン付
17 セドナ2500S |
自重 |
245g |
最大ドラグ力 |
4.0kg |
ギア比 |
5.0 |
シマノの17セドナ2500Sに1号のPEラインが100m付属したモデル。PEラインでルアー釣りを始めたい場合、お買い得なリールです。PEラインは種類が多く、選ぶことが大変であるため、付属しているリールは初心者にやさしく、釣りの総合メーカーであるシマノの親切な設定といえます。
初心者におすすめなチニングのルアー
チニング用のルアーは、大きく分類すると、ジグ・バイブレーション・ワーム・ホッパーの4種類あります。種類が豊富で、釣果が期待できるジグとワームから始めることをおすすめします。ボトムを中心に攻めるため、根掛かりしてロストすることがあります。カラーや重量が異なるルアーを予備として用意すると安心できます。
おすすめジグ|シマノ:ブレニアス ネガカリノタテ
ブレニアス ネガカリノタテ |
サイズ |
5g |
カラー |
ラメラメピンク |
シマノのブレニアスは、チニング専用に作られたロッドやリール、ルアー類のシリーズです。ジグのネガカリノタテは、根掛かりを排除し、ボトムを攻略するためのジグです。スカートを搭載してアピール力を高め、ゆっくりとフォールするシールド形状が特徴。カラーが13種類、重量が5、7、10、13、16gの5種類で全65アイテムの中から選ぶことができます。
クロダイは英語で、black sea bream(ブラック シー ブリーム)になります。シマノではチニングをブリームゲームと呼び、チニング専用のシリーズにブレニアスの名称を使用しています。
キビレはyellow fin bream(イエロー フィン ブリーム)、マダイはred sea bream(レッド シー ブリーム)になります。
おすすめバイブレーション|ダイワ:モアザン ミニエント
モアザン ミニエント |
サイズ |
57mm 11.5g |
カラー |
イチゴみるく |
ダイワのモアザン ミニエントは、弾丸のように狙ったポイントに飛んでいく一口サイズのシャッドバイブレーション。シーバスがメインの対象魚ですが、重量11.5g、全長57mmの57Sは小さく、クロダイに適したバイブレーションです。重量があり遠投性が高いので、初めての釣り場で広範囲を探る場合に適しています。
おすすめワーム|エコギア:チヌ職人 バグアンツ
チヌ職人 バグアンツ |
サイズ |
60mm |
カラー |
サンセットアピールUV |
エコギアのクロダイを狙うためのチヌ職人バグアンツ。効果的な形状でカラーが豊富にあり、チヌ専用フォーミュラーを配合して視覚や波動だけでなく、嗅覚や味覚も刺激します。ワームはフックを別に用意する必要があり、オフセットフックを使用します。
おすすめホッパー|メガバス:ポッピング ダック
ポッピング ダック |
サイズ |
60mm 6.5g |
カラー |
シラス |
メガバスのポッピングダックはクロダイ専用のポッパーです。クロダイを効率よく水面に誘い出し、見切られずにバイトさせフッキングできます。クロダイが好む派手すぎない小気味良いポップ音を発します。フロントとリア共にスイベルを装備してフックの自由度を高めることで、口が硬く、横走りの多いクロダイのバラシを軽減します。
チニングのラインとリーダー
クロダイを釣るために適したラインとリーダーを紹介します。仕掛けは簡単で、ラインの先端にリーダーを結び、リーダーにルアーを取り付けます。ルアー釣りでは仕掛けをラインシステムと呼びます。ラインとリーダーの太さの組み合わせや結び方によって結束強度に差が出ます。
ナイロンライン
ナイロンラインはいろいろな釣りで使用され、価格が安く、扱いやすいことが特徴です。適度な伸びがあることでクロダイがフッキングしたときの衝撃を吸収して、バラシが少なくなるメリットがあります。
ナイロンラインはトラブルが少なく、初心者の方も安心して釣りに集中できます。リーダーと電車結びなど簡単な結び方で仕掛けを作ることができます。ラインサイズは8~12lb(2~3号)がクロダイ釣りに適しています。
PEライン
PEラインは強度が高く、細いラインが使用できるため遠投に有利です。伸びが少なく、感度が高くなりますのでルアー釣りでよく使用されます。PEラインは、ガイドに巻きついたりバックフラッシュしたりするライントラブルが多い傾向があります。
リーダーとの結束はFGノットなど特殊な結び方を使用するため、仕掛け作りに慣れが必要です。0.6~1.0号がクロダイ釣りに適したサイズです。
リーダー
ラインの先に50cm~1mぐらい耐摩耗性が高く、根ズレに強いフロロカーボンをリーダーとして取り付けます。チニングはボトムを中心にルアーを這わせる釣り方が多く、根ズレ対策が必要です。
サイズは8~12lb(2~3号)ぐらいがよく、障害物の多い釣り場は太くするとよいです。ルアー釣りでラインとリーダーを結ぶ仕掛け作りは結束強度が高く、結び目が小さいことが重要です。
クロダイ(チヌ)をルアーで釣る方法まとめ
クロダイ(チヌ)は、河口や堤防などの近場の釣り場に生息し、手軽に大型を狙うことができる対象魚として魅力があります。クロダイのルアー釣りは、エサ釣りより必要なタックルが少なく、簡単に釣ることができる釣り方です。
入門用のロッドやリールでチャレンジして、釣り場や釣り方が確立してからチニング専用のロッドや軽量な高級リールにグレードアップすると、選びやすく無駄が少なくなります。