センバツの行進曲とは？選抜高校野球の歴代入場行進曲を紹介！

センバツの行進曲とは、1924年から開催されている選抜高校野球の開会式と閉会式で、警察音楽隊に演奏される選手の入場行進曲のことです。行進曲には時代の背景にあったさまざまなジャンルの曲が選ばれ、平成では人気アーティストの曲が選ばれるようになりました。

・本来の行進曲
・軍歌や国民歌
・外国映画のテーマ
・NHKの番組のテーマ
・歌謡曲
・J-POP

センバツ行進曲は毎年、大阪府音楽団の演奏で録音されたものがカセットやCD化されて出場選手に贈られます。

入場行進曲は、日本高校野球連盟と大会を主催する毎日新聞社の事業部が、選抜大会の前年にヒットした曲から高校野球の入場行進にふさわしい曲を選んでいます。昭和後期から平成にかけては、レコードやCDの売り上げや当時の高校生を中心に人気でた曲が優先的に選ばれる傾向が増えました。

選考曲は、行進しやすいアップテンポな曲が多いですが、ときには第54回の寺尾聰のルビーの指輪といったスローテンポな曲を行進しやすくアレンジする場合もあります。

入場行進曲の演奏は、選抜大会の開会式・閉会式に近畿地方各府県の警察音楽隊が担当し、高校球児の入場行進を先導しています。

1995年の第67回大会は、警察官が阪神淡路大震災の復旧業務を優先するために演奏ができなくなり、代わりに甲子園球場の地元・兵庫県西宮市高等学校吹奏楽連盟が演奏に参加しました。翌年の第68回からは、警察音楽隊とともに高校生が引き続き開会式・閉会式の演奏をしています。

平成を代表するセンバツ行進曲は、1993年に発表された3代目大会歌の今ありてです。今ありては、2代目大会歌が第11回に発表されて以来、59年ぶりにリニューアルされた曲です。

2019年春の選抜高校野球の入場曲は、歌手の槇原敬之が作詞・作曲をした世界に一つだけの花とどんなときも。です。世界に一つだけの花は2003年にSMAPが歌い大ヒットし、翌年の2004年にセンバツ行進曲に選ばれて以来2度目の行進曲となりました。

平成最後のセンバツ大会の決勝戦は、平成最初の優勝校だった東邦(愛知)がエース石川の活躍で6-0で習志野(千葉)を完封して優勝しました。

2018年春の選抜高校野球の入場曲は、歌手の谷村新司が作曲した3代目センバツ大会歌の今ありてです。今ありては発表された1993年の第65回大会も行進曲になり、第90回を記念し2度目の行進曲に選ばれました。

第85回と同じ36校の出場校が参加した第90回記念大会は、大阪桐蔭高校が2年連続で全国の頂点に達しました。智弁和歌山高校​と近畿勢の強豪同士の対決が注目を集めた決勝戦は、当時大きな話題となりました。

2017年春の選抜高校野球の入場曲は、2016年に恋ダンスで人気を博した星野源の恋​が選ばれました。恋は、軽快なアップテンポのメロディーが、プレーする選手たちにふさわしい曲です。

第89回の決勝戦は大阪桐蔭高校と履正社高校の大阪勢同士の対決が注目され、特に大阪桐蔭の根尾投手が活躍しました。試合は同点で迎えた9回表、大阪桐蔭が一挙に5点の猛攻で突き放し、9回裏は無得点で逃げ切り優勝の栄冠に輝きました。

2016年春の選抜高校野球の入場曲は、当時の若者を中心に人気の西野カナが歌うもしも運命の人がいるのならです。自身が通っていた三重高校が甲子園に出場し、スタンドからの応援経験を持つ西野カナは、自身の曲が行進曲に選曲されたことを機に、さらに球児に対する強いエールの想いを実感しました。

第88回の決勝戦では、奈良県の智弁学園高校​と香川県の高松商業高校​が対戦し、智弁学園が延長11回2対1の接戦をサヨナラ勝ちで制して初優勝を果たしました。

2015年春の選抜高校野球の入場曲は、大ヒットしたディズニー映画・アナと雪の女王​の主題歌、Let It Go〜ありのままで〜​です。Let It Goは、英語版の映画で王女エルサの声優をしていたイディナ・メンゼル、日本語の吹き替え版は女優の松たか子が歌っています。

第87回の決勝戦は福井県の敦賀気比高校と北海道の東海大四高校​が対戦し、敦賀気比が4番打者の平沼投手を擁して北陸勢初の優勝となりました。

2013年春の選抜高校野球の入場曲は、東日本大震災復興支援​チャリティーソング・花は咲く​​です。花は咲くのプロジェクトには、東北出身の由規選手も歌で参加しています。

第85回記念大会は東日本大震災から2年が経過したことで初めて東北絆枠が設けられ、山形県の山形中央高校が選ばれました。決勝戦は、埼玉県の浦和学院高校と愛媛県の済美高校​が対戦し、大量17点を奪って圧勝した浦和学院が埼玉県勢初の優勝に輝いています。

2011年春の選抜高校野球の入場曲は、いきものがかりが歌うNHK朝の連続テレビ小説の主題歌、ありがとうです。第83回大会の入場行進は東日本大震災直後のためがんばろう!!日本のスローガンを掲げ、警察音楽隊の演奏はなく、選手が左袖に喪章をつけて外野から直進する行進をしました。

決勝戦は神奈川県の東海大相模高校と福岡県の九州国際大学付属高校​が対戦し、東海大相模高校が優勝を果たしています。

2008年春の選抜高校野球の入場曲は、男性フォークデュオのコブクロ​が歌ってヒットした蕾です。蕾はメロディーが行進曲にふさわしく、当時の高校生に親しみを持たれていたことが選考理由となりました。

第80回記念大会は21世紀枠が3校、希望枠の1校を含めた全36校が出場しています。決勝戦は沖縄尚学高校と初出場の埼玉県の聖望学園高校​が対戦し、沖縄尚学が9対0と快勝して9年ぶり2回目の優勝を果たしています。

1998年春の選抜高校野球の入場曲は、ジャニーズ事務所のアイドルKinKi Kids​のデビュー曲、硝子の少年​です。硝子の少年は、高校球児と同じ18歳だったKinKi Kidsが当時の高校生から絶大な人気を集めていたことから選考されました。

決勝戦は神奈川県の横浜高校と大阪府の関西大学第一高校​が対戦し、元メジャーリーガーの松坂投手の活躍で横浜が優勝しました。第70回に松坂と同世代でプレーし話題となった選手は、のちに松坂世代と呼ばれています。

1989年春の選抜高校野球の入場曲は、ジャニーズ事務所からデビューし大ブレイクした光GENJIのパラダイス銀河です。当時、入場曲を歌う歌手は開会式に毎日放送の放送席にゲストで出演予定でしたが、光GENJIは女性ファンが殺到して混乱を招くことが予想されたため欠席でした。

平成最初の決勝戦は愛知県の東邦高校と大阪府の上宮高校​が対決し、東邦高校が延長10回をサヨナラ勝ちで制し優勝を果たしています。

平成のセンバツ行進曲は、1990年代から若者を中心に人気を集めていたJ-POPを中心に選出されています。行進曲は、流行したバンドやアイドルの曲から選出されていた1980年代とは違い、槇原敬之・岡本真夜といったアーティストが自ら作詞・作曲をする歌手の曲が選ばれるように変化しています。

2015年以降の行進曲は、選抜大会開催中のみ、甲子園球場の最寄駅の阪神電車の甲子園駅で列車が接近するときのメロディーに使われました。

昭和後期のセンバツ行進曲は、第34回大会の坂本九が歌う上を向いて歩こう以降、大会の前年に流行した日本の歌謡曲が選ばれるようになりはじめました。昭和中期にヒット曲から行進曲が選ばれるようになったきっかけは、日本の経済が回復し、高度経済成長の時代を迎えたことです。

昭和後期の行進曲には、1970年代はフォーク歌手の松山千春、1980年代は岩崎良美・酒井法子といったアイドル歌手の曲が選ばれ、激動的に移り変わった時代背景が映し出されています。

昭和前半のセンバツ行進曲は、選抜大会が始まった頃から戦争に入るまでの間と戦後にわけて大きく変動しています。最初は第1回大会の星条旗よ永遠なれ​といった行進曲、第15回から戦争で中断するまでの4年間は、軍歌や国民歌が選ばれていました。

戦後は、NHKのラジオドラマのテーマ鐘の鳴る丘やスポーツ番組のテーマに使われているスポーツショー行進曲が行進曲に選ばれています。

センバツ行進曲は毎年春を告げる選抜高校野球大会に彩りを添え、時代を象徴する曲が多いことが特徴です。入場行進曲は、高校球児が甲子園に出場して晴れの舞台に一歩足を踏み入れ元気よく行進することにふさわしい曲が選ばれています。

甲子園はいつの時代も全国の高校球児が憧れる場所です。入場行進曲は、試合でのプレーや感動とともに春の甲子園に出場した球児たちの一生の思い出となります。