ミネラル不足の症状とは?原因を解消する方法や食べ物を解説!
ミネラル不足は、体調不良や運動パフォーマンスの低下を招く原因となります。他にもミネラル不足による弊害はたくさんあります。今回はミネラル不足による症状や病気について解説し、ミネラル不足を予防・解消するための、おすすめの食べ物・飲み物をご紹介します!
Writer
公式ライター 真秀美
ミネラル不足はパフォーマンス低下の原因となる
5大栄養素のうちの1つで、身体を構成する材料となったり、体調を整えるなどの重要な役割を担う栄養素です。しかし、身体づくりの材料として注目される【タンパク質】に比べ、ミネラルへの意識はまだまだ低いのが現状です。ミネラルは体内で合成することができないため、食べ物から摂取する必要があります。ミネラル不足は、運動パフォーマンスを低下させる原因となるだけでなく、慢性化すれば生命活動にも影響を与えるため、早期に解消しなければなりません。
今回は、ミネラル不足の症状や原因について解説し、解消のためにおすすめの食べ物・飲み物をご紹介します!
ミネラルとは
ミネラルの役割
ここでは、ミネラルの主な3つの働きについて解説していきます。
身体を構成する
【歯や骨をつくる】
カルシウムとリンが結合した「リン酸カルシウム」が、歯や骨の主な構成成分となります。マグネシウムは歯や骨を強く保ち、マンガンは骨の形成を促します。
【皮膚・爪・髪の毛をつくる】
イオウは「シスチン」というアミノ酸成分として皮膚・爪・髪の毛・軟骨などに多く分布しています。亜鉛は新陳代謝に関与し、銅は美肌に欠かせないコラーゲンやエラスチンの生成に欠かせません。
【血液(赤血球)をつくる】
鉄は赤血球の成分となるヘモグロビン(タンパク質の一種)の構成成分となり、銅はヘモグロビンの合成を助けます。
神経や筋肉の機能を正常に保つ
ミネラルは、体液中ではイオン化(電気を帯びた状態)して存在しています。体外からの刺激(光・熱・圧力など)が加わると、細胞内外の電極バランスが変化し、僅かな電気が発生します。この電気信号によって「神経伝達物質」という化学物質が放出され、細胞から細胞へと必要な情報を伝達しています。そのため、運動神経の支配を受ける骨格筋も、ミネラル不足の状態では機能を正常に保つことができなくなるのです。
生理作用を調整する
<ミネラルが関与する主な生理機能>
・体水分の調整
・血液凝固
・代謝活動
・酸素の運搬
・味覚の維持
・生殖機能の維持 など
ミネラルは、私たちの体調を整えるさまざまな働きに関与しているのです。
他にも、免疫機能やホルモン分泌など、健康維持のために欠かせない重要な生理機能にも関わっています。人の体のたった4%程度しか占めていないミネラルですが、私たちの体調を支配する重要な栄養素なのです。
ミネラル不足による11の症状
ミネラルは、激しい運動やストレスによって消耗し、体水分と共に失われます。スポーツ習慣のある方は、ミネラル不足が起きる前に、食べ物や飲み物でリカバーすることが大切です。
まずは、ミネラル不足による症状を把握し、身体からのSOSサインに気がつけるようにしましょう。
症状①口内炎・肌荒れ
皮膚・粘膜の健康維持に重要な役割を担う栄養素の1つに【亜鉛】が挙げられます。
亜鉛は、新しい細胞を形成するのに欠かせないミネラルで、新陳代謝(細胞の生まれ変わり)の活発な部分で活躍する栄養素です。新陳代謝のサイクルは体の部位によって異なりますが、肌や粘膜のサイクルは約1ヶ月と、他の部位に比べて新陳代謝のサイクルが短くなります。亜鉛不足の症状は他にもたくさんありますが、新陳代謝のサイクルから考えると、口内炎や肌荒れは比較的早めに現れる症状といえるでしょう。
症状②脱毛・爪の異常
人間の皮膚は、表皮・真皮・皮下組織の3層からできていますが、体毛や爪は表皮細胞が変化してできたものです。体毛や爪を構成する主成分はケラチンというタンパク質で、18種類のアミノ酸が結合してできています。そのうち、「シスチン」というアミノ酸の成分となるのが【イオウ】です。
イオウは皮膚・髪の毛・爪の構成成分として欠かせないミネラルで、他の栄養素の代謝にも関与します。髪の毛や爪の構成材料となるイオウが不足すると、抜け毛が増えたりや爪が弱くなるなどの症状が現れます。また、髪の毛や爪は皮膚の一部でもあるため、亜鉛不足もトラブルに繋がります。
症状③味覚障害
味覚には「塩味」「酸味」「甘味」「苦味」「うま味」の5つの基本味があり、これらの味覚を感じる装置が、舌や口腔内の粘膜表面に存在する【味蕾(みらい)】という器官です。この味蕾細胞の新陳代謝には亜鉛が欠かせない存在で、亜鉛が不足すると味蕾細胞の生まれ変わりに支障をきたし、味覚の低下が起こると言われています。
症状④食欲不振
亜鉛不足によって味覚障害が起きると、食べ物を美味しく感じることができなくなり、楽しいはずの食事の時間を苦痛に感じるようになります。また、消化・代謝活動の重要なサポート役となる【マグネシウム】や【塩素】の不足は、食べ物を摂取したいという生理的欲求の低下・喪失を招きます。
症状⑤冷え性・肩こり・頭痛
ミネラル・ビタミンは、3大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物)をエネルギー(熱)に変換するために不可欠な栄養素です。好きな食べ物ばかりを食べていたり、間違ったダイエットにより栄養バランスが偏ると、ミネラル・ビタミンが不足し、体温の基となるエネルギー(熱)を作り出せなくなり、冷え性の原因となります。また、血圧を上げるナトリウムが不足すると低血圧を招き、血行不良による肩こり・頭痛・しびれなどの原因となります。
症状⑥むくみ
体液は「細胞内液」と「細胞外液」の2種類に大きく分けられ、その体液の構成成分となるのが【ナトリウム】と【カリウム】です。ナトリウムとカリウムは細胞内外に存在し、互いに協力し合って体水分バランスの調整役を担っています。
通常、ナトリウムは細胞外、カリウムは細胞内に多く存在しますが、高塩分な食べ物でナトリウムを大量に摂取すると、細胞内へナトリウムと水分が入り込み、水膨れ状態となります。この状態がいわゆるむくみです。これを上手く調節するのがカリウムで、ナトリウムを尿と一緒に排泄させる働きを促します。日頃からむくみやすいと感じる方は、食事からのカリウム不足が原因かもしれません。
症状⑦痙攣
痙攣とは、自分の意思とは関係なく起こる筋肉の動きの一種で、筋収縮が継続する状態です。「まぶたが勝手にピクピク動く」「寝起きに足がつる」なども痙攣の症状です。
体液中に存在する【カルシウム・マグネシウム・ナトリウム・カリウム】などのミネラルイオンには、互いにバランスを保ちながら筋肉や神経の働きを調節する役割があります。加齢・肉体疲労・栄養不足などで、これらのミネラルバランスが崩れると、痙攣が起きやすくなると言われています。
症状⑧便秘・下痢
便秘解消といえば「食物繊維」ですが、実はミネラルやビタミンも腸内環境を整えるのに欠かせない栄養素なのです。食物繊維は腸内環境を良好にする【善玉菌】のエサとなりますが、その分解を助けるのがミネラル・ビタミンです。これらが不足すると、食物繊維の便秘解消効果が減ってしまいます。
下痢の原因の1つとして、亜鉛不足が挙げられます。亜鉛は新陳代謝の活発な部位で活躍する栄養素ですが、肌の新陳代謝サイクルが約1ヶ月であるのに対し、腸内の上皮組織は数日間で生まれ変わります。亜鉛不足によって、腸の新陳代謝が上手くいかないと、水分を吸収する力が落ち、下痢を引き起こしてしまうのです。
症状⑨倦怠感・疲労感
ミネラルやビタミンは体調の管理を担う生命活動に欠かせない栄養素です。それぞれが役割をしっかり果たすことで、血液の巡りを良くしたり、代謝をサポートしたり、身体の動きをスムーズにしてくれています。どちらが不足しても、健康な状態を維持できません。
中でも【鉄】が不足すると、血液の主成分で体のすみずみへと酸素を運ぶ【ヘモグロビン】の数が減少してしまい、貧血を引き起こす原因となります。特に女性は、月経などで鉄が不足しやすいため、食べ物・飲み物から意識的に摂取する必要があります。
症状⑩情緒不安定
「ちょっとしたことでイラついてしまう」「気分が落ち込みやすい」など、不安定な心の状態を上手く解消できない方は、自律神経が乱れている可能性があります。
自律神経には、活動状態を司る交感神経と、リラックス状態を司る副交感神経の2種類が存在し、シーソーのように交互に働くことで心身の健康を保っています。この自律神経バランスの調整役として、ミネラルが深く関与しています。
症状⑪生殖機能障害
精子や卵子などの生殖細胞は、細胞分裂が活発な細胞の1つです。この細胞分裂に必要な栄養素が【亜鉛】です。そのため亜鉛不足では、精子の数の減少や、妊娠を維持できないなど、性機能の低下がみられます。
亜鉛は性ホルモンの分泌にも関与し、不足すると性成熟が遅れる可能性もあります。
亜鉛は人の命を未来へと繋ぐ、とても大切な栄養素なのです。
ミネラル不足が招く4つの病気
病気は多くの場合、さまざまな要因が重なって発症に至ります。そのため、必ずしもミネラル不足が原因というわけではありません。しかし、栄養不足が引き金となり得る病気がたくさんあるのも事実です。
4つの病気の特徴・症状を把握し、自分の食生活に発症リスクが潜んでないか<リスクチェック>でチェックしましょう。1つでも当てはまったら、自分の生活習慣を見直す必要がありそうです。
代謝性疾患
つくる材料となったりします。これら一連の営みを「代謝」と言いますが、代謝性疾患とは、これらの代謝の働きが障害されて生じる病気のことです。
<主な代謝性疾患>
・糖尿病
・高血圧
・脂質異常症
・肥満症
・メタボ など
ミネラル・ビタミンは【体の調子を整える】働きを担い、代謝活動をサポートします。偏食や間違ったダイエットで食事からのミネラル・ビタミンが不足すると、代謝が上手くできなくなり、慢性化すれば発症に繋がります。
<リスクチェック>
・丼や麺料理などの単品料理で食事を済ませることが多い
・コンビニ弁当やお惣菜の利用が多い
貧血
<貧血の主な症状>
・動悸や息切れ
・めまい
・頭痛
・全身の倦怠感
・スプーン爪 など
貧血には種類がありますが、最も多いのが鉄欠乏性貧血です。その名の通り、鉄の摂取不足によって起こります。女性に多くみられる疾患で、無理なダイエットでの栄養不足・生理などが原因として挙げられます。
<リスクチェック>
・動物性食品(肉・魚介・卵・牛乳)を避けている
・あまり自炊しない(鉄鍋やフライパンを使って調理しない)
骨粗しょう症
体内のカルシウムの約99%は骨や歯の構成成分として存在し、残りの1%は血液・筋肉・神経に存在しています。生命活動の維持のためには、この1%のカルシウム(機能カルシウム)が重要です。骨は「カルシウムの貯蔵庫」とも言われ、血中のカルシウムが不足すると、骨からカルシウムを放出して補い、濃度を一定に保つようコントロールされています。つまり、食べ物や飲み物からのカルシウム摂取量が不足すると、骨からの放出量が多くなるため、骨量が少なくなるのです。
<リスクチェック>
・加工食品(ハム・ソーセージなど)をよく食べる
・飲酒・喫煙習慣がある
自律神経失調症
<自律神経失調症の主な症状>
・不安や緊張
・全身の倦怠感
・頭痛や肩こり
・手足のしびれ
・動悸や息切れ
・めまい など
強いストレス・緊張状態では交感神経が優位になります。この交感神経の興奮を抑える働きに関与するミネラルが、カルシウム・マグネシウム・亜鉛などです。これらのミネラルの不足は、自律神経のバランスを乱す原因となり得ます。
<リスクチェック>
・加工食品(ハム・ソーセージなど)をよく食べる
・穀類は精製度の高いものを選んでいる(精白米)
ミネラル不足の原因
原因①食生活の変化・偏食
しかし、昔に比べて土壌のミネラルは減少しており、そこで育った農作物のミネラル含有量も少なくなっています。また、精製度の高い食品(精白米・小麦粉・上白糖)が好まれる傾向にありますが、精製が進むほどに、ミネラル含有量は減少していきます。
加工食品の普及もミネラル不足の原因の1つです。塩分・リン酸塩(結着剤)の摂取量が過剰になると、他のミネラル(カルシウムや亜鉛など)の吸収を阻害してしまうのです。
原因②体水分の不足
体液は、食べ物や飲み物を摂取することで体内へ補給され、発汗や排泄などで体外へと排出されます。無意識的に一定量を保っているのです。高齢者のミネラル不足は、この体液の調節機能が上手くいかないことが原因の1つです。
激しい運動・発熱・下痢・嘔吐などで体液が減少・不足すると、同時にミネラルも不足します。この時、水のみを補給すると、体液の濃度が薄まってしまうため、体はミネラル不足に陥るのです。
食事からミネラル不足を解消しよう
ここからは、ミネラル不足の解消におすすめの食べ物・飲み物をご紹介します。
ミネラル不足の解消におすすめの食べ物
貝類は【鉄・亜鉛】などのミネラルが豊富に含まれる食べ物で、貧血・肌荒れ・倦怠感などの解消におすすめです。亜鉛を多く含む食べ物として牡蠣が有名ですが、実はあさりやしじみにもたくさん含まれているのです。
◆おすすめの食べ物②乳製品◆
チーズやヨーグルトなどには【カルシウム・リン】が多く含まれており、骨粗しょう症の予防・解消におすすめです。
カルシウムとリンは、丈夫な骨や歯を作るのに欠かせない栄養素です。しかし、リンを摂りすぎるとカルシウムの吸収率が下がると言われており、摂取バランスが重要となります。このバランスが良いのが牛乳・乳製品で、他の食べ物に比べて吸収率の良さはダントツです。
果物・野菜・海藻・豆類・いも類は、【カリウム】を豊富に含む食べ物です。中でも積極的に摂りたい食べ物は、ひじき・昆布・わかめなどの海藻類です。これら海藻類には、【アルギン酸】という食物繊維が含まれ、カリウムとナトリウムのバランスを調整する働きがあります。不足したカリウムを補いながら、過剰なナトリウムを排泄し、体液バランスを整えてくれる優秀な食べ物なのです。むくみの解消にも繋がります。
ミネラル不足の解消におすすめの飲み物
スポーツドリンクは、【ナトリウム】などのミネラルイオンの補給に優れた飲み物です。
スポーツドリンクは、ナトリウム・糖分濃度の違いから【アイソトニック飲料】と【ハイポトニック飲料】の2つに分けられます。体液と同じ濃度の飲料がアイソトニック飲料で、体液よりも低い濃度の飲料がハイポトニック飲料です。運動中では、発汗によって体液のナトリウム濃度が下がるため、ハイポトニック飲料の方が速やかに吸収されます。アイソトニック飲料は運動前、ハイポトニック飲料は運動中のミネラル補給におすすめです。
たんぽぽの根の部分を使った飲み物で、【カルシウム・鉄・カリウム】を豊富に含みます。また、ビタミンCも多く含まれ、鉄の吸収率を高めてくれます。利尿作用に優れ、むくみの解消にもおすすめです。
◆おすすめの飲み物③ルイボスティー◆
南アフリカ原産のハーブ、ルイボスを原料としたハーブティーです。【カルシウム・マグネシウム・カリウム】などのミネラルを豊富に含みます。さっぱりとした味で、日常的な水分補給にもおすすめです。腸内環境を整える作用もあるため、便秘解消効果も期待できます。
ミネラル不足を解消しスポーツを楽しもう!
しかし、体内では作り出せないため、食べ物や飲み物から補給する必要があります。
特に部活・クラブなどで、日常的にスポーツをしている人は、ミネラルをたくさん消費しています。ミネラル不足に気づかず、そのまま放っておけば、体調不良の引き金となり、やがて病気へと発展するかもしれません。ミネラル不足の症状をしっかり把握し、自分自身の体調をチェックする癖をつけましょう。ミネラルを豊富に含む食べ物・飲み物を上手に活用してミネラル不足を解消し、大好きなスポーツを思いっきり楽しみましょう!
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