ラットスプレッドのやり方とは?大胸筋や広背筋の筋肉を見せるポージング方法を解説
ラットスプレッドとは、ボディビル規定ポーズのフロントラットスプレッドとバックラットスプレッドのことを指し、どちらも背中を広げるポージングです。バックラットスプレッドでは肩甲骨を横に広げて広背筋が強調しますが、フロントラットスプレッドでは広背筋に加えて肩を前に出しながら大胸筋も強調します。
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公式ライター Activel_director
ラットスプレッドとは?
ラットスプレッドとは、背中を横に広げて筋肉の大きさをアピールするボティビルの規定ポーズで、前を向いて胸の筋肉を強調するフロントラットスプレッドと、後ろを向いて背中の筋肉を強調するバックラットスプレッドの2種類があります。ラットは背中を意味し、スプレッドが広げるを意味するため、前を向くフロントラットスプレッドでも脇の下が盛り上がる背中からの筋肉の強調が重要になるポージングです。
1番 | フロントダブルバイセップス |
2番 | フロントラットスプレッド |
3番 | サイドチェスト |
4番 | バックダブルバイセップス |
5番 | バックラットスプレッド |
6番 | サイドトライセップス |
7番 | アブドミナルアンドサイ |
ラットスプレッドで重要な筋肉
ラットスプレッドで重要な筋肉は、背中の大きさを強調する広背筋、胸の盛り上がりで上半身を大きく見せる大胸筋・上半身とのメリハリをつけて全身の大きさを強調する大腿四頭筋・ハムストリングの4つです。ラットスプレッドポーズは背中を横に広げて大きさを強調するのが重要になりますが、全身の筋肉が審査対象であるため、上半身、下半身ともに強靭な筋肉に仕上げなければなりません。
大胸筋
大胸筋の働き | 肩を水平に後ろから前へ振る働き 上腕を内側にひねる働き |
大胸筋の位置 | 鎖骨の下から第6肋軟骨まで |
大胸筋は胸を覆う強力な筋肉で、発達することで大きな盛り上がりができるためフロントラットスプレッドのポージングのときに上半身の大きさを強調する筋肉です。大胸筋は腕を横から前に振るときや上腕を内側にひねるときに強く働きます。
広背筋
広背筋の働き | 腕を後ろに引く働き 腕を上から下へ引く働き |
広背筋の位置 | 横:背中の真ん中から脇の下 縦:骨盤あたりまで |
広背筋は背中の大部分を覆う人体で最も面積の大きい筋肉で、広背筋が発達することで上半身が逆三角形の体格になるため、バックラットスプレッドポーズで最も重要な筋肉です。腕を前から後ろに引くときや腕を上から下へ引くときに働く広背筋は、骨盤に繋がっている筋肉のため、膝を曲げてお尻の筋肉を緊張させた姿勢を保ったまま肩を後ろに引く動作をすると広背筋がより収縮されます。
大腿四頭筋
大腿四頭筋の働き | 膝を伸ばす働き | |
大腿四頭筋の位置 | 太もも前 骨盤から脛骨まで |
大腿四頭筋は、大腿直筋・中間広筋・内側広筋・外側広筋の4つの筋肉群の総称で、太ももの前側に位置しているため、前を向くポージングのフロントラットスプレッドのときに下半身の大きさを際立たせる筋肉です。大腿直筋は骨盤に付着している筋肉であるため股関節を曲げるときにも働きますが、4つの筋肉は主に膝を伸ばすときに働きます。
ハムストリング
ハムストリングの働き | 股関節を伸ばす働き 膝を曲げる働き |
ハムストリングのある場所 | 太もも裏 座骨結節から膝関節まで |
ハムストリングは太もも裏にある半腱様筋・半膜様筋・大腿二頭長筋・大腿二頭短筋の筋肉群の総称で、バックラットスプレッドのときに下半身の大きさをアピールできる筋肉です。ハムストリングは膝を曲げる動きと股関節を伸ばす働きのときに力を発揮します。
ラットスプレッドポーズのやり方
ラットスプレッドポーズには、前を向くフロントラットスプレッドと後ろを向くバックラットスプレッドの2種類がありますが、どちらも下半身からポジションを決めて上半身のポージングへと移ります。全身の筋肉の割合が上半身よりも下半身が多いこと、体の芯となる骨盤周りを固めなければ上半身への力のいれ方が変わることから、下半身のポージングから決めた方がより筋肉を強調できます。
フロントラットスプレッドポーズのやり方
フロントラットスプレッドポーズのやり方は、足のつく位置を決め、下半身に重心をのせてから上半身のポージングへと移行してポージングを完成させます。まずは太もも前側の大腿四頭筋にうまく力を入れ、徐々に腹筋にも力を入れてから、肘を後ろに引いて肩甲骨を寄せ、広背筋に力を入れる準備をし、肘を前に出しながら広背筋に力をいれて強調します。最後に肩を前に出す動きと上腕を内側にひねる動きを意識しながら大胸筋に力をいれることができればポージングの完成です。
- かかとを付けてつま先が90度開いた状態にする
- 両脚は膝を少し曲げて、全身を支えるための重心を決める
- 太ももの前側にある大腿四頭筋に力を入れる
- 腹筋群を使い大きく息を吸う
- 手は軽く握り、ウエストの細い部分に親指を当てる
- 親指をあてたまま肘を前に出し、肩甲骨を広げる
- 肩甲骨を広げると同時に胸を張る
- 腹筋を使いお腹を引き上げる
- あごを引きすぎない
- 背中を丸めすぎない
- 背中を後ろに反らせすぎない
バックラットスプレッドポーズのやり方
バックラットスプレッドポーズのやり方は、足の位置を決めて身体を支えるために下半身の重心を安定させてから上半身のポージングを決めてポーズを完成させます。重心を安定させ、太もも裏のハムストリングに力を入れて強調し、腹筋にも力を入れます。腹筋に力を入れ腰回りを固めて、肘を後ろに引きながら肩甲骨を寄せて広背筋に力を入れ、最後に肘を開きながら肩甲骨を大きく横に広げるとポージングの完成です。
- 後ろ向きに立ち、足は腰幅程度に開く
- 片足を少し後ろに引いてかかとを上げる
- 膝は少し曲げ、ふくらはぎ、太もも裏、お尻に力をいれる
- 肘を後ろに引いて肩甲骨を背中中央によせる
- 手は軽く握り、ウエストの細い部分に親指をあてる
- 親指を当てたまま肘を前に出し、肩甲骨を広げる
- 肩甲骨を広げると同時に胸をはる
- あごを引きすぎない
- 背中を丸めすぎない
- 背中を後ろに反らせすぎない
ラットスプレッドポーズで筋肉を綺麗に見せるコツ
ラットスプレッドポーズで筋肉を綺麗に見せるコツは、バックラットスプレッドではいかに肩甲骨を大きく動かしながら広背筋に力を入れるかがポイントになり、フロントラットスプレッドのときは広背筋の強調に加えて、いかに大胸筋が働きやすいように腕を動かすかがポイントになります。
大胸筋を綺麗に見せるポージングのコツ
大胸筋を綺麗に見せるポージングのコツは、大胸筋の働きである肩を水平に後ろから前へ振る動きと上腕を内側にひねる動きをポージングに取り入れることです。そのため、フロントラットスプレッドの肘を後ろに引いてから前へ出すときに、鎖骨あたりに力を入れたまま肘を水平に後ろから前へ動かし、最後のポージング完成のときに上腕を内側にひねることで大胸筋をより強調できます。
- 鎖骨周辺に力を入れながら肘を後ろから前へ移動させる
- 上腕を少しひねるように肘を前に出す
広背筋を綺麗に見せるポージングのコツ
広背筋を綺麗に見せるポージングのコツは、広背筋の働きである肘を後ろに引く動きをポージングに取り入れながら、肩甲骨を下方向に向かって動かすことです。そのため、バックラットスプレッドで広背筋の力で、まず肘を後ろに引きながら肩甲骨を寄せます。肩甲骨を寄せるときには肩を下げることを意識しましょう。肩を下げて肩甲骨を寄せたら、肩甲骨を下に下げながら背中を横に広げるイメージで肘を開くと、より広背筋を強調できます。
- 広背筋を使って後ろに大きく肘を引きながら肩甲骨を寄せる
- 肩甲骨を下に下げるように力を入れながら肘を前に開く
ラットスプレッドにおすすめな筋トレ
ラットスプレッドにおすすめな筋トレは大胸筋を鍛えるダンベルフライ・広背筋を鍛えるチンニング、大腿四頭筋を鍛えるフロントスクワット、ハムストリングを鍛えるスティッフレッグドデッドリフトの4つで、初心者でもターゲットの筋肉を鍛えやすい種目です。筋肉を鍛えるためには正しいフォームで、自分にあった重量を扱うことが大切であるため、回数やセット数を参考にトレーニングを継続しましょう。
筋トレの種目 | 鍛えられる筋肉 | 難易度 |
ダンベルフライ | 大胸筋 | ★★☆ |
チンニング | 広背筋 | ★★★ |
フロントスクワット | 大腿四頭筋 | ★★★ |
スティッフレッグドデッドリフト | ハムストリング | ★★☆ |
ダンベルフライ
鍛えられる筋肉 | 大胸筋 |
回数/セット | 10回/3~4セット |
難易度 | ★★☆ |
ダンベルフライはベンチに寝た状態で両手にダンベルを持ち、体に対して垂直に腕を上げた状態から肩とダンベルが一直線になるまで腕を下ろして大胸筋を鍛えるトレーニングです。ベンチプレスに比べ、腕を動かす範囲が広くなるため大胸筋に効きやすく、またダンベルの重さを選びやすく初心者の方でも比較的簡単にフォームを習得できます。
- 頭・肩・お尻・両足をベンチ、または床にしっかりつける
- ダンベルを肩の真上にくるように持ちあげ、ダンベルを持つ親指を向かい合わせる
- 手首はまっすぐに、肘は45度くらい曲げた状態のまま、ダンベルが肩の高さまで下ろす
- 下したスピードと同じ速さでもとの位置まで戻す
- 一定の速さで繰り返す
- ダンベルを下ろすときに背中を反らせない
チンニング
鍛えられる筋肉 | 広背筋 |
回数/セット | 10回/3~4セット |
難易度 | ★★★ |
チンニングはバーにぶら下がった状態から自分の身体を引き上げることで広背筋を鍛えるトレーニングです。懸垂とも呼ばれ、初心者の方でもすぐにできるトレーニングですが、グリップ幅と握り方、足のポジションで得られる効果は変わります。肩幅よりこぶし1つ分のグリップ幅でバーを持ち、足を後ろに曲げた状態を維持しながら身体を引き上げることで、広背筋が鍛えられます。
- 肩幅よりこぶし1握り分広く手を広げ、オーバーグリップ(順手)でバーを握る
- バーにぶら下がり、膝を後ろに曲げて骨盤を固定する
- 骨盤を固定したまま、懸垂をしていく
- 膝を曲げた状態を保ったまま上体を持ち上げる
フロントスクワット
フロントスクワットは、肩の前でバーベルを保持しておこなうスクワットで大腿四頭筋を中心に下半身を鍛えるトレーニングです。バーベルを前に持つことでバックスクワットよりも大腿四頭筋への刺激を強めることができます。しかし、フロントスクワットはフォームの習得が難しいため、初心者の方はスミスマシンを使い、フォームの習得を最優先にするのもおすすめです。
鍛えられる筋肉 | 大腿四頭筋 |
回数/セット | 10回/3~4セット |
難易度 | ★★★ |
- バーベルは肩の上に乗せて、肩幅よりも広いグリップでバーベルを握る
- つま先は少し外側に向け、足は肩幅程度に開いて立つ
- 上腕が床と平行になるように肩甲骨を寄せて肘を上げる
- 状態が前に倒れないようにしながら膝と股関節を曲げていく
- 太ももが床と平行になるまで腰を下ろしたらスタートポジションに戻る
- 前傾しすぎない
- 膝をつま先よりも内側に曲げない
スティッフレッグドデッドリフト
鍛えられる筋肉 | ハムストリング |
回数/セット | 8~12回×3セット |
難易度 | ★★☆ |
スティッフレッグドデッドリフトは、バーベルを持ち、膝と股関節を固定しておこなう前屈運動でハムストリングを鍛えるトレーニングです。デッドリフトよりもフォームの習得が簡単で、初心者の方でも継続してトレーニングをおこなえば短期間で飛躍的な重量アップも期待できます。主にハムストリングを鍛えますが、フリーウエイトでの体幹を固定するやり方も身につけることもできる種目です。
- 足を腰幅に開いた状態でバーベルを持つ
- バーベルは肩幅程度のグリップ幅にして、体につける
- つま先は少し外側に向け、膝は少し曲げる
- 背筋を伸ばしたまま、バーベルは体に沿わせてゆっくりと体を前に倒す
- 太ももに張りを感じる位置まで下げたら、ゆっくりスタートポジションに戻る
- 一定の速さで繰り返す
- バーベルは体から離さない
- 背中を丸めない
ラットスプレッドが綺麗なポージング集
ラットスプレッドが綺麗なボディビルダーには、世界的なコンテストであるミスターオリンピアの優勝経験があるフィルヒース、カイグリーン、ブランドンカリー、そして2019年のミスターオリンピアで2位になったウィリアムボナックがいます。ラットスプレッドポーズ1つとっても、背中に立体感があったり横に大きく広かったりとボディビルダーによって筋肉の出方は違うため、自分好みのポージングを見つけてポージング練習の参考にしましょう。
フィルヒース
生年月日 | 1979年12月18日 |
出身地 | アメリカ・ワシントン州シアトル |
身長 | 175cm |
職業 | IFBBプロボディビルダー |
主な受賞歴 | 2011~2017年:ミスターオリンピア優勝 2013年:アーノルドクラシックヨーロッパ優勝 |
引退年 | 現役 |
2011年から世界一のボディビルダーを決めるミスターオリンピアで7年間も優勝し続けたフィルヒースは、全身の仕上がりがとにかく素晴らしいのですが、特に太く強靭な下半身を武器です。
フィルヒースのフロントラットスプレッドでは、筋が通り盛り上がった大胸筋に脇の下からも見える広背筋の盛り上がり、そして上半身に負けないほど大きく発達した大腿四頭筋が目を惹きます。
カイグリーン
生年月日 | 1975年7月12日 |
出身地 | アメリカ・ニューヨーク州ブルックリン |
身長 | 172.5cm |
職業 | IFBBボディビルダー |
主な受賞歴 | 2009,2010,2016年: アーノルドクラシック優勝 |
引退年 | 現役 |
カイグリーンは3度もアーノルドクラシックを優勝している実力のあるボディビルダーです。カイグリーンのバックラットスプレッドでは、まるで人体模型を見ているのかと思うほどに広背筋の形がはっきりとわかるほど浮き出ていて、強靭な上半身であることが見ただけでわかります。またハムストリングが大きいだけではなく、細か筋も見えているのがポイントです。
ウィリアムボナック
生年月日 | 1982年5月18日 |
出身地 | ガーナ共和国 |
身長 | 170cm |
職業 | IFBBプロボディビルダー |
主な受賞歴 | 2020年:アーノルドクラシック優勝 2019年:ミスターオリンピア2位 |
引退年 | 現役 |
ウィリアムボナックは2020年にアーノルドクラシックを優勝している実力のあるボディビルダーです。ウィリアムボナックのバックラットスプレッドは1つ1つの筋肉の盛り上がりが大きく、背中に立体感があります。下半身も強靭で、腓腹筋の大きな盛り上がりもポイントです。
ブランドンカリー
生年月日 | 1982年10月19日 |
出身地 | アメリカ・テネシー州ナッシュビル |
身長 | 172.5cm |
職業 | IFBBプロボディビルダー |
主な受賞歴 | 2019年:ミスターオリンピア優勝 |
引退年 | 現役 |
ブランドンカリーは2019年の世界的なボディビルダーを決める大会であるミスターオリンピアを優勝しているボディビルダーです。ブランドンカリーのフロントラットスプレッドは大胸筋の盛り上がりもすごいのですが、大きく広がった広背筋で見事な逆三角形の体が筋肉の立体感を醸し出しています。大腿四頭筋も1つ1つの筋肉が浮き出ているのもポイントです。
ラットスプレッドのポージングを理解しよう!
ラットスプレッドのポージングを理解するためには、審査員からどう見えているかも頭に入れなけばなりません。筋肉を強調させることはもちろんのこと、リラックスしてからポージングに入るときに無駄な動きをせずにラットスプレッドに重要な筋肉を強調できているかも大事な審査基準です。筋肉の仕上がり、ポージング技術に加えて、審査されることも意識してラットスプレッドポーズの完成度も高めましょう。
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