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投手交代のルールとは?ピッチャーを変えるときの条件を知ろう!

投手交代のルールとは?ピッチャーを変えるときの条件を知ろう!

ピッチャー交代は野球規則5.10に定めがあり、試合が停止しているときならばいつでも可能です。ピッチャーには負傷や病気の場合を除いて登板時の打者が進塁するかアウトになるまで交代できない投球義務のルールがあり、ルールを守れば人数制限なくピッチャーを交代できます。

2024.04.02 野球

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公式ライター
emikobayashi215

学生時代に水泳とバドミントンを競技し、保護者として空手に携わる姉妹の母。愛犬ジャックラッセルテリア(2022.6生まれ)の散歩で1日約3時間歩くことが日課。2023年は犬の散歩で減量を試行錯誤中。


プロ野球のピッチャー交代のルール

日本のプロ野球のルールは野球規則に則り定められ、ピッチャー交代のルールは野球規則の5.10に記載があります。

プロ野球の試合では、投手も野手も先発メンバーと控えのメンバーが試合途中で人数制限なく交代できるため、ベンチ入りする8人~10人の投手全員が試合に登板することも可能です。ただし先発投手は、登板時のバッター1人が進塁するかアウトになるか試合が攻守交代になるまで投球する義務があります

プロ野球のピッチャー交代

プロ野球1軍の試合の登録人数
出場選手登録の人数 最大29人
一般的な投手の登録人数 9~10人
外国人枠 投手と野手あわせて最大4人
1試合でベンチ入りできる人数 最大25人

プロ野球のピッチャーは、1球団で12人~15人ほど出場登録され、1試合で8~10人程度ベンチ入りしています。

野球に交代人数を制限するルールはなく、試合の途中で何人もピッチャーの交代ができるため、ベンチ入りしているピッチャー全員を試合に登板させることも可能です。ただし1度試合に出た選手は、選手交代で1度ベンチに退いてしまうと同じ試合に再出場できません。

プロ野球のピッチャー交代の基本的なルール

プロ野球のピッチャー交代の共通ルール
  1. ピッチャーは、交代でベンチに退いたら同じ試合に再出場できない
  2. 選手交代でピッチャーが別の守備についた場合、同一イニング内ではもう1度ピッチャーにのみ守備変更することができる

プロ野球のピッチャー交代のルールには、先発投手と救援投手両方に共通して適用されるルールと先発投手のみ、救援投手のみに適用されるルールがあり、共通のルールは野球規則5.10(d)に記されています。

特に投手が選手交代で別の守備につく場合のルールは複雑で、同じ投手が同一イニング内に再登板できる回数は2回まで、投手から野手に移動した選手が同一イニングで投手以外の別ポジションに移動することはできません。

先発投手に適用される投手交代のルール

先発投手交代のルール
  1. 先発投手は第1打者かその代打者が進塁もしくはアウトになるまで交代できない
  2. 1の条件下でも先発投手が負傷や病気で以後の投球ができないと審判が認めた場合は交代できる

先発投手にのみ適用される投手交代のルールは、投球義務がある打者の人数や条件で、野球規則の5.10(f)に記されています。

日本のプロ野球では、病気やケガで投球できないと審判が認めない限り、先発投手は最低1人の打者を進塁させるかアウトにするかするまで交代できません。

救援投手に適用される投手交代のルール

救援投手の交代のルール
  1. 救援投手は、試合に出たときの打者か代わりの打者が進塁するかアウトになるか攻守交代になるかするまで交代できない
  2. 1の条件下でも、救援投手が負傷や怪我で投球できなくなったときは交代できる

救援投手に適用される交代のルールは、試合に出たとき打席にいる打者かその代打者が進塁もしくはアウトになるか、攻守交代になるかするまで交代できないことで、野球規則の5.10(g)に定められています。

審判へのピッチャー交代の申告方法

ピッチャー交代の申告方法
  1. 投手の交代をするときは、監督が球審にその旨を通告する
  2. 1のとき、打順も一緒に伝えなければならない
  3. 投手の交代は、プレーしていないときならばいつでも可能

試合中に投手を交代をする場合には、監督がその旨を交代する選手の打席順とともに球審へ通告する必要があり、野球規則の5.10(b)に定められています。

ピッチャーの交代には、監督の通告と球審の受理が必須となるため、投手が自ら降板したいときも勝手にマウンドを降りることはできず、監督にジェスチャーや声で交代の意思を伝え、監督の指示を受けることが必要です。

ピッチャー交代と監督コーチがマウンドに行ける回数の関係

投手交代と監督コーチがマウンドに行く回数のルール
  1. 同一投手のとき、監督やコーチがマウンドへ行ける回数は2回までとする
  2. 同一投手のとき、監督やコーチが1回マウンドに行ったならば、2回目には必ず投手を交代しなければならない
  3. 監督が投手交代を審判に通告したあとにマウンドへ行くならば、回数に数えない
  4. 投手が負傷した場合、監督は球審に許可を要請し得られれば回数に含まずマウンドに行ける

野球では投手がピンチに陥ったり交代が必要になった場合、監督やコーチがマウンドへ行き投手へ声掛けをしますが、監督コーチがマウンドに行く回数は投手交代に影響を及ぼすことがあり、野球規則5.10(l)に明記されています。

監督やコーチが同一投手同一イニングでマウンド行ける回数は最大2回で、2回目にマウンドへ行ったならば投手は必然的に試合から退かなければなりません。

プロ野球と他の野球組織のピッチャー交代ルールの違い

日本プロ野球と他の野球組織は、同じ野球規則を元にルール制定をしていますが、投手交代のルールが若干異なります。

少年野球では、子どもたちの怪我を防ぎ健康を優先する目的から、特別に投球球数やイニング数に制限を設けることが一般的です。高校野球も社会人野球も投手の人数がプロ野球より少ないため、投手から野手にポジション変更した選手が同一イニング中にもう一度別のポジションへ移動することを認めています。

少年野球のピッチャー交代ルールの違い

ルール プロ野球 少年野球
ベンチに退いた選手の再出場 × ×
同一イニング内で野手に交代したのちの再登板
再登板後の再守備変更 ×
投球義務(最低1打者)
監督の申告による投手交代
監督コーチがマウンドに行く回数の制限 2回まで 連盟で異なる
球数・イニング数の制限 ×
休息日の条件 ×

少年野球では、ピッチャー交代に子どもの健康を重視した球数制限の特別ルールがあり、小学校高学年で1日85球、10歳以下は1日75球投げたときに必ずピッチャー交代が必要となります。また1日に20球以上投げたピッチャーは、球数に応じて1~4日の休息を取らなければならず、休息期間中はピッチャーとして試合に出られません。

一方、守備変更はプロ野球より制限が大幅に緩く、同一イニング内も自由に何度も交代可能です。

高校野球のピッチャー交代ルールの違い

ルール プロ野球 高校野球
ベンチに退いた選手の再出場 × ×
同一イニング内で野手に交代したのちの再登板
再登板後の再守備変更
投球義務(最低1打者)
監督の申告による投手交代
監督コーチがマウンドに行く回数の制限 2回まで 伝令役が3回まで
球数・イニング数の制限 × 1週間で500球まで
休息日の条件 × 大会で異なる

高校野球はベンチ入りできる人数が18人とプロ野球より少ないため、同一イニング内で投手が別のポジションについたのち、さらに野手の別ポジションへ守備変更することが可能です。ただし1度降板した投手が野手から再登板した場合は、別のポジションに再移動できません。

また高校野球では、監督に背番号がなくグラウンド内へ行けないため、伝令役の選手が監督の代わりにマウンドへ3回まで行けます。

社会人野球のピッチャー交代ルールの違い

ルール プロ野球 社会人野球
ベンチに退いた選手の再出場 × ×
同一イニング内で野手に交代したのちの再登板
再登板後の再守備変更 × 連盟や大会で異なる
投球義務(最低1打者)
監督の申告による投手交代
監督コーチがマウンドに行く回数の制限 2回まで 3回まで
球数・イニング数の制限 × 1日7イニングまで
休息日 × ×

社会人野球のピッチャー交代は、基本的に高校野球と同じルールを用いることが多く、同一イニング内で1度投手から別のポジションに交代した選手がさらに別のポジションへ移動することが認められています。高校野球と同じルールを用いる理由は、選手が別の仕事を持つ一般社会人でプロ野球選手より怪我のリスクが高いと判断されているためで、少年野球や高校野球と同じくイニング数の制限も設けられています。

メジャーリーグのピッチャー交代ルールの違い

ルール 日本プロ野球 メジャーリーグ
ベンチに退いた選手の再出場 × ×
同一イニング内で野手に交代したのちの再登板
再登板後の再守備変更 × ×
投球義務 最低1人 最低3人
監督の申告による投手交代
監督コーチがマウンドに行く回数の制限 1イニング2回まで 1試合6回まで
球数・イニング数の制限 × 100球程度
休息日 × ×

アメリカメジャーリーグMLBと日本プロ野球の投手交代では、投球義務の生じる人数が大きく違い、日本の最低打者1人に対しMLBでは最低3人の打者を進塁させるかアウトにしなければなりません。メジャーリーグの投球義務人数は、2020年シーズンに変更された比較的新しいルールで、試合進行を円滑にし、試合時間を短縮することを目的としています。

ピッチャー交代のルールで起こった試合中のトラブル例

プロ野球でトラブルの起きやすいルール野球規則5.10(l)-抜粋
  • (2)監督またはコーチが、1イニングに同一投手のもとへ2度目に行けば、その投手は自動的に試合から退かなければならない
  • (3)監督コーチが投手交代せず1度ベンチに行き引き上げたら、投手は打席にいる選手の対応を終えるまで交代できない
  • (4)攻撃側がその打者に代打者を出した場合には、監督またはコーチは再びその投手のもとへ行ってもよいが、その投手は試合から退かなければならない

プロ野球の試合でピッチャー交代に関係するトラブルの多くは、野球規則5.10(l)のルールが原因で、監督コーチがマウンドに行った回数やタイミングを審判や監督が誤認することで起こります。

またプロ野球以外で起こるトラブルの多くは、プロ野球と異なる同一イニング内のポジション変更回数の特例を誤認していることが原因で、審判も正しくルールを把握しておらず、規則違反のまま試合が成立することも珍しくありません。

正しい投手交代の例

一般的なプロ野球の投手交代
  1. 【必須】監督が球審にピッチャー交代(交代する選手名とポジション)を申告する
  2. マウンドに行きピッチャーに交代を告げる
  3. 【必須】次に投げる投手がマウンドに行く
  4. 【必須】投げていた投手がマウンドを降り試合を退く※再出場不可
  5. 【必須】監督がマウンドを降りベンチへ戻る
  6. 次に投げる投手が準備投球をする
  7. 【必須】試合が再開される

ピッチャー交代をするとき、監督はマウンドに行くことのできる回数の制限を考慮し、球審にピッチャー交代を申告してからマウンドへ向かいます。監督はマウンド上で投手を退け、そのまま新しく出てきた投手に指示を与えベンチに引き上げているため、野球規則5.10(l)【注3】の規定により動画の場面では、監督コーチがマウンドに行ける回数に影響を与えません。なお、ピッチャー交代時にマウンドに行くことは任意です。

監督の行動ミスで投手交代が認められなかった例

2019/10/5セリーグ・クライマックスシリーズDeNAvs阪神
状況 ・DeNA投手コーチが投手の元に行き、1度ベンチに戻る
・直後に再びコーチが投手の元に行き、監督が審判に投手交代を告げる
結果 投手交代は認められない
理由 最初に1度コーチが投手の元に行ったことで、該当打者終了まで交代不可になるため

2019年10月5日のDeNA阪神戦では、1死三塁のピンチでDeNAベンチがルールの適用を間違え投手交代できないシーンがありました。

DeNAは規則(4)の1イニングに2回同じ投手の元に行ったならば投手交代させなければならないルールで投手交代を図りましたが、1回目に投手の元に行ったことで(3)の打席にいる選手の対応を終えるまで投手交代できないルールがすでに適用されていたため、交代は認められませんでした。

コーチが1度マウンドに行ったことでピッチャー交代の協議がされた例

2021/6/20巨人vs阪神
状況 ・巨人コーチが投手の元に行き、投手が交代する
・阪神が代打を出し、代打のアウトカウントが2-2となる
・巨人監督が投手交代を告げる
結果 投手交代が認められる
理由 巨人コーチが投手の元に行ったタイミングが阪神の代打申告の直前だったため

2021年6月20日の巨人阪神戦では、巨人監督のルールを知り尽くした奥の手に審判団や観客が惑わされるシーンがありました。

野球規則5.10(注2)はコーチが1度投手の元に行ったならば、打席にいた打者が終わるまで投手交代できないルールで、審判団は巨人の投手交代が注2の規則に反すると考えました。しかし巨人コーチがマウンドに向かったタイミングは阪神の代打が告げられる直前で、打者が異なるため交代が成立しました。

同一イニングで複数回投手以外の守備に入ろうとした高校野球の例

2011/7/26高校野球広島大会準決勝
状況 ・先発投手がレフトに交代
・同一イニングで再びレフトから投手に交代
・同一イニングで再び投手からレフトに交代
・相手監督が抗議
結果 2回目の投手からレフトの交代は認めない
理由 同一イニングで再登板した後は野手になれないため

2011年7月26日の高校野球広島大会では、審判がルールに反した選手交代を受理し、相手チームからの抗議で投手交代ミスが発覚するトラブルがありました。

高校野球では、同一イニング内で投手-野手-投手の交代は可能ですが、再登板後の野手移動は認めていません。当試合では審判団が再登板後の野手移動を受理したことも原因なため、該当チームの規則違反による没収試合とはせず、教育的配慮で投手を元に戻し試合続行としました。

日本プロ野球における投手交代ルールの未来

野球規則5.10(g)-後半抜粋
  • 以下はマイナーリーグで適用される。先発投手または救援投手は、打者がアウトになるか、一塁に達するかして、登板したときの打者(または代打者)から連続して最低3人の打者に投球するか、あるいは攻守交代になるまで、投球する義務がある。ただし、その投手が負傷または病気のために、それ以降投手としての競技続行が不可能になったと球審が認めた場合を除く。
  • 【注】本項後段については、メジャーリーグでも適用されるが、我が国では適用しない。

2020年度版以降の野球規則5.10(g)には、日本野球界で適用しないルールにも関わらず、メジャーリーグの投球義務の記載がされています。

投球義務の人数変更は、日本プロ野球機構が2019年11月のオーナー会議で提言し、時間短縮に有効であると認証を受けました。ただしその後、ワンポイント登板禁止に反対する選手会側の反対で2022年度まで導入に至っていません。2023年以降のルール変更に注目が集まります。

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