ショート(遊撃手)の役割と求められる能力とは?【野球のポジション】
野球のショートは、打球の処理のほか、ベースカバーやカバーリングの役割を担います。ショートは野球の守備の華と表現されます。捕って投げるという基本がきちんとできることに加え、広い守備範囲を実現するフットワークと、長い距離の送球でも球威が落ちない肩の強さ、判断力の高さが求められます。
Writer
公式ライター Activel_director
野球のショートとは?
名称 | ショート |
---|---|
正式名称 | ショート ストップ |
英語表記 | Short Stop |
英語略表記 | SS |
日本語 | 遊撃手 |
数字表記 | 6 |
ショートの名前の由来
ショートを遊撃手と呼ぶ由来
ショートに求められる能力
・フットワークの速さ
・捕球の正確さ
・肩の強さ
・判断力の高さ
ショートは非常に守備範囲が広いことに加え、自身で打球を処理する以外でも、ベースカバーやカットプレーなどたくさん守備の機会が訪れるポジションです。ショートは守備の華ともいわれますが、セカンド(二塁手)とともに、高い守備能力が求められます。
ショート(遊撃手)のポジション位置
ショートの守備位置は、3つの要件によって変化させることが重要です。
・右打者か左打者か
・走者の位置
・得点差
ショートの守備範囲
野球の守備では、守備範囲が広いに越したことはありません。例えば、ショートが、二遊間や三遊間を抜けてヒットになりそうな打球を捕球しアウトにすることができれば、守備面の貢献度は高いといえます。
状況に合わせて守備位置を変更する
条件 | 守備位置の変更のやり方 |
---|---|
打席に右打者 | 三塁手寄り(三遊間を狭める) |
打席に左打者 | 2塁ベース寄り(二遊間を狭める) |
走者が1塁にいる | 2塁ベース寄り(盗塁時のベースカバーに備える) |
走者が3塁にいる | 2塁ベースと3塁ベースを結んだ線より前 |
ショート(遊撃手)の役割
・打球の処理
・ベースカバー
・カバーリング
ゴロ、フライ、ライナーなどの打球の処理が基本としてあります。ベースカバーは、二塁ベースと三塁ベースが対象です。ほかの選手のカバーリングには、外野手からの返球を中継する中継プレイも含まれます。
打球の処理
走者がいない状況で、送球が難しい打球は二遊間や三遊間の打球です。ショートは、内野手の中で最も1塁ベースまで遠いので、体勢が多少崩れていても強く正確な送球を求められます。また、走者がいるときは、ピッチャーが投球する前に、打球の質や捕球した場所に応じた送球先などを考えられるだけ想定しておきましょう。
ベースカバー
ボールを捕球してベースを踏むと走者がアウトになる
ボールを捕球したグラブあるいは素手で握ったボールで走者に触れるとアウトになる
カバーリング
例えば、走者が3塁にいる状況で、投球を受けたキャッチャーがピッチャーに対して返球をするときに、ピッチャーの後方に移動しカバーリングをします。これは、万が一キャッチャーの返球がそれたときにも3塁走者をホームインさせない意味があります。
ボテボテの三塁ゴロでも、三塁の後ろに回り込んで後逸に備えるなど、自身に打球が飛んでこなくても、カバーリングというやるべきことがあります。
ショート(遊撃手)の動き方①打球
打球に対しては、体の正面で捕球することが基本ですし、ベースカバーは、基本的な動き方は決まっており、事前に想定さえしておけば難しいことはありません。カバーリングは、習慣づけることが重要です。
打球に対する動き方
【仁志敏久から学ぶ 野球の基礎・基本】キャッチボールの正面とは
・打球に対する1歩目を早く出す
・打球を体の正面で捕球する
・送球するときは、慌てずしっかりとボールを握る
特に重要なことは、体の正面で捕球することですが、決して打球に対して体を垂直に持っていくことを意味してはいませんので注意してください。3つのことをこなせるように捕球から送球までを、より素早くできるように技術を磨いていきましょう。
ショート(遊撃手)の動き方②ベースカバー
シチュエーション | 対象ベース | 動き方 |
---|---|---|
1塁走者が盗塁 | 2塁 | キャッチャーからの送球を捕球し走者にタッチ |
走者1塁で2塁ベースより右側に内野ゴロ | 2塁 | 送球を捕球しベースを踏んだ後1塁へ転送 |
センターより右側へ長打 | 2塁 | 送球を捕球し捕殺できそうなら走者にタッチ |
2塁走者がいて送りバントされる | 3塁 | 送球を捕球し走者にタッチ |
2塁走者がいて投手が牽制する | 2塁 | 牽制球を捕球し走者にタッチ |
走者2塁で送りバントされたときのベースカバー①
投手 | 3塁側の打球処理に動く |
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一塁手 | 1塁側の打球処理をすべく前進する |
二塁手 | 一塁手が前進するので1塁ベースのカバーに入る |
三塁手 | 投手あるいは一塁手が処理した後の送球 |
遊撃手 | 2塁ベースのカバーに入る |
走者2塁で送りバントされるときのベースカバー②
投手 | 1塁線側の打球処理に動く |
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一塁手 | 1塁への送球に備え1塁のベースカバーに入る |
二塁手 | 2塁ベースのカバーに入る |
三塁手 | 3塁線側の打球を処理すべく前進する |
遊撃手 | 3塁ベースのカバーに入る |
走者2塁で送りバントされるときのベースカバー③
内野手全体の動きは①のパターンと同様ですが、1塁、2塁、3塁の全てのベースでフォースプレイになり、ベースカバーの意味が異なるので注意が必要です。理由は次のパターンでダブルプレーが成立する可能性があるからです。
・3塁、2塁の順でダブルプレー
・2塁、1塁の順でダブルプレー
走者2塁で送りバントされるときのベースカバー④
シチュエーションは、1塁にも走者がいる前提です。内野手全体の動きは②のパターンと同様ですが、打者走者を含むすべての走者に対しフォースプレイが成立するため、ベースカバーの意味が異なります。
ショートは、ベースカバーに入った3塁に送球が来た場合、捕球してベースを踏んだ後、すぐさま2塁か1塁への転送を考え、どちらかに間に合えばダブルプレーが成立します。
ショート(遊撃手)の動き方③カバーリング
カバーリングの動き方
・ほかの選手への打球や送球に対するカバーリング
・中継プレー(カットプレー)
打球や送球に対するカバーリングは、味方のエラーや暴投を帳消しにしたり、チームに対するダメージを減らすプレイです。ショートは主に、ピッチャーやサードのカバーリングをします。
中継プレー(カットプレー)は、外野手から深めのポジションで打球を処理し、返球する距離が長くなった時などに必要です。ショートは主に次のシチュエーションで中継プレイを行います。
・センターあるいはライトから3塁に送球されるとき
・レフトからホームへ返球(バックホーム)されるとき
・レフトから2塁に送球されるとき
カバーリング①三塁手への打球に対して
カバーリング②捕手から投手への返球に対して
ピッチャーへの返球に対するカバーリングは、走者がいなくても行うようにしましょう。習慣づける意味と、体をほぐす意味もあります。
カバーリング③右中間から3塁へ返球するための中継プレイ
右中間へ打球が飛んだときは、2塁打以上が想定されるので、まずは2塁ベースカバーをし、3塁まで打者走者が進塁するときに中継プレイに移ります。
カバーリング④左中間からバックホームたするための中継プレイ
外野手からの送球を捕球したらすぐさま、ホームに送球しますが、距離が遠い場合は、もう一人中継プレイヤーがいますので、その中継プレイヤーに向かって送球します。
ショート(遊撃手)の守備
L源田壮亮 54個『たまらんゴロ捌き』を一気に振り返る!!《THE FEATURE PLAYER》
・打球を捕ってから送球する
・状況に合わせた判断力
打球を捕ってから送球することは、あらゆるポジションで重要なことですが、1塁までの距離が長いショートは、ファンブルなどによる少しのタイムロスで、アウトにすることができなくなります。従って、まずきちんと捕球することに集中してください。状況に合わせた判断力は、特に走者がいるシチュエーションにおいて重要です。
打球を捕ってから送球する
また、送球するにあたっては、二遊間寄りの打球と三遊間寄りの打球とで、捕球時の重心と送球先に対する角度が変わります。ショートは、より速く強いボールを投げることができる態勢で捕球し、捕球から送球に至るまでのスピードを磨く練習を重ねなくてはなりません。
状況に合わせた判断力
・得点差
・アウトカウント
・走者の位置
・走者の走力
・味方の守備力(守備範囲や肩の強さ)
状況に合わせた判断が求められる例
時には、1塁へ偽投するのもテクニックですが、打球がボテボテであったり、打者走者が俊足の場合は、3塁走者を牽制する時間は非常に短いものとなります。
ショート(遊撃手)のグローブとは?
捕球するとき、グローブのポケットを使うことは基本ですが、上級者になると、持ち替えを速くするために、グローブのヒンジを広くし、よりポケットを浅くして、手のひら部分に当てるように捕球します。また、プロ選手においては、指の入れ方を工夫する選手もいます。
ウェブのタイプ
ウェブの名称 | 形状 |
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十字(クロス) | ベルトで漢字の「干」の形 |
H | ベルトでローマ字の「H」を横にした形 |
ワンピース | カタカナの「ロ」の形 |
ネット | ベルトでローマ字の「T」で空いた部分に革紐で編み込み |
ショート(遊撃手)の有名選手とは?
【超絶ファインプレー集!ショート編】豪華なショートストップベストプレーまとめ!
■オジー・スミス
■宮本慎也
守備の評価が高い選手の特徴はやはり、エラー(失策)が少ないことと、ヒット性の打球をアウトにする頻度が高いことが挙げられます。修練のたまものであり、守備位置の変更といったプレイが始まる前の準備が的確なのです。
オジー・スミス
名前(カタカナ) | オスボーン・アール・スミス |
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名前(英語) | Osborne Earl Smith |
生年月日 | 1954年12月26日 |
身長 | 180.3cm |
主な所属チーム | サンディエゴ・パドレス/セントルイス・カージナルス |
主な受賞歴 | ゴールドグラブ賞(13回・1980年-1992年) |
通算補殺数 | 8375 |
通算失策数 | 281 |
宮本慎也
名前(漢字) | 宮本慎也 |
名前(英語) | Miyamoto Shinya |
生年月日 | 1970年11月5日 |
身長 | 176cm |
主な所属チーム | 東京ヤクルトスワローズ |
主な受賞歴 | ゴールデングラブ賞(10回・1997年/1999年-2003年/2009年-2012年) |
通算(刺殺+補殺)数 | 8070 |
通算失策数 | 107 |
ショート・遊撃手は内野手の花形
ただし、花形ではあるものの、派手なプレーを求められているわけではありません。打球の処理に加え、的確なベースカバーや丁寧なカバーリングなど、瞬間的な判断力の土台となる野球頭脳も鍛えなければなりません。上手いショートがいるとチームの守備力は大きく向上するのです!
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