手打ち野球とはどんなスポーツ?ルールや遊び方などをわかりやすく解説!
手打ち野球は、子供の遊びで楽しんだ人も多いですが2018年に競技化されベースボール5の名称で急速に拡大し、2021年現在70か国以上で楽しまれワールドカップやユースオリンピックでの実施も決定しています。手打ち野球は、広い場所もいらず道具はゴムボール1個だけで試合ができ、簡単で気軽に楽しめるスポーツです。
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公式ライター poporof
球技好きで、特にプレミアリーグを中心に海外サッカー好きです。国内ではプロ野球好きで、両方とも30年以上の観戦歴があります。知っていると観戦がより楽しめる情報をお伝えしていきます。
手打ち野球とは?
手打ち野球とは、野球をルーツにした子どもの遊びでしたが、2018年にベースボール5の名前で競技化され場所を選ばずに気軽に楽しめる野球を簡単にしたスポーツです。
バスケットボールコート程度の広さで屋内でも屋外でも楽しめ、バットもグローブもいらずゴムボール1個あればプレーでき、手間がかからず安全で幼児から大人まで気軽にプレーできます。ベースボール5は、キューバの手打ち野球を参考にしフランスで発祥しました。
手打ち野球の起源
手打ち野球を競技化したベースボール5の起源はキューバです。手打ち野球は、元々野球をルーツにした子どもの遊びで子ども同士や地域でルールを決めて遊んでいましたが、世界野球ソフトボール連盟がルール整備し、手打ち野球を競技化したベースボール5が2018年から始まりました。
ベースボール5は、キューバで遊ばれていた手打ち野球クアトロ・エスキーナスを参考にフランスで発祥しました。
手打ち野球の競技人口
手打ち野球 | 約2000人(2018年フランスのみで算出) |
バレーボール | 約5億人 |
バスケットボール | 約4億5000万人 |
サッカー | 約2億6000万人 |
野球 | 約3500万人 |
手打ち野球を競技化したベースボール5は2018年から始まりましたが、世界野球ソフトボール連盟は競技人口の発表は2021年時点でされていません。ペースボール5が発祥したフランスでは、国内で2020年に約2000人に増加し、世界では70か国以上に広まり急速に拡大しています。
手打ち野球の試合のルール
ベースボール5の試合は、5人対5人の対戦で5回ずつ攻撃と守備を交互におこない得点が高いチームが勝利します。攻撃と守備の交代は、攻撃チームがミスや反則をするとアウトとなり、アウトが3個になると交代します。
攻撃チームの目的はアウトを3個とられずに得点することで、守備チームの目的は攻撃チームからアウトを3個とり守備から攻撃に交代することです。公式戦では、ホームチームが守備から始めます。
人数
試合をプレーする選手は、各チーム5人ずつで控え選手は3人までです。公式戦では、最高8人まで登録でき最低5人そろわなければ負けでゲーム終了になり、男女混合の大会での守備チームは男と女最低2人ずついれます。
選手交代は、攻撃と守備が代わるときにでき、先発選手は一度交代しても自分の打つ順番が回ってきたらまた交代できますが、控え選手は一度しか交代できません。選手がケガした場合は、いつでも交代できますがケガした選手が再度試合に戻ることはできません。
イニング
イニングとは、両チームが攻撃と守備を1回ずつ交互におこなうことです。ベースボール5では、5回ずつ攻撃と守備を交互におこない5イニングで得点が高いチームの勝利です。同点の場合は延長戦があり、国際大会ではイニング数が変更されることもあります。
得点
ベースボール5は、正方形の各コーナーにベースがあり,本塁から時計の反対回りに1塁ベース、2塁ベース、3塁ベースがあります。攻撃チームが、1塁・2塁・3塁・本塁と順番にベースを足でふみながらタッチして進み、選手一人が本塁をタッチするたびに1点ずつ入ります。
フェアゾーン
ベースボール5は、図の黄色い部分のフェアゾーンに攻撃チームのバッターは、ボールを打ってバウンドさせないとアウトになり、守備チームはバッターが打ったときににフェアゾーンにいなくてはいけません。
ポジション
守備チームのポジションは、バッターが打ったときにフェアゾーン内にいればどこにいてもかまいませんが、5人が同じくらいの広さをカバーできるポジションにすることが基本です。
ポジションは5つあり、ファースト・セカンド・サード・ショート・ミッドフィルダーとそれぞれ呼ばれ、日本語では、一塁手・二塁手・三塁手・遊撃手・中間野手と呼ばれます。
- ファースト(一塁手)
- セカンド(二塁手)
- サード(三塁手)
- ショート(遊撃手)
- ミッドフィルダー(中間野手)
打ち方
ボールの打ち方は、本塁のうしろにある正方形のバッタースボックス内でボールを自分でトスして手の平か拳で強く打つかたたきます。バッターは、バッタースボックスに入る前に打つ方の手を挙げて守備チームにどちらの手で打つのか教えなくてはいけません。
バッターは、打ったボールがフェアゾーンに落ちるまでバッタースボックスから出てはいけません。
打つときの注意
バッターは、ボールを打つかたたくときに本塁の前に線が引いてあるノーヒットゾーンを越えたフェアゾーンでバウンドさせなくてはいけません。ノーヒットゾーンやフェアゾーン以外でバウンドさせるとアウトです。
2021年に新しくルールが追加され、バッターがボールを打つかたたいたときに外野フェンスに届くほどのいきおいを出すことになりました。打ったボールが、守備チームの選手が誰もさわらないで外野フェンスに届かない場合はアウトです。
守備チームのアウトのとり方
守備チームは、イニングごとに攻撃チームからアウト3個とれば攻撃チームと入れかわります。守備チームがアウトをとるには4つの方法があり、アウトをとる方法の中でボールを持ちながら攻撃チームのバッターやランナーにタッチしてアウトにすることをタグアウトと言います。
バッターは、ボールを打って走り一塁ベースをふんだあとにセーフエリアの中にいればアウトになりませんが、一歩でも出ていればタグアウトすることが可能です。
- ランナーが目指すベースにボールを持ってタッチする
- 打ったボールがバウンドする前にとる
- ベースの上にいないランナーをタグアウト
- セーフエリアから出たランナーをタグアウト
バッターが打つときの反則
バッターが打つときに反則して、自分でアウトになることが6個あります。バッターは、本塁のうしろにある正方形のバッタースボックスの中で打たなければアウトになり、線をふんでもアウトです。
- バッタースボックスの線に触れた
- バッタースボックスの線を超えた
- 打ちそこなった
- 自分達に向けて打った
- わざと打つふりをした
- 打つ順番を守らずに打った
バッターが打ったボールでの反則
バッターが打ったボールが、ファウルゾーンやノーヒットゾーンで最初にバウンドしたり、ノーバウンドでフェアゾーンのフェンスに当たったり、越えたりすると反則になり自分でアウトになります。
ベースボール5では野球と違い、打ったボールが最初にバウンドした位置でフェアかファウルが決まり、ノーバウンドでフェンスを越えてもホームランではなくアウトです。
- ファウルゾーンで最初にバウンドした
- ノーヒットゾーンで最初にバウンドした
- ノーバウンドでフェアのフェンスに触れた
- ノーバウンドでフェアのフェンスを超えた
ランナーの反則
ランナーが、反則でアウトになることが4個あります。ランナーは、バッターが打ってからベースをはなれて走り始めなければなりません。ベースボール5では、ベースに着くときやタグアウトされるのをよけるためにスライディングすることは禁止されています。
ランナーは、できる限り守備チームの選手にぶつからないように走り、よければぶつからなかったのに、よけずにぶつかった場合はアウトです。
- バッターが打つ前にベースを離れた
- 先にいるランナーを追い越した
- 守備チームの選手をよけずにぶつかった
- スライディングした
ランナーに打つ順番が回ってきた場合
ベースボール5は、5人の選手でおこなうため3人の選手がベース上にいて2個アウトになった場面では、3塁ランナーに打つ順番が回ってくることがあります。ランナーは、1個ずつ進んで3塁ランナーはバッターになり、一塁ランナーにベンチから代わりの選手を出します。
最初に決めた打つ順番は、守らなくてはいけません。
打ったボールがコートから出た場合
バッターが打ったボールが、フェアゾーンでバウンドしてからコートの外に出てしまい守備できない場合は3つのケースがあります。
・守備の選手がだれもボールにさわらずにコートの外に出た
・守備の選手の1人に当たってコートの外に出た
・守備の選手がボールをとりそこなったり投げそこなったりミスをしてコートの外に出た
フェンスではなく線を引いておこなう場合は、ボールがコートから出るケースが多くなります。
- バッターは1塁に進む
- ランナーは1個ずつ塁を進む
- バッターは1塁に進む
- ランナーは1個ずつ塁を進む
- バッターは2塁に進む
- ランナーは2個ずつ塁を進む
タイム
プレーが途切れたときに、選手はタイムを要求でき審判員が認めた場合は試合が一時中断し、気持ちを落ち着かせることや作戦の確認他できます。
試合終了
試合は、5イニング終了した時点で得点の高いチームが勝利です。5イニングの先に攻撃したチームが終了の時点で、相手チームより得点が低ければ相手チームの勝利で試合終了です。5イニング終了した時点で同点の場合は、延長戦になりどちらかのチームが得点が高くなるまで続けます。
どちらかのチームが、3イニング終了時点で15点、4イニング終了時点で10点、5イニング先の攻撃終了時点で10点リードしたらコールドゲームと呼ばれ試合終了です。
延長戦
延長イニング | プレー開始条件 |
1 | ランナー1塁 |
2 | ランナー1塁・2塁 |
3~(打つ順番は変更しない) | ランナー1塁・2塁・3塁 |
5イニング終了時点で同点の場合は、延長戦になり1イニングずつどちらかのチームの得点が高くなるまで続けます。延長戦は、タイブレークと呼ばれる早く決着をつけるルールでおこない、攻撃チームは最初から塁にランナーが出ている状態からプレー開始です。
タイブレークは、イニングを重ねるごとに塁に出すランナーを増やし得点が入りやすくしていきます。
手打ち野球のフィールド
手打ち野球は、体育館でテープを使用したりグラウンドでラインを引いたりするだけで、簡単にフィールドを作ることができフェンスはなくてもかまいません。フィールドは、野球と同じくベースは本塁から反時計回りに一塁・二塁・三塁で、ベースとベースの間が13mずつで内野になります。
ベースボール5は、一塁ベースが危険防止のためフェア側とファウル側に必要と、セーフエリアとノーヒットゾーンがあります。。
フィールド
フィールド全体 | 21m×21m |
フィールド内野 | 13m×13m |
フェアゾーン | 18m×18m |
バッタースボックス | 3m×3m |
ベース | 50cm×50cm |
ノーヒットゾーン | 4.5mまたは3m |
セーフエリア | 一塁ベースから1.5m |
フェンス(なくてもよい) | 高さ1m |
フィールドは、ベースから全体まで正方形でまとめられ作りやすくしてあります。ベースとベースの間は、13mで内野と外野の区切りにもなり、フェアゾーンは18mの正方形でコーナーの1つが本塁です。バッタースボックスは、3mの正方形で本塁のすぐうしろにあります。
ベースは、50㎝の正方形が理想でクッションのベースじゃなくても地面にベースの形を描くだけでも大丈夫です。ノーヒットゾーンは、本塁から1塁と3塁まで直線を引いた4.5mまたは3mです。
- 16歳以上は本塁から4.5m先まで
- 4.5m以内にバウンドさせるとアウト
- 15歳以下は3m先まで
- 3m以内にバウンドさせると一度やり直せる
- コートがせまい場合は最低3m先でOK
1塁ベース
1塁ベースは、攻撃チームの選手と守備チームの選手がぶつからないために2枚おきます。フェアゾーン側は守備チームが使用し、ファウルゾーン側は攻撃チームのバッターやランナーがタッチして使用します。
1塁に進むランナーは、1塁ベースにタッチしてからベース上か1.5m先までのセーフエリア内に入ればアウトになりませんが、セーフエリアを一歩でも出るとタグアウトされたらアウトになります。
- 衝突しないために2枚置く
- 野手はフェア側を使用
- 走者はファウル側を使用
- ファウル側の一塁ベースから1.5m
- 走者がセーフエリアを出たらアウトにできる
手打ち野球に必要な道具・用具
手打ち野球に必要な道具は、基本的にゴムボール1個だけです。野球やソフトボールみたいにバット・グローブ・ミット・スパイク他必要がなく、ゴムボールも公式球ではなくテニスボールや入手しやすい市販のゴムボールで十分に代用できます。
フィールドを作るためのベースやフェンスがあると便利ですが、ラインカーで線を引いたり床にテープを貼ったりしても代用でき、身近にあるもので工夫すると新たに用具を購入する必要もありません。
ボール
ベースボール5の公式大会では公式ゴムボールが使用されていますが、日本では2022年1月10日時点でまだ販売されておらず、少しだけ大きい公認球が2020年から販売されています。
公式球と大きさがほぼ同じの硬式テニスボールは、日本代表選考でも使用され入手しづらい公式球や公認球の代わりに使用可能です。
ベース・テープ
ベースは、野球用みたいなクッションベース・マット・プレートを使用する場合、固定できなければベースが滑り大変危険ですので、屋外ではラインカー、屋内ではテープを使用してベースの形を描いたほうが走り抜けたり急に止まったりする場合に安全です。
ラインカーがない場合でも、土に足で線を引いたり目印になるものを置いたりして、工夫すると大丈夫です。
フェンス・コーン
ベースボール5の公式試合では1mのフェンスを使用しますが、公式ルールに定められているとおりフェンスがなくても構いません。屋外では線を引いたりコーンを置いたりして、屋内では体育館の壁やテープを貼れば十分に代用できます。
打球が直接フェンスに当たったり超えたりしてもアウトになるため、通常低く転がしますしフェンスや壁がなくボールが転がっていってしまった場合は、ヒットと同じ扱いにするとフェンスがなくても対応できます。
ボード・マーカー
ベースボール5の公式試合では、専用のスコアボードやスコアカードを使用して得点やイニングの表示や記録しますが、身近にあるホワイトボードとマーカーや黒板とチョーク、用紙とマジック他使用すると代用可能です。
手打ち野球の遊び方
ベースボール5は、バッターが自分でトスして手で打つためスピーディーに試合が進行し、一試合20分程度で終了し気軽に始められ学校でも導入しやすい競技です。道具も、バットやグローブが必要なく最低限ゴムボール1個だけで試合ができ、経済的負担もほとんどありません。
公式大会以外では、自分達で臨機応変にローカルルールを決めてプレーすればよく、幼児から大人まで楽しめる都市型スポーツです。
手打ち野球の大会はある?
ベースボール5は、当初からオリンピック公式種目や世界大会を目指して発祥された都市型スポーツで、2022年1月時点でユースオリンピックとワールドカップの世界大会が発表されています。
2018年の競技実施から始まり、わずか数年で70か国以上に広まりワールドカップやユースオリンピックが正式決定され、2024年パリ・2028年ロサンゼルスでのオリンピック参加も目指しています。
ユースオリンピック
ベースボール5は、14歳から18歳の選手のみで開催される2026年ダカールユースオリンピック公式種目でオリンピックデビューが決定し、オリンピック初の男女混合専門競技で注目されています。
当初、2022年に開催予定だったダカールユースオリンピックは、新型コロナの影響で開催延期になり4年後の2026年に開催されることになりました。
ワールドカップ
ベースボール5の第1回ワールドカップは2022年にメキシコで開催予定です。元々、2020年に開催予定でしたが新型コロナの影響で1年ずつ延期され、2021年12月時点では2022年に開催予定で、すでに2019年にはヨーロッパ大会が開催されフランスとリトアニアのワールドカップ出場が決定されています。
アジアの出場国枠は3か国ありますが、新型コロナの影響でアジア大会も延期になり2021年には実施されていません。
進化している手打ち野球を楽しもう
手打ち野球は、子どもの遊びだけではなく進化し競技化され都市型スポーツのベースボール5が考案されました。フランスで発祥し2018年から本格的に競技が実施され、世界70か国以上に広まりワールドカップ予選がすでに実施されている状況です。
ゴムボールが1個だけで気軽に試合ができ、今後も注目度が上がることを見込まれる手打ち野球を楽しみましょう。
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