野球のビデオ判定とは?リクエスト制度の成功率・誤審率・回数を解説
野球のビデオ判定とは誤審が疑われるプレイの判定に対してビデオによるリプレイ映像を確認し、判定を再検証することです。リクエスト制度とは誤審が疑われるプレイに対してビデオ判定を要求する制度です。リクエストの利用には細かいルールが決められています。
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公式ライター Activel_director
野球のビデオ判定とは?
野球では1プレイが試合結果を大きく左右する場合があります。誤審によって試合結果に影響が出ないようにと日本のプロ野球ではビデオ判定が導入されました。
本塁上のクロスプレイや、ポールぎりぎりにスタンドインしたボールがホームランかどうかなど得点が入るかどうかに影響する重要なプレイでビデオ判定は利用されます。
プロ野球のビデオ判定
MLBではビデオ判定のことをチャレンジ制度と呼び、NYの別施設に待機している分析担当審判員がビデオ判定の判断を下します。一方、日本では球場の審判員達が再度映像を確認することでビデオ判定の最終的な判断をしています。
プロ野球ではビデオ判定の映像は球場の中継映像を基本的に使用するため、球場ごとにカメラアングルが違うなどの問題点があります。
高校野球のビデオ判定
高校野球はトーナメント方式の一発勝負のため、ビデオ判定の導入を求める声も上がっていますが、いろいろな条件を考えるとなかなか導入するのは難しいようです。
高校野球はプロ野球と異なり興行ではないため、導入費用の負担は誰がするのか。ビデオ判定によるプレイ中断で試合時間が延びることを避けるたいなどの理由で導入が見送られています。
ビデオ判定が導入された経緯と時期
誤審は試合結果に大きな影響を与えます。判定への抗議により試合が長時間中断するという問題があったため、ビデオ判定の導入が議論されるようになりました。
2006年に巨人がビデオ判定導入の要望を訴えたことで議論が本格化し、2010年シーズンよりプロ野球でビデオ判定が利用されるようになりました。
ビデオ判定が導入された経緯
2006年シーズン終了後にビデオ判定導入の提案が12球団に提案され、大きな反対もなく試験導入が決定します。しかし一部球場でビデオ判定に利用するモニターが設置されていなかったため、シーズンでの導入までには時間がかかりました。
全ての球場でモニターが設置された2009年のシーズン途中に試験導入が開始。翌2010年シーズンよりビデオ判定は正式に運用されることになりました。
プロ野球で導入された時期
ビデオ判定の導入当初は混乱を避けるためホームラン判定のみに利用という形でした。
ビデオ判定の適用第1号は2010年3月27日の東京ドームにおける巨人対ヤクルト戦で、ガイエル選手のバックスクリーン付近のフェンスに当たった打球の判定で利用され、当初2塁打と判断された判定がホームランと訂正されました。
リクエスト制度の利用可否
【リクエスト制度が利用できないプレイ】
・ストライク、ボールの判定
・ハーフスイング
・自打球
・走塁妨害、守備妨害
・インフィールドフライ
・塁審より前方の打球
・ボーク
一連の流れで進行するようなプレイはリクエスト制度を利用することができません。
リクエスト制度を利用できるプレイ
試合の進行を極力妨げないためにリクエスト制度によるビデオ判定が利用できるプレイはある程度制限されています。ホームランのように一時的にプレイが途切れるボールデッドになる場合のみリクエスト制度が利用できます。
リクエスト制度を利用できないプレイ
全てのプレイにリクエスト制度が認めてしまうと審判の存在意義がなくなってしまいます。そのため、ある程度審判の裁量によって裁けるプレイにはリクエストの要求は認められません。
ハーフスイングやインフィールドフライのように明確な判断が難しいようなプレイは審判の判断が重視されます。
ホームランの判定
球場によりビデオ判定に使用するカメラの性能に差があります。そのためビデオ判定の際に映像を拡大すると画質が荒くなり、ビデオ判定にも関わらず、誤審の可能性を捨てきれないケースもごくまれに発生します。
2018年6月22日のオリックス対ソフトバンク戦ではファールと判定された打球がリクエスト制度によるビデオ判定後に、ホームランと訂正されたものの、最初の判定が正しかったと試合後に審判団が誤審を認めるというケースも実際にありました。
ビデオ判定のリクエスト制度の回数とその仕組み
【リクエスト制度の基本ルール】
・リクエスト数は各チーム最大2回
・リクエスト数は試合が延長に入ると1回追加
・リクエスト数はリクエストが成功した場合は減らない
・リクエストに対する再リクエストはできない
一定のルールを決めることでスムーズな試合進行を目指しています。
1試合に利用できるリクエスト制度の回数
リクエスト制度を受けた審判はリプレイ検証の時間も含めて再判定を5分以内に済ませないといけないというルールがあります。無制限にリクエストを認めてしまうと、試合時間が大幅に伸びてしまう可能性があるからです。
2010年以前と以降の平均試合時間を比べると大きな変化がないことからも回数制限の効果が出ていることが分かります。
リクエスト制度の利用回数増減の仕組み
判定が訂正された場合、利用できるリクエスト回数はそのまま変わりません。一方、判定が変わらなかった場合はリクエスト回数が1回減少します。そして試合が延長戦になった場合はリクエスト回数が1回分追加されます。
1試合3回のリクエスト失敗は過去にないようですが、2018年8月21日に広島が1イニングで2回のリクエスト失敗記録しています。
リクエスト制度の成功率と審判の誤審率
リクエスト成功は審判が誤審をしていたことを示すわけですから、リクエスト成功率が低い方ことは審判技術の確かさを証明する形になります。
2019年シーズンはリクエスト回数全561回に対してリクエスト成功数は171回でした。
ビデオ判定の成功率
2019年のリクエスト回数は全561回で判定が覆ったのが171回となり、成功率は約30.5%です。
各チームごとに成功率は大きく異なり、最も成功率の高かったロッテの成功率は37%で、最も成功率の低かったヤクルトは22.6%とロッテとは約15%ほども成功率が違いました。
審判の誤審率
リクエストの成功率は審判の誤審率を表します。単純に考えると判定が疑われるプレイにおいておよそ3回に1回は審判は誤審をしていると言えます。
逆を言えば判定が疑われるプレイでも約7割は審判が正しい判定を下しているわけですから、審判の技術不足を追求するかどうかは人によって意見が分かれるところです。
リクエスト制度は野球の新たな楽しみ
リクエスト映像が球場に流れることで野球観戦しているファンが判定について議論を交わしたり、リクエスト結果によって一喜一憂するなど新たにプロ野球を盛り上げる要素になっているのも紛れもない事実と言えます。
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