違反球とは?統一球が出来上がるまでの問題点を解説
違反球とはプロ野球で2011年、2012年に使用されていた統一球のことです。ボールの差を無くすために決められたボールでしたが、違反球は様々な問題を生み出し、多くの選手が被害を受ける原因となりました。違反球が生まれた原因や特徴、問題点、被害を受けた選手について解説します。
Writer
公式ライター Activel_director
違反球とは?
NPBが定めた飛ばないボール
しかし、その統一球は非常に反発係数が低く、飛距離が出にくいボールでした。
ボール検査で反発係数の基準を下回るボールが多く、不良品だと言えます。
このため違反球と呼ばれるようになり、多くの選手が被害を与え、NPBの信用を低下させる大きな原因となりました。
違反球が生まれた理由
2011年までは4社のボールを使用
1つ目は2010年までは各球団がバラバラに使用していたボールを統一するためという理由です。
主にMIZUNO、久保田スラッガー、アシックス、ゼットのボールが使用されていました。
ボールのメーカーが異なると、各球団ごとに材質や飛距離に差が生まれ、公平性が損なわれることになります。
記録の公平性やチーム成績の信用回復のために、プロ野球全体で統一されたボールの導入が決定されました。
国際試合では低反発球を使用
国際試合とは、オリンピックやプレミア12のことを指します。
国際試合で使用されるボールは、2010年までNPBで使用されていたボールよりも低反発なボールです。
高反発なボールを使用しているNPBの選手は、ボールの差に苦しむことを指摘されていました。
国際球とNPBのボールが異なることによる、選手の対応力低下や調整の難しさが考慮され、統一球が導入されることになりました。
投手への危険性
2010年までは、反発係数が高いボールが使用されることが多く、非常に速い打球が飛んでいました。
そのため、打者から近いマウンドにいる投手は、ピッチャーライナーで大変な危険にさらされることになります。
上原浩治投手(当時巨人)は「打球の速さについていけない」と証言しており、反発係数が高いボールの危険性を提言していました。
打球の速さを緩やかにして、投手のケガや危険性を減らすために統一球の導入が決定されました。
違反球の問題点
違反球は飛ばない
1つ目は、違反球の反発係数は低く、打球が飛ばないという点です。
打球が飛ばないということは打者の成績を落とし、投手の成績を上げる要因となりました。
例えば、2010年は防御率1点台の先発投手は1人だったのに対して、2011年には6人になりました。
反対に、2010年には打率3割以上の野手が27人だったのに対して、2011年は9人と大幅に減少しています。
成績の変化は、選手の契約大きな影響を与えることになり、記録に対する信頼を揺らがせるという問題を生み出すことにもなりました。
ウソの報告をしたNPB
2012年から選手会はボールの見直しや検証を求めていました。NPBは見直しを否定し、2013年も同じボールを使用すると伝えました。
しかし、2013年の打者成績は大きく上昇し、違反球ではなくなったという疑惑が生まれます。
そして、6月にNPBはボールを変更していたことを認めました。
違反球が反発係数の基準値を下回っていたことや、ボールを変更したことを隠ぺいする形になりました。
NPB側は隠ぺいしたことは否定しましたが、信用は大きく失墜しました。
違反球の被害を受けた選手
和田一浩(当時中日)
2008年シーズンに西武から中日に移籍し、中日の主軸として活躍していました。
2007年からは4年連続3割越えの打率を残すなど好打者として知られています。
しかし、2011年の打率は.232と前年から1割以上打率を落としてしまいます。
2012年も本塁打が9本に終わり、2012年オフには8000万減という野球人生最大の減俸を受けます。
2010年まで好成績を残していた和田選手ですが、違反球によって野球人生を狂わされることになりました。
森野将彦(当時中日)
森野選手は1997年シーズンから中日に入団し、レギュラー定着後は和田選手と共に中日の主軸を担っていました。
2010年には、打率.327やリーグ最多の45二塁打を記録するなど、3番打者として好成績を残しています。
しかし、違反球が導入された2011年は打率.232と大きく打率を落とし、持ち味の二塁打も19本と2010年の半分に留まることになりました。
同じ中日の和田選手と共に大きく成績を落とし、違反球の被害を大きく受けた選手です。
今江敏明(当時ロッテ)
2002年シーズンからロッテに入団し、2005年から三塁手のレギュラーとして活躍していました。
2010年には打率.331という好成績を残しましたが、2011年は.269、2012年には.253と大きく打率を落とします。
しかし、違反球でなくなった2013年には.325の高打率を記録しました。
これによって、2011年や2012年も違反球でなければ2013年のような好成績を残せたのではないかと言われています。
和田選手や森野選手とは少し違った形で、違反球の被害を受けた選手です。
様々な問題を生んだ違反球
また、NPBの信用も大きく落とし、体制が見直されるきっかけにもなりました。
現在では基準値内の正常なボールが使用されており、統一球と言えば2013年以降のボールを指すことがほとんどです。
正常な統一球となったことで、極端な打者有利や投手有利の状況になることがなくなり、試合が更に面白くなったと言われています。
また、記録にも公平性が生まれ、記録への信頼も更に高まることにもなりました。
正常な統一球が使用されている現在のプロ野球を楽しみましょう。
商品やサービスを紹介いたします記事の内容は、必ずしもそれらの効能・効果を保証するものではございません。
商品やサービスのご購入・ご利用に関して、当メディア運営者は一切の責任を負いません。