手の筋肉の名前とは?手のひらにある母指などの指の筋肉を解説!
手の筋肉の名前には、母指球を形成する母指内転筋や短母指屈筋、小指球を形成する小指対立筋や短小指屈筋、手のひら全体にある虫様筋、前腕から伸びている浅指屈筋や深指屈筋などがあります。基節骨や中手骨などの骨や、屈筋支帯などの靭帯も一緒に覚えることで、手のひらの筋肉の名前や働きが理解しやすくなります。
Writer
公式ライター Activel_director
手の筋肉とは?
手の筋肉とは、手で物を握ったり手を大きく広げたりする動きを可能にする役割があり、母指である親指を自在に動かす母指内転筋・短母指屈筋・母指対立筋・短母指外転筋、第3関節のみを曲げる虫様筋、小指を自在に動かす小指対立筋・短小指屈筋・小指外転筋、手のくぼみを作り出す短掌筋、人差し指から薬指までの4本の指をそろぞれ曲げる浅指屈筋・深指屈筋の11個の筋肉があります。筋肉の名前以外にも骨や靭帯も一緒に覚えることで、手のひらの筋肉の役割や働きも理解しやすくなります。
手の筋肉の構造
表層にある筋肉 | 母指内転筋 短母指屈筋 母指対立筋 短母指外転筋 小指対立筋 短小指屈筋 小指外転筋 短掌筋 |
深部にある筋肉 | 浅指屈筋 深指屈筋 虫様筋 |
手のひらの筋肉は、表層と深層にわかれて分布し、5本の指から伸びている骨や手首付近にある靭帯に付着して細かい動きを可能にしています。図からはわかりにくいですが、深部にある虫様筋や浅指屈筋、深指屈筋は手を動かしても筋肉を目で確認することはできません。
手の筋肉がついている骨や靭帯の名前
指の関節を形成している骨の名称 | 末節骨 中節骨 基節骨 中手骨(ちゅうしゅこつ) 種子骨 |
手首付近にある手のひらを形成している骨の名称 | 有鉤骨(ゆうこうこつ) 有鉤骨鈎(ゆうこうこつこう) 豆状骨(とうじょうこつ) 大菱形骨(だいりょうけいこつ) 小菱形骨(しょうりょうけいこつ) 舟状骨(せんじょうこつ) 有頭骨(ゆうとうこつ) |
手首付近にある靭帯の名称 | 屈筋支帯 豆鈎靭帯(とうこうじんたい) |
前腕にある骨の名称 | 尺骨(しゃっこつ) 橈骨(とうこつ) |
手のひらの筋肉は、指にある第1関節上の末節骨、第2関節上の中節骨、指の付け根の第3関節上にある末節骨、そして第3関節よりも下の中手骨に付着したり、手首付近にある有鉤骨や靭帯である屈筋支帯などにも付着したりします。
また筋肉の付着位置の説明のときに橈骨側と書かれていれば親指側、尺骨側と書かれていれば小指側を指します。
手のひらの筋肉の名前を一覧で紹介
手のひらには11個の筋肉があり、母指球を形成する筋肉・手のひら全面に通っている筋肉・小指球を形成する筋肉・小指球の近くにある筋肉・前腕から手のひらまで伸びている筋肉に分けられます。母指や小指といった同じ部位を指す名前の筋肉は近くに位置しているため、名前と一緒に位置を覚えると理解しやすくなります。
母指球を形成している筋肉の名前 | 母指内転筋 短母指屈筋 母指対立筋 短母指外転筋 |
手のひら全面に通っている筋肉の名前 | 虫様筋 |
小指球を形成している筋肉の名前 | 小指対立筋 短小指屈筋 小指外転筋 |
小指球の近くにある筋肉の名前 | 短掌筋 |
前腕から伸びている筋肉の名前 | 浅指屈筋 深指屈筋 |
母指内転筋
母指内転筋の場所 | ①横頭:中指第3関節から母指球にかけて ②斜頭:母指球 |
母指内転筋の起始部 | ①横頭:第3中手骨 ②斜頭:屈筋支帯・第2及び第3中手骨底 |
母指内転筋の停止部 | ①横頭:母指の基節骨底 ②斜頭:母指の基節骨底 |
母指内転筋の特徴 | 母指球のふくらみを形成 |
母指内転筋は図からもわかる通り、横頭と斜頭の2つの筋肉の名前で、中指の中手骨と手首付近の靭帯である屈筋支帯の2か所から伸びています。母指球を覆っている母指内転筋は、母指球のふくらみを作り出していて、親指の基節骨にくっついています。
短母指屈筋
短母指屈筋の場所 | 母指球 |
短母指屈筋の起始部 | ①深頭:大菱形骨結節 ②浅頭:第1中手骨 |
短母指屈筋の停止部 | 撓側種子骨・母指の基節骨底 |
短母指屈筋の特徴 | 母指球のふくらみを形成 |
短母指屈筋は母指球を通る筋肉の名前で、手首近くにある大菱形骨と親指の中手骨の2か所から伸びています。停止位置は親指の基節骨とすぐ下にある種子骨です。
母指対立筋
母指対立筋の場所 | 母指球 |
母指対立筋の起始部 | 大菱形骨結節・屈筋支帯 |
母指対立筋の停止部 | 第1中手骨の撓側縁 |
母指対立筋の特徴 | 母指球のふくらみを形成 |
母指対立筋は、短母指屈筋よりも深くに位置する筋肉の名前で、母指球を形成していて、手のひらと手首の間に位置する大菱形骨と手首付近にある屈筋支帯から伸びています。停止位置は親指の中手骨の外側です。
短母指外転筋
短母指外転筋の場所 | 母指球の手首に近い部分 |
短母指外転筋の起始部 | 舟状骨結節・屈筋支帯の橈骨端 |
短母指外転筋の停止部 | 母指の基節骨底・撓側種子骨 |
短母指外転筋の特徴 | 母指球のふくらみを形成 |
短母指外転筋は、母指球のふくらみを作る筋肉の名前で、手首の近くにある舟状骨と屈筋支帯から始まり、母指球に沿って親指側へと伸びています。停止部は親指の基節骨の下の部分と種子骨の外側です。
虫様筋
虫様筋の場所 | 手のひら全体 |
虫様筋の起始部 | 深指屈筋腱 |
虫様筋の停止部 | 伸筋腱膜・中手指節関節 |
虫様筋の特徴 | 骨に付着部を持たない |
虫様筋は付着部を持たない珍しい筋肉の名前で、人差し指から小指までの4本の指にそれぞれ繋がっている深指屈筋と呼ばれる筋肉に付着しています。手首に近い深指屈筋から人差し指から小指の中手骨まで伸びている手のひら全体にある筋肉です。
小指対立筋
小指対立筋の場所 | 小指球 |
小指対立筋の起始部 | 有鉤骨・屈筋支帯 |
小指対立筋の停止部 | 第5中手骨の尺側縁 |
小指対立筋の特徴 | 小指球のふくらみを形成 |
小指対立筋とは小指の下に位置するふくらみのある小指球と呼ばれる部分に位置する筋肉の名前で、手首付近にある有鉤骨と屈筋支帯から小指の中手骨まで伸びている筋肉です。小指球を作る筋肉の中でも最も深い位置にあり、小指の中手骨先端付近で停止しています。
短小指屈筋
短小指屈筋の場所 | 小指の側面 |
短小指屈筋の起始部 | 有鉤骨鈎、屈筋支帯 |
短小指屈筋の停止部 | 小指の基節骨底の手のひら側 |
短小指屈筋の特徴 | 小指球のふくらみを形成 |
短小指屈筋とは、手首近くにある有鉤骨や屈筋支帯から、小指の基節骨の下の部分まで伸びている筋肉の名前です。短小指屈筋は、小指外転筋や小指対立筋と並んで伸びて、小指球を通る筋肉1つです。
小指外転筋
小指外転筋の場所 | 小指の側面 |
小指外転筋の起始部 | 豆状骨・豆鈎靭帯・屈筋支帯 |
小指外転筋の停止部 | 小指の基節骨底の尺側 |
小指外転筋の特徴 | 小指球のふくらみを形成 |
小指外転筋とは手首の関節部分に位置する豆状骨や屈筋支帯から小指の基節骨の下の部分まで伸びている筋肉の名前です。小指球を形成している筋肉の中で浅い位置にあり、一番外側にあります。
短掌筋
短掌筋の場所 | 小指球の外側 |
短掌筋の起始部 | 手掌腱膜の尺骨側 |
短掌筋の停止部 | 小指球の皮膚 |
短掌筋の特徴 | 小指球の最も浅い位置にある薄い筋肉 |
短掌筋とは、手のひら全体に広がっている手掌腱膜の外側から小指球の皮膚まで伸びている薄い筋肉の名前です。小指球を形成する小指外転筋よりも皮膚に近い位置にあります。
浅指屈筋
浅指屈筋の場所 | 前腕から指先まで |
浅指屈筋の起始部 | ①上腕尺骨頭 ②尺骨頭 ③橈骨頭 |
浅指屈筋の停止部 | 第2~5中節骨底前縁 |
浅指屈筋の特徴 | 前腕屈筋の中では最大級の筋肉 |
浅指屈筋とは、前腕にある尺骨・橈骨から人差し指から小指までの中節骨まで伸びている筋肉の名前です。前腕にある屈筋の中ではやや深い位置にあります。
深指屈筋
深指屈筋の場所 | 前腕から指先まで |
深指屈筋の起始部 | 尺骨の近位端の前面1/3 |
深指屈筋の停止部 | 第2~5の末節骨底の掌側 |
深指屈筋の特徴 | 太く強力な筋肉 |
深指屈筋とは、尺骨の肘関節に非常に近い位置から人差し指から小指の末節骨底まで伸びている筋肉の名前です。浅指屈筋よりも深い位置にあります。
手の筋肉の役割と働き
手の筋肉には、指を曲げる・指を広げるなどの指を動かす働きが多く、物をつかんだり握ったりする役割があります。筋肉の位置と働きを一緒に覚えることで、筋肉が収縮したときの指の動きが想像しやすくなります。
母指内転筋の役割と働き
筋肉の部位 | 母指内転筋 |
働き | 母指を内転させる |
役割 | 物をつかむ動き |
母指内転筋は、母指球近くにあり親指と中指をつないでいて、母指である親指を手のひらに近づける動きをさせる働きがあり、物をつかむ動きをさせる役割がある筋肉です。ピアノを弾くときに母指内転筋ばかりを使うことで、指が内側に引き込まれたり、母指球を痛めたりすることが多くなる筋肉でもあります。
短母指屈筋の役割と働き
筋肉の部位 | 短母指屈筋 |
働き | 母指の第3関節を屈曲させる |
役割 | 手を握る動き |
短母指屈筋は、人差し指の中手骨や大菱形骨から親指の基節骨の底に付着してるため、親指の第3関節を曲げる働きがある筋肉です。手を握ったり物を握る動作のときに貢献し、ギターのネック部分やピックを持って保持するときに使われます。
母指対立筋の役割と働き
筋肉の部位 | 母指対立筋 |
働き | 親指を小指の方に近づける |
役割 | 物をつかむ |
母指対立筋は名前の通り、母指と小指など他の指と対立させることができる筋肉の部位で、親指を手のひら側に深く曲げる働きがあるため、物をつかむことを可能にしています。親指と小指を近づけるときに力強く発揮できるため、ピアノで近くの鍵盤を弾くときに必要になる筋肉です。筋トレで鍛えることもでき、小指の方向へ近づけてボールを握ると母指対立筋に負荷がかかります。
短母指外転筋の役割と働き
筋肉の部位 | 短母指外転筋 |
働き | 親指を外転させる |
役割 | 手のひらを大きく広げる |
短母指外転筋は母指球の下を通って親指に伸びていて、親指を横に大きく広げる母指の外転動作のときに使われる筋肉です。ピアノでオクターブを弾くときやギターで弦を押さえるときに指を大きく開くために必要になる部位でもあります。片方の手で親指を抑えて負荷をかけた状態で手を広げる動作を繰り返すことで母指外転筋の筋トレも可能です。
虫様筋の役割と働き
筋肉の部位 | 虫様筋 |
働き | 指の付け根を屈曲させる 指を伸ばしたまま付け根を屈曲させる |
役割 | 物をつかむ |
虫様筋は指の第3関節のみを曲げる働きに大きく貢献し、物をつかむ役割がある筋肉です。テニスのラケットなどを握ったり、手首に無駄な力を入れずにピアノを演奏したりすることが可能です。
小指対立筋の役割と働き
筋肉の部位 | 小指対立筋 |
働き | 小指を屈曲させる |
役割 | 物をつかむ |
小指対立筋は手首付近の有鉤骨や屈筋支帯から小指の中手骨を引っ張ることで、小指を親指へと近づける働きをする筋肉で、物をつかむ役割があります。特にギターを弾くときの弦を押さえる動作に貢献するため、うまく使えていないとコードチェンジがうまくいきません。親指を小指に近づけることで両方の指が対立する動きになり、小指対立筋を使いやすくなります。
短小指屈筋の役割と働き
筋肉の部位 | 短小指屈筋 |
働き | 小指の付け根を屈曲させる |
役割 | 物を持つときに支える |
短小指屈筋は小指の付け根である第3関節を曲げる働きがあり、物を持つときに支えになる役割があり、短小指屈筋が働くおかげで物が手から抜け落ちずに持ち続けられます。短小指屈筋が発達すると、ピアノを弾くときに鍵盤を移動するときの手の動きがスムーズになり、小指で力強く鍵盤を弾くことが可能になります。またギターを弾くときに手のひらを痛めずに弦を押さえられるのは、短小指屈筋がきちんと使われているためです。
小指外転筋の役割と働き
筋肉の部位 | 小指外転筋 |
働き | 小指を外転させる 小指の付け根を屈曲させる |
役割 | 手を大きく広げる |
小指外転筋は、手首付近にある豆状骨などから小指の基節骨の外側を引っ張ることで、小指を大きく外へ広げる働きがある筋肉で、手を大きく広げる役割があります。ピアノやギターで鍵盤や弦まで手を大きく広げて弾くときに必要になる筋肉です。筋トレで指の筋力を高めるよりも、指を伸ばすストレッチをすることで柔軟性が上がるため、大きく小指を広げることが可能になります。
短掌筋の役割と働き
筋肉の部位 | 短掌筋 |
働き | 小指球の皮膚を引く |
役割 | 手のくぼみを深める |
短掌筋は小指球にある一番皮膚に近く、手のくぼみを深める役割がある筋肉です。短掌筋の小指球の皮膚を引く働きのおかげで、手で水をすくったり手で優しく物を包むことが可能になります。
浅指屈筋の役割と働き
筋肉の部位 | 浅指屈筋 |
働き | 人差し指から小指までの第2関節を屈曲させる 手首を掌屈させる |
役割 | 物を握る |
浅指屈筋は肘付近から人差し指から小指の中節骨を引っ張ることで第2関節を曲げる働きがあり、物を握る役割がある筋肉です。ギターやピアノに関わらず、指を曲げる動作すべてに浅指屈筋が働きます。指を曲げる動作以外にも手首を手のひら側に曲げる筋肉でもあるため、筋トレのリストカールで刺激される筋肉でもあります。
深指屈筋の役割と働き
筋肉の部位 | 深指屈筋 |
働き | 人差し指から小指までの第1関節を屈曲させる 人差し指から小指までの第2関節を屈曲させる 手首を掌屈させる |
役割 | 物を握る |
深指屈筋は肘付近から指先にある末節骨を引っ張ることで、人差し指から小指までの第1~2関節を曲げる働きがある筋肉で、物を握る役割があります。指を曲げるすべての動作に貢献するため使用頻度が高い筋肉で、筋トレでダンベルを指で保持したまま握る動作を繰り返すフィンガーカールで深指屈筋に負荷を与えることが可能です。
手の筋肉の名前と働きを理解することで、怪我を防ぐことができる!
高校生や大学生、ピアニストやピアノ教師に行った身体の故障に関するアンケートでは、約50%の人が手や指の故障を経験しているといった結果が出ています。楽器を弾くときは何回も同じ動作を繰り返すため、筋肉を傷めやすい傾向にあります。手の筋肉は、指通しで引っ張り合いをさせたり、指寄せ運動をさせたりすることで鍛えることが可能です。長く楽器を弾き続け、パフォーマンスを向上させるためにも自分に合った筋トレやストレッチ選んで手の筋肉を強化し、怪我を防ぎましょう!
商品やサービスを紹介いたします記事の内容は、必ずしもそれらの効能・効果を保証するものではございません。
商品やサービスのご購入・ご利用に関して、当メディア運営者は一切の責任を負いません。