握力UPのトレーニングメニュー!鍛え方や頻度などの気になるポイント
握力を強化することによってスポーツ能力向上はもちろん、その他の部位の筋力トレーニング効率も大幅に上昇します。「物を握る」という行為は最も基本的な動作の一つ。なかなか語られる機会の少ない握力トレーニングの方法について様々な角度から解説していきます。
Writer
公式ライター 武田薩樹
- 握力をトレーニングするとどんな効果があるのか?
- 握力をトレーニングするための基本的な考え方
- 握力トレーニングの基本① ハンドグリップ
- 握力トレーニングの基本② パワーボール
- 握力トレーニングの基本③ フィンガーバンド
- 握力トレーニングの基本④ 身の回りの道具を使って
- 握力トレーニングの応用①ハンドグリップのネガティブレップ
- 握力トレーニングの応用②ハンドグリップのドロップダウンセット
- 握力トレーニングの応用③二つの道具でスーパーセット
- 握力トレーニングの頻度は?
- 握力とセットで!前腕筋も鍛えよう
- 前腕筋の構成について
- 前腕トレーニングの基本① リストカール
- 前腕トレーニングの基本② リバースリストカール
- 握力と前腕の力を最大限に発揮するために
- 女性の握力トレーニングの注意点
- 女性の握力トレーニング実践編
- 女性の握力トレーニングはパートナーと一緒に
- 握力をさらに鍛える複合的筋トレ種目
- 握力トレーニングのまとめ
握力をトレーニングするとどんな効果があるのか?
物を握った状態で行う競技は数多くあります。例えば、野球では的確なバットコントロールを行うのにも、するどいボールを投げるのにも、強い握力はとても大きな武器となるのです。
また、後程詳しく解説しますが、握力が無ければ大きな負荷を掛けて行う効果的な筋力トレーニングや鍛え方の実施もままなりません。
握力を効果的にトレーニングする方法や鍛え方、必要となるトレーニンググッズ、そして毎日筋トレすべきなのか?といった頻度等を男性女性関係なくしっかりと勉強していきましょう。
握力をトレーニングするための基本的な考え方
握力計測においては主に瞬間最大筋力である速筋の能力が測定されるわけですが、実際の競技スポーツでは速筋よりもむしろ遅筋が重要となる場面も少なくありません。
ですから、握力トレーニングを行う場合は、握力計測器の数字だけを追い求めるのではなく、握力の筋持久力向上についても意識するのが正しい鍛え方となります
最大瞬間筋力に適した鍛え方と、筋持久力に適した鍛え方は似て非なるものです。その違いやテクニックについても正しい知識を持っておく事が大切です。
握力トレーニングの基本① ハンドグリップ
ハンドグリップには負荷の軽いものから最大で70kgや80kgといったハイレベルな物までたくさんの種類があります。ちなみに男性の平均握力は成人の場合40kg強、女性の成人の場合で28kg強となり、男性も女性も40代中盤までは目立って低下することなく上昇を続けます。
ハンドグリップの選び方の基本は「10回連続でギリギリ行える負荷の物」となりますが、出来れば3回程しかできない負荷の強い物と、20回くらいは連続で開閉できる負荷の弱い物の三種類は揃えておきたいところです。女性の場合は10kg・15kg・25kgあたりのチョイスが良さそうですね。
ハンドグリップの使い方や鍛え方、毎日筋トレすべきなのかという頻度については後程詳細を解説しますが、一つだけポイントとして覚えておいて頂きたいのは「握り込んだ時に一旦静止する」という点です。
握った瞬間にパッと手の力を抜いてしまうとトレーニング効果が激減してしまうのです。この点は間違う方がとても多いので注意して頂きたいと思います。
握力トレーニングの基本② パワーボール
パワーボールは少し特殊な構造となっており、プラスチック(樹脂)製のボールの中に更に重みのあるボールが組み込まれた二重構造となっています。これによってパワーボールを掴んだ状態で手首を回転させると、内側のボールの遠心力が手首へと伝わり握力と前腕筋を強く刺激してくれるのです。
パワーボールにもいろいろな種類があり、ボールの重さ(負荷の強さ)によって何段階にも分けられています。当然、初心者の場合は負荷が軽めのパワーボールを選択すべきですが、一番下のレベルの商品を買ってもすぐに筋力が成長してしまい物足りなくなってしまいます。
握力がある程度発達してもトレーニングに利用できるよう、購入する時は中級者用以上のパワーボールを買うほうが長期的な鍛え方としては合理的と言えます(ただし子供や女性はこの限りではありません)。そして、パワーボールを使う頻度もなるべく多くするべきです。
握力トレーニングの基本③ フィンガーバンド
フィンガーバンドは太い輪ゴムのような形状をしており、この輪っかの中に五本の指を入れ、指を開くようにしてゴムを拡げていきます。つまり、「握る」動作によって握力を鍛えるわけではなく、手を開く動作によって主に手の甲側の筋肉を鍛える効果が得られるというわけなのです。
フィンガーバンドを初めて使うとこれまでに経験したことのない、不思議な刺激に驚くと思います。安価なトレーニング道具ですし、珍しい鍛え方が可能ですので見かけた際は購入を考えても良いのではないでしょうか。女性の場合は髪留め用のゴムを束ねて代用するのもアリだと思いますよ。
握力トレーニングの基本④ 身の回りの道具を使って
例えば雑巾絞り。年配の方であれば学生時代に部活のトレーニングで経験したという人もいるかと思いますが、バケツを二つ用意し片方を水で満たします。この水をもう片方のバケツに「雑巾絞り」だけで移すのです。
また、バットや物干し竿など「長い棒」を握力や手首を鍛える道具として活用することもできます。単純に端を持ってぐるぐると振り回すだけですが意外と高いトレーニング効果を得られる鍛え方となります。
他にも道具と工夫次第で握力トレーニングの幅が広がるはずです。握力のトレーニングは頻度をいかに稼ぐかが需要ですので、皆さんもアイディアを駆使して手軽にいつでも、どこでも握力トレーニングを行ってみましょう。
握力トレーニングの応用①ハンドグリップのネガティブレップ
例えばハンドグリップで握り込む際は「素早く握って一瞬静止、そして5秒かけてゆっくり開く」という方法で行ってみてください。実は筋肉は収縮させる時よりも、力を込めながら伸展させている時により効果的に鍛えられているのです。これはもちろん握力以外の筋肉でも同様です。
このようなトレーニング方法を「ネガティブレップ」と言います。頻度を多くこなすのはちょっとキツイトレーニングですが効果は高いと言えます。
どうせハンドグリップを使うのであればこのようなちょっとした工夫をトレーニングに組み入れることが重要なのです。
握力トレーニングの応用②ハンドグリップのドロップダウンセット
この複数のハンドグリップを使ってドロップダウンセットを行いましょう。やり方としては単純で、負荷の強い物から順番に、一回も握り込むことができなくなる限界までハンドグリップを開閉し続けるという方法です。
一番強度の強いハンドグリップで限界まで⇒二番目に強度の強いハンドグリップで限界まで…というように、負荷を落としながら休憩を挟まずにどんどんトレーニングを進めていきます。
こうすることによって握力を全て出しきった「オールアウト」の状態に持ち込めるのです。非常にタフな握力トレーニングですが効果は絶大です。毎日、或いは多頻度実施するのは難しいですが、最低でも週に1度は実施して頂きたいトレーニング方法ですね。
握力トレーニングの応用③二つの道具でスーパーセット
スーパーセットはインターバルをほとんど挟まず、比較的軽い負荷の二種類のトレーニングを連続して実施します。例えば「ハンドグリップ20回・フィンガーバンド20回」や「雑巾絞り1分間・パワーボール1分間」でそれぞれ1セット、という考え方ですね。
筋肉は毎日同じ方法でトレーニングしても刺激がマンネリ化してしまい効果が半減してしまいます。いろいろな道具を組み合わせ、トレーニングレパートリーを用意しておくことが握力強化のために重要となります。
握力トレーニングの頻度は?
筋力トレーニングの頻度は対象部位の筋肉サイズが大きければ大きい低頻度となります。これは一回のトレーニングで受ける筋肉へのダメージが大きくなり回復に時間が掛かるためで、大胸筋や広背筋等は多くても週に2回が限度となります。
一方で握力を司る手の筋肉はとても小さい筋肉ですから、痛みや違和感がない限りは毎日トレーニングしても問題はありません。むしろ、疲労が回復していればなるべく頻度を多く、毎日トレーニングする事を推奨したいくらいです。
握力トレーニングは一回あたりの時間が短いですから、例えば毎日夕食前や寝る前等、実施するタイミングを決めて習慣化すると効果を得やすくなるでしょう。前述した通り握力を鍛えるためには頻度が命です。頻度を多くするためには普段の生活の中で無理なく握力トレーニングする機会を増やすのがコツと言えます。
もちろんトレーニング頻度に男性と女性の差はありませんよ。女性でも容赦なく鍛えていきましょう。
握力とセットで!前腕筋も鍛えよう
前腕筋のトレーニングをサボっていると、掴んだ物を持ち上げたり動かそうとした際に手首を痛める危険性が高くなります。つまり、せっかく鍛えた握力の効果を十分に活かすことができなくなってしまうのです。
正しい前腕筋のトレーニング方法や鍛え方を学び、握力と一緒に強化していきましょう。
前腕筋の構成について
前腕のトレーニングにおいては伸筋群と屈筋群をバランス良く強化する必要があります。どちらか片方だけを鍛えると手首の複雑な動きがむしろスムーズに行えなくなってしまいパフォーマンスの悪化に繋がるのです。
前腕は頻度多めに鍛えるべき筋肉です。むしろ毎日でも良いくらいですね。そしてストレッチも必ず行い柔軟性を確保することがとても大切です。
前腕トレーニングの基本① リストカール
ダンベルリストカールのやり方 前腕(屈筋)を鍛える! – 筋トレ講座
この状態から手にダンベルやペットボトルといった簡単な道具を持ってグイッと内側に手首を屈曲させます。比較的軽めの重量で、30回程行うとかなり手が重く感じてくるはずです。これを毎日3セット程行えば十分でしょう。
前腕を鍛え筋肉が太くなると血管が浮き出やすくなります(これをバスキュラリティと呼びます)。男性の腕の血管は意外と女性ウケの良いポイントでもありますので是非鍛えておきたいところですね。
前腕トレーニングの基本② リバースリストカール
リバースリストカールのやり方 前腕(伸筋)を鍛える! – 筋トレ講座
リバースリストカールはやはり座った状態で今度は手首を下に向けて膝の上に手首を置きます。そして道具を持って手首を反らすようにして動かしましょう。
手首のトレーニングや鍛え方は誤った方法で行うと腱に負荷を掛けてしまい腱鞘炎になってしまいます。手首の怪我は慢性化しやすいのでとても気をつけなければいけません。そのためにも軽めの道具で回数や頻度を多め(可能な限り毎日)にこなすほうが安全性という意味でも合理的なのです。
握力と前腕の力を最大限に発揮するために
トレーニングの前と後、それぞれしっかりと筋肉をほぐし、腱を軽めに伸ばしておきましょう。筋肉がこわばったまま固まってしまうことを「硬結」と呼びますが、これが手首周辺で起こってしまうと怪我が発生するリスクが極めて高くなります。手首に関してはストレッチが筋力トレーニングや鍛え方同等に極めて重要と言えるわけです。
ストレッチには基本的には道具は要りませんが、筋肉をほぐすという意味では筋膜リリース用のフォームローラーといった道具があると効果的ではあります。
仮に筋トレをしない日であってもストレッチは毎日行うべきです。ストレッチもやはり頻度が最重要なのです。
女性の握力トレーニングの注意点
特にハンドグリップは男性用に作られている物が多く、女性が握り込むには握力不足以上に手の大きさが足りない場合がほとんどなのです。
女性の場合は特にハンドグリップを買わずとも握力を鍛えられるようパワーボールや雑巾絞りなどを工夫しながら行うべきです。また、ジュニア用のハンドグリップを使うというのも一つの手ですね。
前述した通り、握力や前腕のトレーニングでは間違ったフォームは即、腱の損傷に繋がります。無理をせずに軽めの負荷でも良いので数多く、そして頻度を多く、毎日トレーニングを実施するよう心がけるべきなのです。
女性の握力トレーニング実践編
また、握り込んだ状態で一瞬静止するのはハンドグリップでのトレーニングのコツと同様ですね。お風呂は毎日入るものですからトレーニングの習慣付けとしては最適です。
また、親指の根本の握力を集中的に鍛える方法として、水の入った500ccペットボトルの飲みくちを親指と人差し指で「OKマーク」を作る要領で握り、そのままペットボトルをクルクルと振り回すのも有効です。
このトレーニングは意外と負荷が高いのでやる場合は怪我に注意してくださいね。力の強い人であればバットでも同様のトレーニングが可能です。
女性の握力トレーニングはパートナーと一緒に
意外と侮れないのが「指相撲」で、毎日行う必要はありませんが親指の柔軟性や機敏さを養うには有効な鍛え方なのです。普段指相撲程親指に神経を集中する機会はまずないでしょう。
その他、お互いに向き合って指を引っ掛け合った状態で腕を引き合えば、握力だけでなく肩や背筋のトレーニングにもなります。ハンドグリップやパワーボールといった道具を使ったトレーニングだけでなく、人間同士の体を使ったトレーニングや鍛え方も取り入れることでより握力向上がスピードアップするはずです。
握力をさらに鍛える複合的筋トレ種目
懸垂は鉄棒にぶら下がり、自分の体重を全て握力だけで支えた状態から背筋力を使って一気に持ち上げます。握力が足りなければ背筋が疲労する前に鉄棒から降りなくてはならなくなりますから、かなり負荷の高いトレーニングであり鍛え方と言えます。
また、デッドリフトは床に置いた高重量バーベルをただ腰の高さまで持ち上げるという非常に単純なトレーニング種目です。しかし、デッドリフトはパワーリフティング競技の一つにも指定される程、重要な種目であり、握力だけでなく背筋や脚の筋肉にも極めて強い効果を発揮するのです。
デッドリフトも握力が弱ければ重いウェイトを挙げることはできません。デッドリフトをこなしている間に握力も自然と鍛えられるというわけです。
これらタフで高重量なトレーニングは毎日行うのば難しいですが、頻度はやはり多めの方が良いのです。
握力トレーニングのまとめ
握力の鍛え方はあまりお金が掛からないというのも大きなメリットです。ハンドグリップやパワーボールといった道具類を購入しても数千円で全て賄えてしまいます。
パワーボールは見た目に子供受けするアイテムですしプレゼント用としても良いでしょう。パワーボールを使うのが日常的なクセになれば、その子は将来有望かもしれません。
女性に関して言えば、男性程急激な筋力の成長は見られないものの、女性ならではの筋肉のしなやかさや指の細さを利用して繊細な握力の使い方ができるよう訓練して頂きたいと思います。女性もとにかく長い期間に渡ってトレーニングを続けることが重要ですよ。
今回の記事では握力を鍛えると同時にそれを最大限活かすため、手首のトレーニングや柔軟性も確保しなければならない事もご理解頂けたと思います。
そして握力はできるだけ頻度を多めに、可能な限り毎日トレーニングした方が効果的です。更に言えば毎日同じ内容のトレーニングではなく、多頻度を確保しながらも違う内容のトレーニングとなるよう留意しましょう。
地味な筋肉であり、見た目を大きく変化させる事は難しい握力強化ですが、スポーツパフォーマンス向上という意味では絶対に避けて通れない部分と言えるでしょう。
商品やサービスを紹介いたします記事の内容は、必ずしもそれらの効能・効果を保証するものではございません。
商品やサービスのご購入・ご利用に関して、当メディア運営者は一切の責任を負いません。