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偽サイトバックとは?グアルディオラの戦術を学ぼう【サッカー戦術ガイド】

偽サイトバックとは?グアルディオラの戦術を学ぼう【サッカー戦術ガイド】

偽サイトバックとはグアルディオラ監督が発明した新しいサイドバックの役割のことでサイドバックという名前なのにサイドでプレーしないことから偽サイドバックと呼ばれます。ウイングにドリブラーがいてサイドバックのビルドアップ能力が高いチームで効果が高いです。

2023.02.09 サッカー

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偽サイドバックとは?

偽サイドバックとは、攻撃時に中央寄りにポジションを取るサイドバックのことを指します。

スタートポジションや表記はサイドバックですが、役割は従来のサイドバックとは異なっていてサイドにポジショニングしないという意味で日本では偽サイドバック(偽SB)といわれており、スペイン語でFalso Lateral(ファルソ・ラテラル)、英語でInverted Full-Backと呼ばれている言葉を直訳した言葉です。

偽サイドバックというのは、ポジションではなく役割に対して名づけられました。

偽サイドバックとは、ポジションではなく役割!

従来のサイドバックとの違い

従来のサイドバックの動きは、サイドバックという名前の通りタッチラインの近くの大外サイドで上下動して攻守においてプレーするというもので、サイドバックの攻撃参加はオーバーラップと呼ばれる大外の飛び出しが中心です。

偽サイドバックは攻撃時にボランチのように中央でゲームメイクを担うので従来の大外サイドを上下に動くサイドバックとはポジションも役割も大きく異なります。守備に切り替わる瞬間も中央でセカンドボールを回収したりカウンターアタックを阻止するボランチのような役割が求められます。

偽サイドバックの5つのメリット

ポジションチェンジによる前線からのプレス回避

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赤のチームのビルドアップの場面
前線からの守備は中央からサイドに誘導して攻撃の選択を奪うことが一般的なやり方で、上の図の配置のままで左サイドバックにボールが渡ると青の選手たちに囲まれてしまいます。
また、サイドバックから縦へのパスコースが塞がれているので、ボールを受けてもロングキックでボールを捨てるくらいしか選択肢はありません。

しかし、ポジションチェンジでサイドバックが中央にポジションを移すことによって相手の守備の狙いを外すことができます。この図ではディフェンスラインが左にスライドしていますが、ボランチが最終ラインに降りて、サイドバックが中央に入るパターンも有効です。

中央で数的優位を作る

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赤の左サイドバックをマークしていた守備側の選手は、マークに付くか、このままスペースをケアするかの2択を迫られます。このまま青の選手が動かなければ中央で数的優位ができていますから赤のチームは中央から攻撃の起点を作ることができます。

青の守備側のチームは、サイドバックが中央にポジションを変えたことで人につくことと担当の位置を守ることを両立できないためにイレギュラーな対応が求められます。

相手サイドハーフを引きつけサイドにスペースを作る

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サイドバックが中央に入って偽サイドバック化することで中央で数的優位を作った際に、守備側の青の選手がそのままマークについて中央にポジションを移すと、大外へのパスルートが開通します。

このように、偽サイドバックとして中央にポジションチェンジすると相手がマークについてきても、そのまま守備陣形を崩さなくてもどちらにしても問題が生じるわけです。

ウイングの個人能力の活用

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この図は、偽サイドバックのポジショニングによってウイングへのパスが通った後の場面です。青のチームのサイドハーフが中央にポジションを移しているために、カバーリングのポジションを取ることが出来ずにウイングのところで1対1の状況となっています。

このように偽サイドバックで中央で数的優位を作ると相手チームが中央に引きつけられて、サイドのスペースが空きますからウイングがドリブルをしやすい状況ができます。

カウンターアタック対策

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赤の攻撃側のチームは、翼を広げたようなV字の陣形をしていて、この配置は守備に切り替わった際に効果を発揮します。大外のレーンに二人が入らないで中央を固めて相手チームを取り囲むような布陣となっていて、カウンターアタックに対しての備えとして有効です。

戦国時代では、このように扇型で相手を取り囲む布陣を鶴翼の陣と呼びました。防御に非常に適した陣形で、前進してくる敵軍を翼包囲する目的で用いられていましたが、サッカーでも同じということです。

偽サイドバックが生まれた経緯

Pep Guardiola on Instagram: “MAN CRUSH MONDAY ? #pepguardiola #pep #guardiola #mancrushmonday #mondaymotivation #mancity #mcfc #fcb #gq #gqitalia #sport…” (88657)

偽サイドバックの生みの親といわれているのは、グアルディオラ監督でバイエルンミュンヘン時代に生まれました。

グアルディオラが指揮を執ったバイエルンミュンヘンでは左サイドバックのダビド・アラバという選手が中央でのビルドアップ能力に優れていたため、アラバを攻撃時に真ん中にポジションチェンジするという攻撃パターンができています。

アラバは元々は中盤の選手でプロになってからサイドバックにコンバートされたため、グアルディオラの要求にはすぐに適応してサイドバックとして新境地を開拓しました。

サイドバックのアラバの中央へのポジション移動はアラバロールと呼ばれ、効果がてきめんだったことから右サイドバックのラームにも同じ役割を与えてチーム全体の戦術として昇華させたことで、アラバロールから偽サイドバックと呼ばれるようになりました。

グアルディオラ監督のサイドバックの使い方

27番のアラバが左サイドバック、2番のキャプテンマークを巻いたラームが右サイドバックです。
二人のポジションに注目してください。

false full back bayern

バイエルンミュンヘンの時!
バイエルンミュンヘンではウイングにロッベン、リベリーという世界最高峰のドリブラーがいたため、二人を両ウイングに起用してサイドで1対1でドリブル突破をさせることが効果的でした。
そのためサイドバックはウイングの中央斜め後方にポジションを取ることによって、ウイングにスペースを作り、ボールを失った際にはセカンドボールを回収する役割を与えています。
アラバ、ラームという中央でもプレーできるサイドバックの存在がロッベン、リベリーのドリブルのサポート役に適していました。
マンチェスターシティの時!
マンチェスターシティではウイングにロッベン、リベリーほどのドリブラーがいなかったことと、サイドバックにはタッチライン近くを上下動するようなオールドスタイルなサイドバックが多かったために、偽サイドバックは状況によって行うオプションとなっています。
ウイングが外だとサイドバックは内にポジションを取り、ウイングが内だとサイドバックは外にポジションを取る方法は5レーン理論と呼ばれ、偽サイドバックはさらに進化を遂げています。

今後のサイドバックに求められるスキルとは?

現代サッカーの守備がコンパクトな陣形となりボランチに時間とスペースの自由が与えられなくなったことで、サイドバックにゲームメイクするスキルが求められるように変化してきています。

サイドバックは、タッチライン際に開いてパスを受けたとして、正面に相手選手がいればボールを受けても何もできないので、内側でボールを受けることは、すでに珍しいプレーではありません。

チームが戦術として偽サイドバックを用いるかどうかに関わらず、今後サイドバックとしてプレーする選手は偽サイドバックとして中央寄りでプレーすることと従来のサイドでプレーすることのどちらも求められます。

サイドでプレーする選手が中央でプレーすると周囲の状況認知に苦労しますが、良く首を振って視野を広くすることと、サイドバックではあまり必要とされないターンのスキルを磨くと問題なくプレーできるようになります。

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