サッカーのユーティリティープレイヤーとは?
サッカーは11人で行われ、それぞれが広いピッチに散らばり、フォワード・ミッドフィルダー・ディフェンダーといった各ポジションを任せられて試合を行います。現代サッカーではさらにミッドフィルダーといっても攻撃的・守備的に細かくポジションが分かれていたり、ディフェンダーにおいても攻撃的サイドバックやスイーパーなど、様々な役割があり、各プレイヤーは専門的に役割をこなしていくのが一般的といえます。
そして、これらの細かく分かれている各ポジションのうち、複数ポジションを担うことができるプレイヤーをユーティリティープレイヤーと呼びます。
そして、これらの細かく分かれている各ポジションのうち、複数ポジションを担うことができるプレイヤーをユーティリティープレイヤーと呼びます。
日本のユーティリティープレイヤー議論
元々は欧州サッカーなどでユーティリティープレイヤー議論は盛んに行われていましたが、日本で本格的にユーティリティープレイヤー議論が行われるきっかけを作ったのが元日本代表監督イビチャ・オシムでした。イビチャ・オシムが日本代表監督に就任し、日本中が注目した選手選考の中で何よりも重要視したのがユーティリティープレイヤーの存在で、もっと細かく言えば、オシムは記者会見の中でユーティリティーを「ポロバレント」という言葉で表現し、ユーティリティーにプラスαして能動的に動ける選手を求めていました。
ユーティリティープレイヤーはただの便利屋ではない
言葉の意味だけで考えれば、ユーティリティーの意味は「役に立つ人」、ポリバレントの意味は科学用語で「多価」、この2つの意味を合わせると、多様性を意味します。つまり、オシムが言うサッカーにおけるユーティリティープレイヤーは、単なる便利屋ではなく、様々な局面で臨機応変に対応できる能力を持つ、ポリバレントであるというわけです。
例えば、ただ単に右サイドバックの選手が、次の試合ではチーム事情により左サイドバックを任されるだけではなく、サッカーの試合途中でもポジションチェンジにともない、監督のサッカー戦術を理解し、様々な状況に応じてプレーできるというような選手が求められています。
例えば、ただ単に右サイドバックの選手が、次の試合ではチーム事情により左サイドバックを任されるだけではなく、サッカーの試合途中でもポジションチェンジにともない、監督のサッカー戦術を理解し、様々な状況に応じてプレーできるというような選手が求められています。
ユーティリティープレイヤーの重要性
それではサッカーにおけるユーティリティープレイヤーの意味がわかったところで、ここからはユーティリティープレイヤーの重要性について説明していきます。ユーティリティープレイヤーは様々な状況を想定することでその重要性を確認することができます。
イエローカードの累積による出場停止や、負傷退場など、その様々な不足の状況を想定した中で、監督は選手選考を行うわけです。ユーティリティープレイヤーの重要性の秘密はこの選手選考の段階に隠されています。
イエローカードの累積による出場停止や、負傷退場など、その様々な不足の状況を想定した中で、監督は選手選考を行うわけです。ユーティリティープレイヤーの重要性の秘密はこの選手選考の段階に隠されています。
代表選手選考の人数は23人
ワールドカップに登録することができる各国代表選手は、23人です。そのうちゴールキーパーは3人で、残るフィールドプレイヤーは20人、ゴールキーパー以外のフィールドプレイヤー10人は先発出場として決定し、セオリーからすればその先発出場選手の控え1人ずつが選出されることになります。
しかしワールドカップは予選で3試合、決勝トーナメントがベスト16から始まり決勝戦まで1か月で最高7試合を戦うため、けが人やイエローカードの累積による出場停止の可能性をはらんでいます。
そこで1人で複数ポジションをこなすことができるユーティリティープレイヤーが重宝されるわけです。
しかしワールドカップは予選で3試合、決勝トーナメントがベスト16から始まり決勝戦まで1か月で最高7試合を戦うため、けが人やイエローカードの累積による出場停止の可能性をはらんでいます。
そこで1人で複数ポジションをこなすことができるユーティリティープレイヤーが重宝されるわけです。
交代選手の使い方
交代選手の使い方についてですが、ワールドカップの交代枠は3人という規定があります。各国代表チームの監督は、この3つの交代枠をどのように使うのかが勝敗を分けるポイントになります。試合が劣勢の状況では攻撃選手を送り出したり、リードしている展開では守備固めの選手を送り出すこともあります。
しかしどのような場面でも、負傷選手や退場選手が出た場合に備えて交代には慎重にならざるを得ません。そこで監督が気兼ねなく積極的に交代枠を使うことができるためにユーティリティープレイヤーは必要とされています。
しかしどのような場面でも、負傷選手や退場選手が出た場合に備えて交代には慎重にならざるを得ません。そこで監督が気兼ねなく積極的に交代枠を使うことができるためにユーティリティープレイヤーは必要とされています。
ユーティリティープレイヤーを集めて成功した監督
ユーティリティープレイヤーを集めて成功した監督として、2002年ワールドカップ日韓大会において、韓国代表を率いたオランダ人監督のヒディンク監督があげられます。ヒディンクは、複数ポジションができる選手を中心に招集し、試合途中の選手交代や、フォーメーションを替えずに選手のポジションを入れ替えることで、相手チームのマークを混乱させることに成功し、勝利を積み重ね、最終的に韓国を初のベスト4へと導きました。
その韓国を代表するユーティリティープレイヤーはパクチソンでした。交代枠だけではなく、ユーティリティー性のあるスタメンの選手のポジションを入れ替えることで相手守備陣を攪乱させたといえます。
その韓国を代表するユーティリティープレイヤーはパクチソンでした。交代枠だけではなく、ユーティリティー性のあるスタメンの選手のポジションを入れ替えることで相手守備陣を攪乱させたといえます。
ヒディンクの功績
2002年ワールドカップ日韓大会において韓国を初のベスト4に導いたヒディンク監督でしたが、その他の実績はどうなのでしょうか。2006年ワールドカップドイツ大会では、最終予選間近というタイミングで急遽オーストラリア代表監督に就任します。そして僅かな準備期間にもかかわらず、ブレット・エマートンなど、ユーティリティープレイヤーを中心にメンバーを招集、見事に予選を突破し、本大会ではオーストラリアを初のベスト16まで導きました。
さらにさかのぼって1998年ワールドカップフランス大会では母国オランダ代表監督に就任し、異なるポジションの選手を交代してシステムを一変する戦術的交代を用いてオランダをベスト4に導きました。
さらにさかのぼって1998年ワールドカップフランス大会では母国オランダ代表監督に就任し、異なるポジションの選手を交代してシステムを一変する戦術的交代を用いてオランダをベスト4に導きました。
ユーティリティープレイヤーの存在意義
フォワードからミッドフィルダー、ディフェンダーに至るまでのフィールドポジションの中で、複数のポジションを、監督のサッカー戦術を理解しながらこなすことができるユーティリティープレイヤーは、チームを率いる監督からしてみれば、最も必要とされるプレイヤーであることは間違いありません。
試合途中の戦術変更、イエローカードの累積による出場停止や、ケガによるメンバー変更にも戦術を替えずに対応することができ、ヒディンク監督のように戦術として相手を攪乱させるために役立ったりと、様々なシチュエーションでその存在感を発揮します。プレイヤーにとっても、複数ポジションをこなすことで出場機会を増やすことにつながり、双方にとってメリットがあります。
試合途中の戦術変更、イエローカードの累積による出場停止や、ケガによるメンバー変更にも戦術を替えずに対応することができ、ヒディンク監督のように戦術として相手を攪乱させるために役立ったりと、様々なシチュエーションでその存在感を発揮します。プレイヤーにとっても、複数ポジションをこなすことで出場機会を増やすことにつながり、双方にとってメリットがあります。
活躍するユーティリティープレイヤー
一つのポジションのスペシャリストであることはもちろんで、さらに複数のポジションをこなせて、監督の戦術を理解し、様々なシチュエーションでも適切な判断ができ、臨機応変に対応できる、単なる便利屋ではない現代サッカーでは一番必要とされるユーティリティープレイヤーですが、では、実際にどのようなユーティリティープレイヤーが活躍しているのでしょうか?以下では現在活躍しているユーティリティープレイヤーを紹介していきます。