サッカーのリベロとは?ポジションの役割など【サッカー用語解説】
サッカーのリベロとは、イタリア語で自由という意味の言葉で、最後尾でゴールを守ることから得点を奪うことまで幅広い役割を与えられています。リベロに求められる能力の高さと、戦術の進化によって、現代サッカーでは採用させる機会がなくなりつつあるポジションです。
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公式ライター Activel_director
サッカーのリベロとは?
リベロは守備の時はディフェンスラインのカバーリングを行います。味方選手が相手のフォワードのマークをし、そのカバーをしながらディフェンスの統率をします。
また、攻撃になると後方から前線にパスを供給するだけではなく、中盤に加わり司令塔としてゲームを組み立て、時には最前線まで出て行きフィニッシャーとして得点に関わる役割も与えられます。
そのようにピッチ全体をコントロールする必要があるため、冷静な性格も求められます。
基本ポジション
【例えば・・・】
相手が2トップだった場合、3バックの両サイドのセンターバックが2トップにマンツーマンマークをします。そしてリベロがカバー役となり、相手のフォワードに対して常に3v2の状態を作り出して守備をします。
3バックではリベロが前線に出て行ったとしても、残りのセンターバック2人が後方に残るため、守備のリスクが軽減されます。
サッカーでリベロを使用しているチームは少ない
それは時代の変化とともにディフェンスに求められる役割が変わってきたこと、サッカーの試合展開が今までよりも早くなってきたことが理由です。
ゾーンディフェンスの台頭
ゾーンディフェンスとはチームで連携してスペースを埋めて守備をする戦術です。
それまでのサッカーはマンツーマンデイフェンスが主流で、マークする選手とカバーする選手が明確に役割分担されていました。しかし、マンツーディフェンスは人についていくためスペースが空いてしまい、そのスペースを相手に使われてしまいます。
そのような守備のデメリットを克服するためにゾーンゾーンディフェンスが主流となり、マンツーマンディフェンスのカバーリングが主な役割であったリベロの出番は減っていきました。
プレースピードの変化
以前に比べてサッカーのプレースピードが格段に早くなっているため、1人の選手がピッチ全体をカバーするのは困難です。
現代サッカーでは奪ってから10秒でシュートまで持っていくことをコンセプトとしているプロチームもあります。そのようなハイテンポサッカーのなかで、リベロ1人で最後方から最前線までの多くの役割をこなすのは難しいのです。
依存度の高さ
以前に比べてハイテンポなサッカーが展開される中、強引にリベロを行うとその負担はあまりにも大きくなります。ピッチの端から端までカバーするような動きをやり抜くこうとすれば、ガス欠してしまい、体力が1試合もちません。
また、なんとかその試合は持ちこたえたとしても、リベロの動きによってその選手にかかる負担は大きく、怪我の原因にもなります。リベロが欠場すれば、チームの行っているサッカーそのものを変えなくてはいけません。
リベロのポジションの役割
リベロには最後方から最前線、全て局面で重要な役割が与えられています。
カバーリング
カバーリングとは味方が抜かれた時にそのサポートをする動きのことです。
カバーリングがいることで、味方が抜かれてもすぐにその穴を埋めることができ、決定的なピンチを防げます。また、リベロには相手が背後に出してくるスルーパスやロングボールに対していち早く反応して、そのボールを回収することも求められます。
ゲームコントロール
チームがスムーズに攻撃できるように、リベロ自身のポジショニングを調整したり、パスなどで的確に攻撃方向を選択します。
例えば相手が1トップでディフェンスライン3人にプレッシャーをかけてきた場合、相手に1人に対してセンターバック3人も必要ありません。その時はリベロがポジションを上げて、中盤の人数を増やしてポゼッションしやすい陣形をとります。そして、ボールを受けた後は相手の立ち位置を確認して、より効果的な攻撃ができる方向にパスを出します。
攻撃参加
リベロが攻撃参加するメリットは単に攻撃の人数が増えるだけではなく、前線に上がった時にフリーになりやすいという点です。
最後方の選手が点を奪うためにオーバーラップした時、初めからマークにつかれていることはほとんどありません。フリーの状態のまま前線に出て行きボールを受けることで、ゴールやアシストを行う可能性が高まります。
リベロに求められる能力
リベロが役割をこなすためには必須の能力で、1つでもかけてしまうとリベロをこなすことはできません。
危険察知能力
リベロに高い危険察知能力があれば、カバーリングできる量とその質が高まります。
リベロは相手がスペースに出してきたボールに素早く反応したり、味方が抜かれた後のカバーリングをします。カバーリングをする時に、ことが起きてから気づくのでは遅すぎます。ゲームの流れや相手の動きから予測して、ことが起きた時にはカバーできる場所にいることが大切です。
テクニック
リベロとはディフェンスでありながら攻撃にアクセントを加えることができる選手のために作られたポジションです。攻撃参加したものの、テクニックがおぼつかず攻撃を活性化させることができなければ、リベロは務まりません。
攻撃参加のセンス
タイミングを間違えてしまうと、攻撃に関われない上に自分が攻め上がった後のスペースを相手に使われてしまいます。
チームがボールを保持していて、ボールを奪われずに相手ゴール前までにいけそうな時にリベロは前方に出ていき、攻撃に加わります。
また、自ら相手のボールを奪った瞬間はフリーになるので、そのままの勢いで前方に行くとチャンスを作り出しやすくなります。
リベロの代表的な選手
その中でも、攻守に渡ってチームに貢献できる世界レベルのリベロが昨今のサッカー界には存在します。
フランツ・ベッケンバウアー
彼は鋭い予測からインターセプトやカバーリングでボールを奪います。そして、攻撃になれば長短を織り交ぜた正確なパスでゲームを組み立て、フォワード顔負けの得点能力でゴールを決めます。
リベロというポジションは彼のそのような規格外のプレーによって確立されました。
長谷部誠
彼は日本にいた頃は主にボランチとしてプレーしていました。その後ドイツへ移籍したのを機にディフェンダーとしてもプレーするようになり、リベロとしての地位を築き上げました。
彼の武器は思考力です。守備の時は相手の攻撃を予測して素早くポシションを取り、攻撃になればスムーズに攻めることができるようにボールの供給先を見つけ出します。
長谷部選手は180cmと海外のセンターバックとしては小柄な部類に入りますが、それでも世界に認められる活躍を見せていることからも彼の思考力の高さがわかります。
リベロは再興するのか?
しかし、一時はほとんど採用されなくなった3バックが近年ではその強みを再認識され、使われる機会が増えてきています。
3バックの増加に乗じてリベロを採用するチームが増えてくれば、リベロが再び脚光をあびる可能性は十分にあります。
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