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ゲーゲンプレスの意味とは?クロップ戦術の魅力を解説

ゲーゲンプレスの意味とは?クロップ戦術の魅力を解説

サッカーイングランドプレミアリーグ・リバプールFCの監督ユルゲン・クロップ。クロップ監督はサッカードイツブンデスリーガ・ドルトムントの監督をしていた時に「ゲーゲンプレス」というサッカー戦術を生み出しています。ゲーゲンプレスの凄さと、その魅力を紹介します。

2021.12.16 サッカー

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ゲーゲンプレスの生みの親

クロップ監督とは?

Instagram (22041)

クロップは、サッカー選手として現役時代に1.FSVマインツ05でプレーしていましたが、33歳の若さで現役を引退しています。

引退後は、2001年に1.FSVマインツ05の監督に就任し、その後2008年にドルトムントの監督に就任しました。クロップはドルトムントでゲーゲンプレスの戦術を生み出し、またサッカー日本代表の香川真司選手を育てサッカードイツブンデスリーガの優勝を果たしています。

2005年10月にはそれまで低迷していたリバプールの監督に就任。クロップはリバプールでもゲーゲンプレスの戦術を用いてサッカーイングランドプレミアリーグを戦っています。

ゲーゲンプレスを用いるクロップサッカーの成績

マインツ05時代 2001年〜2008年

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クロップは、2001年にマインツ05の監督に就任します。

財政的に小規模なクラブを2004年に初のサッカーブンデスリーガ1部昇格に導き、2004-05シーズンには11位でリーグ戦を終え1部残留を果たしました。2006-07シーズンでは2部に降格となり、2007-08シーズンは2部リーグで4位という成績を収めています。

クロップはマインツ時代からゲーゲンプレスの戦術を試し改良を重ねてきました。

ドルトムント時代 2008年〜2010年

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クロップは2008-09シーズンより、低迷の続くボルシア・ドルトムントの監督に就任しました。
就任1年目はゲーゲンプレスの戦術を用いてサッカードイツブンデスリーガで6位となり、ヨーロッパカップ戦への出場権を獲得出来なかったものの、終盤にリーグ戦7連勝を達成しています。

ドルトムント時代 2010年〜2013年

2010-11シーズンではドルトムントはリーグ前半戦終了時点でサッカードイツブンテスリーガ史上第2位となる勝ち点43を達成、チームは2001-2002シーズン以来の優勝を果たしました。

2011-12シーズンでは、サッカードイツブンデスリーガ新記録となるリーグ戦28試合連続で無敗・勝ち点81を成し遂げて2シーズン連続の優勝を果たし、ドイツの国内カップ戦DFBカップでも王者に輝いています。

2012-2013シーズンはサッカードイツブンデスリーガでは2位となりましたが、欧州サッカーの頂点を決めるチャンピオンズリーグではベスト4まで残りました。

ドルトムント時代 2013年〜2015年

14-15シーズンは前半戦をリーグ最下位、そしてこのシーズンを最後に2015年4月15日、7シーズン指揮したボルシア・ドルトムントの監督を退任することを発表しました。

リバプール 2015年〜現在

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クロップは2015年10月8日、サッカーイングランドプレミアリーグの名門リバプールFCの監督に就任しました。 就任初年度は、ゲーゲンプレスの戦術を用いてフットボールリーグカップ、UEFAヨーロッパリーグと2つの大会で決勝進出を果たしたが、共にタイトルを獲得することができませんでした。

2016-2017シーズンは、リーグ4位の成績を納め、チャンピオンズリーグの出場券を獲得しています。

2017-2018シーズンは2018年1月15日現在3位、チャンピオンズリーグはベスト16まで駒を進めています。

ゲーゲンプレスとは?

サディオ・マネ ゲーゲンプレスによる前線の迫力

ゲーゲンプレス戦術とは前線からプレッシングを行いながら、相手のパスコースを限定して、ボールを前線により近い位置で相手のボールホルダーからボールを高い位置で奪うサッカーの戦術で、ゲーゲンプレスはクロップ監督の代名詞と呼ばれるサッカーの戦術の一つです。

まずは、クロップサッカーにおけるゲーゲンプレス戦術の原則とその凄さからご紹介します。

ゲーゲンプレスの原則

① 攻撃時にボールを奪われたら一気に攻から守に切り替えて組織的なプレッシングを行い、ボールを奪う。

② ボールを奪い返すために、前線の選手から相手のパスコースを限定させるような組織的なプレッシングを行い、相手のボールホルダーに向かって連続的にプレッシングをかけ続ける。

③ ボールを奪ったら、プレッシングの勢いのままに、選手たちが次から次へと飛び出してくるような素早い攻撃で一気にゴールを目指す。

ゲーゲンプレス戦術の中で、一番重要なのは攻から守への切り替えです。動画の中では、ボールを奪われた瞬間から、一気に相手のボールホルダーにプレッシングをかけています。これがまさにゲーゲンプレスです。

ゲーゲンプレスの凄さ①攻守の切り替え

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ゲーゲンプレスでは、攻から守への切り替えの時に、高い位置からボールホルダーにプレッシングを一気にかけられるように、攻撃の際に、味方から縦パスを受ける前線にいる選手がボールを失うことを想定し、周りにいるチームメイトたちはポジションをとっています。

ゲーゲンプレスで大事なのは、どこでボールを奪い返すか、ということです。
クロップサッカーでは、ボールを失う位置を相手のゴールに近い位置になるように、味方のディフェンスラインから早めに長い縦パスを入れるようにしています。

ゲーゲンプレスの特徴 相手にボールを奪わせる?

長い縦パスは相手に奪われる可能性が高いものです。しかしゲーゲンプレスの戦術を用いるクロップサッカーでは、これを逆手に取り、ボールを奪われる危険性がある位置にあえて縦パスを入れて、相手がボールを奪う位置をこちら側が指定しているのです。

味方からの縦パスが繋がればそのまま攻撃し、相手にボールを奪われた場合はゲーゲンプレスを行います。
予め、ボールを失うことを前提にポジションをとっているので、この臨機応変な対応が可能になります。

ゲーゲンプレスの凄さ②プレスのスイッチ

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最終ラインにいる選手から前線の選手へ長い縦パスを送る。ゲーゲンプレスはこの時から発動します。この長い縦パスがゲーゲンプレス発動のスイッチになるのです。

ゲーゲンプレスの特徴 長い縦パス

さらに、ゲーゲンプレスは、前線の選手たちがボールを奪われることを前提にしているので、長い縦パスで味方選手と相手選手が競り合った後のセカンドボールを確実に自分たちのものにする可能性を高め、そこからショートカウンターのチャンスを多く作り出しています。

細かいショートパスを繋ぐポゼッションサッカーが一時期浸透しましたが、クロップサッカーではドルトムント時代からこの長い縦パスを多用するゲーゲンプレスの戦術を用いたサッカーで、勝利を積み重ねてきたのです。

ゲーゲンプレスの凄さ③プレッシングのかけかた

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ゲーゲンプレスのプレッシングの仕方は、相手のパスコースを限定させて、ボールを奪う場所を限定するやり方です。
したがって、闇雲に相手にプレッシングをかけ続ければいいというものではありません。

ゲーゲンプレスの戦術を用いるクロップサッカーでは、相手ボールホルダーが有するスペースを削りながら、自分がマークすべき相手選手を捨てて相手ボールホルダーに複数の選手がプレッシングをかけます。ボールホルダーに多方面から激しいプレッシングをかけるため、相手のミスを誘発してボールを奪うことができます。

ゲーゲンプレスの特徴 数的不利になるリスク

しかし、一斉に他方から数人係で持ち場を離れてボールホルダーにプレッシングをかけるため、ゲーゲンプレスが失敗し、相手がプレッシングを破って突破してしまうと、味方が数的不利な状況で守備をしなければならなくなります。

ゲーゲンプレスの凄さ④確実にボールを奪うプレッシング

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ゲーゲンプレスでプレッシングをかける際には、相手と入れ替わって置き去りにされてしまうような、リスクのあるプレッシングをしているのではありません。

ゲーゲンプレスでは、相手にいなされることやドリブルで交わされることを避けながらプレッシングをかけています。
1人で奪えなくても、徐々にパスコースやドリブルコースを限定し、さらに囲みながら2人目・3人目ぐらいでボールを奪うことを狙っています。

ゲーゲンプレスの凄さ⑤疲労度が高いサッカー戦術

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ゲーゲンプレスは極めて体力的消耗が激しいサッカー戦術であるといえます。前線の選手を筆頭にとにかくボールを奪うために走りまくります。スプリントの回数も半端ではありません。

無理をすれば、選手のケガにもつながってしまいます。リバプールではクロップ監督就任後に、選手が立て続けに故障してしまう時期がありましたが、それはこのゲーゲンプレスのサッカー戦術を用いたからと言われています。選手たちの体がこの激しいサッカー戦術に慣れていなかったのです。

クロップサッカーでゲーゲンプレスの誕生

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クロップサッカーの代名詞、ゲーゲンプレスの戦術を築き上げる上で、クロップが手本とした強豪サッカーチームが2つあります。

それは、バルセロナレアルマドリーのサッカーでした。彼が注目したのはバルセロナの組織的な守備とレアルマドリーの高速カウンターです。

クロップが理想とするゲーゲンプレスのサッカーとは「レアルマドリーの攻撃にバルサの組織的な守備をミックスさせる」という壮大なものだったのです。

ゲーゲンプレスのクロップサッカーでレアルマドリーに勝つ!

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クロップはドルトムント時代、ゲーゲンプレスの戦術用いて、2012年10月チャンピオンズリーグのグループリーグでレアルマドリーを2-1で破っています。

当時のレアルマドリーは、ジョゼモーリーニョ監督が率いており、クリスチアーノ・ロナウドを中心とする超高速カウンターを武器にしていました。そしてそのカウンターのスイッチを入れる役割を担っていたのがシャビ・アロンソです。クロップはシャビ・アロンソを徹底的にマークしました。このシャビ・アロンソに対してゲーゲンプレスを用いて徹底的にプレッシングを行い、レアルマドリーの高速カウンターを封じて、勝利したのです。

ビックマッチに強いクロップサッカー

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2017年9月、イギリスのサッカーメディア『スカイスポーツ』が、クロップが率いるリバプールは、サッカーイングランドプレミアリーグのビッグ6同士の対戦成績が他のクラブに比べて勝率が抜きん出ているといいう記事を出しました。ビッグ6とはチェルシー、マンチェスター・U、マンチェスター・C、リバプール、アーセナル、トッテナムの強豪6チームのことを示します。

ビック6との勝率

クロップが率いたリバプールは、これまでビック6同士の戦い19試合を行い、勝ち点36を獲得しています。その勝率はなんと47パーセント。およそ半分の割合で強豪相手に勝利をしています。一見高くない数字に見えますが、2位につけているのはチェルシーで、勝ち点27を獲得し勝率37パーセントです。

サッカー指導者としてのクロップ

ゲーゲンプレスのサッカー戦術を生み出し、数々のビックマッチで勝利してきたクロップだが1番の凄さは何と言ってもその人柄です。

クロップは選手とのコミュニケーションをより大事にしています。
チームが選手に何を求めているのか・選手がチームをどう思っているのか。クロップは選手たちとコミュニケーションを重ねることでチームパフォーマンスをより向上させていきました。

クロップのキャラクター

Jürgen Klopp – Top 10 Celebrations

クロップはとても情熱的なサッカー指導者だといえます。チームがゴールを奪った時のセレブレーションはもはやチームの風物詩といえるでしょう。

選手と一緒に派手に喜び、チーム・観客をも盛り立てます。こんな情熱的なサッカー指導者のもとでプレーできる選手たちは、幸せを感じることでしょう。そして、よりチームのため・クロップ監督のためにベストのパフォーマンスを発揮しようと試合に望むのです。

クロップはドイツのサッカーメディアからの取材でこう答えています。
「サッカー監督として必要なのは、サッカーの専門的な知識と、サッカーに対する情熱だ。ただし、専門的な知識を獲得してはじめて、情熱が大切になってくるんだ」

クロップの情熱的エピソード

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2015年のサッカーヨーロッパリーグ準々決勝対ドルトムント戦のことです。クロップ率いるリバプールは、かつてクロップが指揮したドルトムントをホームに迎えていました。チームは1-3でリードを許す苦しい展開で、リバプールの選手がパスミスをしてしまいました。それを見たベンチ裏のスタンドに座っていたリバプールの熱狂的サポーターがヤジを飛ばします。
するとクロップは、そのサポーターで叱りつけたのです。そして、再度、選手たちを鼓舞する応援を求めました。
するとはサポーターたちはリバプールの選手たちを全力で応援し出しました。そして、試合終了間際に劇的な勝ち越しゴールが決まり、リバプールが4-3で逆転勝利を収めたのでした。

サポーターを叱りつけるなど、日本では考えられないことです。クロップにとっては、サポーターはお客様ではなく、一緒に戦う仲間なのです。

ゲーゲンプレスのクロップ監督のまとめ

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クロップはある試合前のインタビューで「私の理想とするサッカーは、ゲーゲンプレスの戦術を用いて、10人の攻撃的な選手で守るサッカーだ」と答えています。

バルセロナの組織的な守備とレアルマドリーの高速カウンターは合わせたゲーゲンプレスの戦術はクロップの中ではまだ完成していないのかもしれません。

今後のゲーゲンプレスの戦術を用いるクロップとリバプールのサッカーから目が離せません。

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