2018年4月21日 更新

サイドバックに求められるポジションニングと動き方とは?

近代サッカーにおいて戦術的な役割が急激に増えたサイドバックというポジションに関する動き方やポジショニングについての考え方を具体的なコツを交えて解説したいと思います。サイドバックを知ることでサッカーを知ることができるでしょう。

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インナーラップという新しい戦術とは?

最近のサッカーではウイングにサイドとは逆の利き足の選手を配置し、中への切込みからフィニッシュに結びつける戦術が浸透してきていますが、この新しい戦術はサイドバックの動き方にも影響を与えました。
サイドの選手のそのまたサイドを駆け上がるオーバーラップに対して、ウイングが中に切り込むようにサイドバックもサイドから中央のスペースへ走り込むインナーラップという戦術をするようになったのです。
インナーラップとはあえて相手の密集したスペースに走り込むことで相手のマークを混乱させたり相手CBを釣り出して味方ウイングのためのスペースメイクを狙ったもので、オーバーラップがクロスのためならインナーラップは直接ゴールへ向けた動き方ですから、状況によっては非常に有効な戦術となっています。
このためサイドバックにはドリブルやクロスの技術の他にフィニッシュのためのシュート力も求められてきています。
オーバーラップでも言えることですが、コツとしては動き出したら中途半端に終わらないようにはっきり確実に走り抜けることです。
攻撃をやり切ることで相手のカウンターへの動きを阻害できますし、思い切った動きは囮として機能しやすいからです。
インナーラップ

インナーラップ

サイドバックは様々な要素が詰め込まれたポジション!

3つの大きな役割に関して説明しましたが、いかにサイドバックがサッカーのすべての要素を求められるか理解してもらえたのではないかと思います。

長友選手などの有名な選手が登場するまで日本のサッカーではサイドバックは他ポジションより格下に見られる傾向があり、現在の少年サッカーレベルの育成現場ではこの傾向はそのままだったりします。しかし与えられた役割をよく見てみると、スペースを埋めるための的確なポジショニング、相手のドリブルに追従するための高いスピードやアジリティ、ビルドアップに参加してリスクマネージメントを行うインテリジェンス、オーバーラップやインナーラップで司令塔的な役割をこなすサッカーセンスなどなど言い出すときりがないほど様々な能力が求められるポジションがサッカーにおけるサイドバックなのです。

サイドバックの役割をしっかりと担い高いレベルでチームに貢献するのは容易ではないですが、それだけにやりがいのあるポジションで、サッカーを深く理解できるポジションでもあります。サッカーとはどのようなスポーツで、サッカーの戦術とはどのように考えていくのか、その本質をポジショニングで体現しているのがサイドバックではないかと言えるのです。
Getty Images (25899)

サイドバックの模範とすべき有名な選手を紹介

ここまでの説明でサッカーのサイドバックが地味で余り物のようなポジションではなく、サッカーの攻守すべてを陰ながら支える重要なポジションであることが理解してもらえたと思いますが、具体的な動き方や的確なポジショニングのパターンはケースバイケースで、コツとしての大雑把な説明だけでは要点をしっかりと抑えるのは難しいのではないかと思います。
そこでサッカーのサイドバックとして模範となる、真似すべき有名な選手を3人紹介しますので、サイドバック上達の参考にしていただければ幸いです。

サイドバックの有名選手①長友佑都(日本)

【完全版】インテル長友佑都スーパープレー集 Nagatomo Goals&Skill 2010-2015 INTER DF

サッカーのサイドバックと言えばやはり長友選手は外せません。
日本人がサイドバックとして世界で戦うために必要なものをすべて持っていると言えるほど完成された選手になったと思います。

動画内でも頻繁に見られますがオーバーラップのタイミング・スピード・コース取りが絶妙で、それを可能にするスタミナを含んだフィジカルの強さは日本人離れしていると言っても過言ではないでしょう。
特に身体能力が求められるサッカーのサイドバックを海外チームの中で務め上げている長友選手を見ていると、フィジカルで劣るとされて諦めている日本のサッカー選手に希望を与えてくれるのではないかと思います。長友選手のプレイを見ていると中南米の選手、例えばメキシコの選手のような重くて速く休まないイメージとダブり、これが日本人が目指すべきサッカープレーヤーの理想像ではないかと考えられます。

また両足で遜色ないクロスを上げられることも長友選手の大きな強みで、左右のサイドバックをマルチにこなせるユーティリティの高さも戦術性の高いイタリアのサッカーにマッチしていると思います。
唯一難点をあげるとすると身長の低さがありますが、これもドリブルのキレを見ているとそこまでデメリットには感じられませんね。空中戦でも身体の寄せ方が非常に巧みなので長友選手より大きな選手が競り合いで負けている場面が多々見られます。
サッカーでサイドバックをするのなら長友選手を目標にするべきですし、すでにあるレベルまで到達した選手でも様々な点で学べることが多いでしょう。

サイドバックの有名選手②マルセロ(ブラジル)

【マルセロ】超攻撃型サイドバックのテクニック&タッチ集16-17シーズン【1】

日本でのサッカー人気をバルセロナと二分するレアル・マドリーを代表するサイドバックのマルセロですが、2007年からずっとレアル・マドリーでプレイし続けている素晴らしいサイドバックだと思います。
レアル・マドリーの強さから攻撃面での活躍が顕著に見えますが、中盤のルカ・モドリッチとともにチームの攻守のバランスを取りながらリスクマネージメントを行っており、スピードを活かしたアグレッシブなディフェンスと粘り強いマークはかなりのレベルだと思います。

チームのバランサーをしていることからも分かるように非常にインテリジェンスがあり戦術眼の良さが際立っていて、攻撃参加のタイミングやオーバーラップ、インナーラップの使い分けが巧みなためレアル・マドリーの攻撃にワイドな厚みを加えています。
サイドバックの役割とは何かは彼のプレイを見ているとよくわかるのは長友選手と同様ですが、長友選手よりもより攻撃でのプレイのバリエーションが豊富で一種の華やかさまで感じられますね。

サイドバックの有名選手③フィリップ・ラーム(ドイツ)

フィリップ・ラームのビルドアップ集

すでに引退してしまいましたが、マルセロや長友選手よりもより戦術家よりのプレイスタイルで通好みのサイドバックではないかと思います。

自身のドリブルやテクニックで攻撃参加を行うというよりはボランチなどの司令塔の前段階でチームのバランスをコントロールする、いわば司令塔の司令塔のような非常に頭の良いプレイをするサイドバックです。
ですから華やかさやスピード感などの派手さを感じるよりも何気ないトラップや短いドリブルでチームの全員を動かすような本当に地味なプレイが中心となっていますが、戦術的な理解が深まってくるとこのようなサイドバックはなかなか存在しないことに気づきます。
チームのへそに当たるボランチに戦術理解度、戦術対応力の高い選手を配置するのを好むグアルディオラ監督がバイエルン就任後にラームをサイドバックからアンカーにコンバートしたことでも、いかにラームがインテリジェンスの高い戦術家なサイドバックなのかが窺い知れるのではないかと思います。

マルセロや長友選手とは違った方向性でサイドバックの可能性を見せてくれたのがラームでしょう。フィジカルよりもセンスで戦うスタイルは日本人にも学べるところが多いのでないかと思います。

サイドバックのポジションは最高に面白い!

Getty Images (25900)

筆者はサッカー経験が10年ほどでそれほど高いレベルでプレイをしていたわけではないのですが、器用貧乏だったこともありほぼすべてのポジションでのプレイ経験があります。その中でダントツにサッカーが楽しいと思えたポジションがサイドバックなのです。

サイドバックの歴史から戦術的な変遷、基本的なものから具体的なものまでの動き方やポジショニングに触れてきて、正直サイドバックって大変じゃない?というイメージを抱かれた方も多いかと思います。実際にサッカーの試合を観戦するとわかりますが、サイドバックはほぼすべての時間帯で走り回っていますし、一見すると無駄なことに見えるようなランニングも多いでしょうから、ますます難しいイメージになってしまうかもしれません。

しかしやってみるとこれほど楽しいポジションはないというのがサイドバック考え方です。相手の攻撃の狙いを読みながらCBとともにディフェンス組織を構築し、中央のポジションではない身軽さを利用して積極的なインターセプトを狙い、マイボールになれば味方の動きやボールの流れからオーバーラップのタイミングを虎視眈々と狙い、広大なスペースに走り込んでフィニッシュにまで絡める、これほどどのような場面でもサッカーの真髄を味わえるポジションはサイドバックくらいのものです。

サッカーのサイドバックを知ればサッカーのすべてを知ることができる、それがサイドバックというポジションでないかと筆者は強く感じています。ぜひともポジティブにサイドバックというポジションを楽しみながら理解していきましょう。
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