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サッカーのバックパスの定義とは?いまさら聞けないルールを解説

サッカーのバックパスの定義とは?いまさら聞けないルールを解説

サッカーのルールには様々なファウルや反則があるなかで、バックパス・ルールというものがあります。しかし、どのような場合にバックパスのルールが適用されるのかが曖昧という方も多いかと思います。そこで今回はサッカーのバックパスの定義を確認し、ルール解説をしていきます。

2022.11.23 サッカー

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サッカーバックパスとは?

サッカーのバックパスには2つの意味があり、一つはサッカーのプレー中にボールを下げる行為、つまりフォワードからミッドフィルダーへ、ミッドフィルダーからディフェンダーへといった具合に後ろへパスをする行為をバックパスと呼びます。

もう一つがディフェンダーからゴールキーパーへのパスで、サッカーではこのフィールドプレーヤーからゴールキーパーへのバックパスにのみ一定のルールが定められています。この2つの行為は同じくサッカーにおいてバックパスですが、後者については一定の制約があることから、バックパス・ルールと呼び、前者と区別して解釈されています。

ディフェンス側へ後ろにパス

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ディフェンダーからゴールキーパーへのパス

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サッカーバックパス論争

SuperAthleteS on Instagram: “#Repost ・・・ @danstagram_01…” (74710)

グローブをつけたフィールドプレーヤー

バックパスは確かにサッカー戦術として成り立つものです。勝っているチームは無理に攻めることなく、ボールを自陣内で回しながら時間をかせぐことも必要かもしれません。しかしそれに対してはサッカーの究極の面白さは攻撃にあるとして、フィールドプレーヤーはもちろん、ゴールキーパーにもフィールドプレーヤーとして攻撃参加を求めるサッカーを主張する指導者もいます。

それがかつてサッカーオランダ代表として活躍したヨハン・クライフです。ヨハン・クライフはゴールキーパーに対してグローブをつけたフィールドプレーヤーを求めました。

サッカーに求められる現代型ゴールキーパー

そんな中、やはりゴールキーパーはゴールを割らせないのが仕事であるとし、相変わらず守備的なゴールキーパー象を理想とする指導者もいます。しかしバックパス・ルールにおいて、フィールドプレーヤーがボールを浮かせて膝や頭を使ってゴールキーパーへ戻すのは審判の目をあざむく反スポーツマン的行為としてファウルの対象とされていることからすると、守備目的のゴールキーパーへのバックパスに制限をかけるという発想に読み取れます。

ということは現代型のゴールキーパーとして攻撃に参加する足元技術や能力が求められると考えるのが自然です。ヨハン・クライフはバックパス・ルールが制定される前からこのような考えを持っていたことになります。

サッカーにおける積極的なバックパスと消極的なバックパス

プレー中には時としてバックパスはもちろん必要になります。しかし厳密にいって積極的なバックパスと消極的なバックパスがあるなかで、消極的なバックパスは良しとせず反則にするということがうかがえます。ポゼッションサッカーが人気を集める中で、バックパスを織り交ぜながら細かいパスを繋いで相手ディフェンスの出方をうかがいながらビルドアップを試みることもあります。

これを積極的なバックパスと評価し、時間稼ぎのようなバックパスを消極的なバックパスとして区別しているわけです。

サッカーバックパス・ルール誕生の理由とは?

①パット・ボナーの時間稼ぎ

サッカーにおけるバックパスのルールは、1992年に導入されたルールで、実は比較的新しいルールで、そのきっかけになったのが1990年に開催されたワールドカップイタリア大会のアイルランド対エジプト戦でした。

アイルランド代表のゴールキーパーとして出場したパット・ボナーは、試合終盤に引き分け狙いのため、ディフェンダーとのパス交換やボールの抱え込みにより、およそ6分間も時間稼ぎしたことが問題視され、バックパス禁止ルールのきっかけとなりました。

つまりバックパス禁止ルールの趣旨は、時間稼ぎによる消極的なプレーを抑制することにあるわけです。

②サッカーFIFAの思惑

1990年のアイルランド対エジプト戦のパット・ボナーの時間稼ぎ行為に一番敏感に反応したのは、実はサッカーファンではなくFIFAでした。1994年のワールドカップアメリカ大会開催を前にした1992年、サッカーを興行ビジネスとして大きく飛躍させようと目論んでいたFIFAにとって、この時間稼ぎ行為は、試合の興をそぐようなプレーと捉え、見過ごすわけにはいきませんでした。

しかもこの時代、テレビ放映権料が大きな収入源ともなっていたため、時間稼ぎ行為のような姑息な作戦によるサッカーへのイメージダウンを避けたいという願いが込められていました。そこで1992年欧州選手権の開催に合わせてバックパスルールが制定されたわけです。

サッカーバックパス・ルールの定義とは?

サッカーバックパス・ルールの基本的な定義

バックパス・ルールの定義については以下のように定められています。

※第12条2. 間接フリーキック
競技者が次のな状況でボールを手で触れた場合、間接フリーキックが与えられます。
・ボールが味方競技者によって意図的にゴールキーパーにキックされる。
・味方競技者によってスローインされたボールを直接受ける。


このように、意図的に味方プレーヤーから足でキックされたボールに、ゴールキーパーが手で触れると反則となると定義されています。キックと定義されているので、足以外の部位、たとえば、頭や胸、膝、腿などを使ったボールを手で触ることはキックではないため反則にはなりません。

サッカーにおける反スポーツ的行為と認められる場合

競技規則上、味方選手がゴールキーパーへヘッドを使ってパスをした場合はバックパス・ルールにおけるファウルに該当しないことになりますが、これが時には反スポーツ的行為と認められ、ファウルに該当する場合があります。その珍しいシーンが2017年1月21日のナントVSパリ・サンジェルマンでおこりました。

パリ・サンジェルマンのゴールキーパー、ケヴィンがパスを出すと、ボールを受け取ったヴェッラッティは周囲に相手選手がいないのを確認し、何を思ったかピッチにしゃがみ込み、ヘッドでボールをトラップしてゴールキーパーへ返しました。これが反則と判断されたわけです。

サッカーバックパス・ルールの趣旨

そもそもバックパス・ルールの趣旨は意図的になされるゴールキーパーへのパスをゴールキーパーがキャッチすることで、それが繰り返されることで時間稼ぎに繋がることを防止することにあります。意図的という部分がポイントであり、その基本が足でキックされたプレーと規定されており、極端にいえば、意図的でなければヘッドでも胸はもちろん、偶然に足に当たった場合や、クリアミスがたまたまゴールキーパーのところへ飛んでいき、それをゴールキーパーが手でキャッチしてもバックパスルールは適用されません。

審判はヴェッラッティのプレーを、意図的で、バックパス・ルールを逆手にとった反スポーツ的行為と捉えファウルとして警告を与えています

サッカーバックパスが適用されない場合

それでは、バックパスの反則が適用されない場面をわかりやすく解説します。バックパス・ルールの反則になるのは、足で意図的にゴールキーパーへ出したパスですが、この場合の足というのは、審判の判断にもよりますが、おおむねくるぶしからつま先にかけてをさし、それ以外の部位であればバックパス・ルールの反則に該当しないことになります。

つまり、頭や胸などを使って意図的にゴールキーパーにパスを出してそれをゴールキーパーが手でキャッチしても相手チームに間接フリーキックが与えられることがないことを意味します。

サッカーバックパス・ルールによる試合再開方法

柏vs福岡での間接フリーキック

バックパス・ルールにおける反則があった場合の試合再開方法は、競技規則によれば、関節フリーキックによると定義されています。身体的接触によるファウルが合った場合はPKになりますが、関節フリーキックは、直接ゴールを狙うことができないフリーキックで、キッカー以外の選手がボールに触れなければ得点することができません。

関節フリーキックの再開場所は、ゴールキーパーが手で触れた場所からで、ゴールエリア内の場合には、ゴールラインに平行でボールにもっとも近いゴールエリアライン上からになります。

サッカーのバックパスの定義

サッカーのバックパス・ルールは、ポゼッションしながらビルドアップする際の積極的なバックパスは問題とせず、時間稼ぎのような消極的なバックパスを排除するという姿勢を打ち出したルールといえます。そしてバックパス・ルールによってキャッチする機会が減ったゴールキーパーには、足元の技術が求められる時代になってきています。ポゼッションサッカーの導入と、バックパス・ルールの採用により、ますますゴールキーパーの足元が求められる時代に突入したといえます。

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