バレーボールは、サーブやアタックなど日本語と英語で同じ用語を使うことが多いスポーツです。バレーボール用語で日本語と英語が一致する理由は、バレーボールの発祥がアメリカであることに由来します。トスはset、レシーブはbumpなど、日本語と英語で異なる用語は知っておくと便利です。
バレーボール用語は日本語と英語で違う?
日本で普段使われているバレーボール用語の多くは、英語と同一の単語です。日本語のカタカナ読みと英語の発音で異なる用語に聞こえる場合がありますが、海外から紹介され使用されている言葉が多数あります。
バレーボールを英語で言うと?
バレーボール競技の名称は英語も日本語と同様です。スペルは
volleyballとなります。
volleyは球が地面に着く前に打ち返すことを意味する言葉です。バレーボールが元々、ballをvolleyする遊びであったことが語源となります。英語のvolleyballに、競技名の意味と競技で使用される球の意味の2つがあることも日本語と同一です。
バレーボール用語が英語な理由
バレーボール用語に英語が多い理由は、
発祥の地が英語を母国語とするアメリカ合衆国であるためです。
国際バレーボール連盟は1947年に結成され、同年に国際ルールが作られました。連盟はドイツ語を主とするスイスのジュネーブにありますが、国際ルールはアメリカで使われていた古来のルールを再編したものです。古来のルールは英語であるため、ルール改正が行われるときにもバレーボール用語は英語で更新されます。
バレーボール用語を英語で言うと?【ポジション】
バレーボールのポジション用語には、日本語と英語で異なる単語が半数程度存在します。日本語と英語で異なる単語は、バレーボールの新しいポジション用語に対して日本人に耳慣れた英語を繋げただけの和製英語をバレーボール用語にしてしまったことが原因です。
セッター
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
セッター |
setter |
セッター |
séṭɚ |
セッターは日本語と英語で同一の言葉となります。英語では第1母音にアクセントがあるため、セターに近い発音です。
リベロ
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
リベロ |
libero |
リベロ |
líːberou |
1998年から国際ルールで採用されているリベロは、日本語と英語で共通する単語です。liberoとは元々イタリア語で、自由を意味します。リベロは守備専門の選手であるイメージが強いですが、自由に交代できるポジションであることに由来した用語です。
センタープレーヤー
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
センタープレーヤー |
middle blocker |
ミドルブロッカー |
mídl ˈblɑkɝ |
ネット前でクイックを打ったりブロックをしたりするプレーヤーは、ミドルブロッカーと言います。元々は英語でも位置を表すセンターが使われていました。
戦術が複雑になったことで、立ち位置とプレー中の役割が別々の単語で表されることとなり、ミドルブロッカーが誕生、ポジション名でのセンターは廃れました。まだ混同されることも多いですが、日本でミドルブロッカーが使われる機会も増えています。
アタッカー
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
アタッカー |
attacker |
アタッカー |
ʌˈtækɝ |
アタッカーは日本語と英語で同一の用語です。日本語のアタッカーは強く速い球を打つ選手を指すことが多いですが、英語では緩急を問わず攻撃する選手すべてを指します。スパイカー(=spiker)やヒッター(=hitter)を同義語で用いることもあります。
スーパーエース
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
スーパーエース |
― |
― |
― |
日本では攻撃力に秀でたオポジット(=opposite)のアタッカーをスーパーエースと呼びますが、英語でスーパーエースに対応する言葉はありません。
特定の言葉がない原因は、ポジションに縛られずあらゆる位置からさまざまな攻撃をする戦術がバレーボールの世界標準となったことにあります。英語では、左右ともにスパイカー(=Spiker)やウイングスパイカー(=wing spiker)と呼ばれることが一般的です。
バレーボール用語を英語で言うと?【技】
バレーボールの技に関係する用語には、英語と日本語が同一となる言葉が多数存在します。ただしレシーブのように、日本人が日常的に多用する英単語がバレーボール用語では使われない場合もあるため注意が必要です。
サーブ
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
サーブ |
serve |
サーブ |
sˈɚːv |
サーブは日本語も英語も同一です。serveにはバレーボールやテニスでサーブをするの意味が含まれています。
レシーブ
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
レシーブ |
bump |
ヴァンプ |
bˈʌmp |
bumpはドンと勢いよくぶつかる・衝突することを表現する英単語です。日本で使われているレシーブのスペルはreceiveであり、打撃を受け止めるの意味で使うこともできますが、与えられた品物を受け取るの意味合いが強いため、バレーボール用語では使われていません。
トス
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
トス |
set |
セット |
sét |
setは定めた場所に据え置くことを意味する英単語です。一方、日本のバレーボール用語であるトスはtossのスペルで、ぽいと投げる・軽く投げるの意味で使います。雑に置かれる印象のtossに比べ、setは打撃しやすいように球を置くイメージとなる言葉です。
アタック
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
アタック |
attack |
アタック |
ətˈæk |
アタックは日本語・英語ともに同一で、attackとつづります。コミック・アタックNO.1で一躍有名になったバレーボール用語であり、コミックの印象から強打に対して使うことが多いですが、attackは攻撃全般を指す言葉です。
スパイク
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
スパイク |
spike |
スパイク |
spάɪk |
英単語のspikeは釘など先端が鋭いものに使う言葉です。日本ではアタックと混同されがちですが、バレーボール用語のスパイクは本来、打撃の中でも特に鋭く速いものに用います。英語圏でspikeはアタック以上に使われる回数が多い用語です。
ブロック
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
ブロック |
block |
ブロック |
blάk |
日常生活でもよく耳にするブロックは、日本語と英語で全く変わらない言葉です。スポーツに用いるときには、相手を妨害することを意味する用語に使われます。
アタックカット
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
アタックカット |
dig |
ディグ |
dˈʌg |
digは元々地面や田畑を掘り起こす・穴をあけるを意味する言葉です。攻撃されたボールに対してレシーブする体勢が地面を掘る動作に似ていることから名付けられたと言われています。日本で使われているアタックカットは、attackされたものをcutするから作られた和製英語です。
クイック
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
クイック |
quick |
クイック |
kwík |
英単語のquickは速いことを意味する言葉です。バレーボールの攻撃パターンにあるAクイック・Bクイックも日本語と英語で変らず、Aquick・Bquickと言います。ただしquickは形容詞・副詞であるため、quick spikeが文法的に正しい英語です。
バックアタック
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
バックアタック |
back-row attack |
バック・ロウ・アタック |
bˈæk róʊ ətˈæk |
back-rowは後列を意味する英単語です。バックアタックは後列から打ち込むアタックであるため、英語ではバック・ロウ・アタックと言います。日本で使われているバックアタックは、後ろから殴ると直訳される英語では使わない言葉です。
パンケーキ
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
パンケーキ |
pancake |
パンケーキ |
pˈænkèɪk |
パンケーキは日本語・英語ともに同一用語となります。pancakeは食べ物のパンケーキと同じスペルであり、かつ飛行機が失速しながら水平に着陸する様を表す航空用語です。バレーボールでは、床についてしまいそうなボールに対して体をスライディングさせ、手を水平に差し込むようにレシーブする技のことであり、飛行機の平落ち着陸が由来となります。
吸い込み
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
吸い込み |
waterfall |
ウォーターフォール |
wˈɔːṭɚf`ɔːl |
日本ではブロック時にブロッカーとネットの間にボールが落ちてしまうことを吸い込みと言いますが、海外では単なるブロックミスであり、特別なバレーボール用語はありません。ただし滝の流れのようにボールが吸い込まれる様子からウォーターフォールと例えられます。
バレーボール用語を英語で言うと?【ルールなど】
ルールなどにまつわるバレーボール用語には、日本語と英語で異なる単語が多い特徴があります。特にライト・レフトなどスポーツだけでなく日常で使われる英単語の中に、バレーボール用語では異なる言葉があるため注意が必要です。サイドアウトやマッチポイントなどスポーツの場面で使われることが多い単語に関しては日本語と英語で同じ単語となる傾向があります。
時間差
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
時間差 |
delayed spiking |
ディレイド スパイキング |
dɪléɪd ˈspaɪkɪŋ |
時間差攻撃は日本で考案された戦術であるため、直訳できる英単語は作られていません。一般的に時間差攻撃を説明する場合には、delayed spiking(=遅らせたスパイク)が使われています。おとりのスパイカーがいることに由来してmultiple quick attack(=多重速攻攻撃)や、timing-based attack(=時間経過アタック)と言われることもあります。
押し合い
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
押し合い |
joust |
ジャウスト |
dʒάʊst |
ネット上で両チームがボールを押しあう姿を、英語ではジャウストと言います。ジャウストとは中世に行われていた馬上の槍試合です。槍試合とバレーボールで押し合いする姿が似ていることから比喩され、作られたバレーボール用語です。
ライト
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
ライト |
weak side |
ウィークサイド |
wíːk sάɪd |
英単語のweakは弱点を意味します。コート右側にいる右利きアタッカーの場合、トスがたいてい左から上がるため、ボールが自身の体の前を通って打点へあがります。右利きプレーヤーにとってアタックが打ちづらい側、弱点となる側であることに起因したバレーボール用語です。
レフト
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
レフト |
strong side |
ストロングサイド |
strˈɔːŋ sάɪd |
strongはweakの反対語です。ストロングサイドはウィークサイドの逆で、右利きが打ちやすい側、右利きに強みとなる側を意味します。日本語のレフトはコートの位置に加えてレフトのプレーヤーも指しますが、ストロングサイドはコートの位置のみを指す用語です。
サイドアウト
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
サイドアウト |
side out |
サイドアウト |
sάɪd άʊt |
日本語と英語が同一となるバレーボール用語です。サーブ権のあるチームのみが得点できるルールをサイドアウト制と言いますが、これも日本語と英語で変わらず、side out systemで通じます。
ローテーション
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
ローテーション |
rotation |
ローテーション |
roʊtéɪʃən |
ローテーションは日本語で物事を順番に回しながらすることを意味する言葉ですが、英語のrotationも回転を意味する英単語です。バレーボール用語でも日本語と英語が同一で、サーブ権ごとにポジションが1つずつ移動することを示します。
ポイントゲット
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
ポイントゲット |
kill |
キル |
kíl |
アタックが決まり、ポイントゲットすることをバレーボール用語でkill(=キル)と言います。一般的に英単語のkillは殺す・消すと訳されますが、バレーボール用語では、ボールを打てなくする・止めるの意味です。攻撃が決まったときの掛け声であるナイスキーはnice killからきています。
サービスエース
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
サービスエース |
ace |
エース |
éɪs |
サーブに対して相手が返球できずに得点となる場合の用語はエースです。サービスエース(=service ace)でも通じますが、あまり使われる用語ではありません。英語ではサーブ以外の得点源にkill、サーブの得点にaceを用いるため、サービスエースは重複語の印象を与えます。
コートチェンジ
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
コートチェンジ |
change of court |
チェンジオブコート |
tʃéɪndʒ (ə)v kɔrt |
日本語ではコートチェンジ・チェンジコートと前後を入れ替えたさまざまな言い方をしますが、英語ではチェンジオブコートです。コートチェンジ・チェンジコートともに文法の誤った和製英語となります。
マッチポイント
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
マッチポイント |
match point |
マッチポイント |
mˈætʃ pˈɔɪnt |
試合の勝ち負けが決まる最後のポイントは、日本語・英語ともにマッチポイントで変わりません。バレーボールの試合のことをvolleyball matchと呼ぶことに由来しています。
ワンタッチ
日本語 |
英語 |
読み方 |
発音記号 |
ワンタッチ |
ー |
ー |
ー |
1回触る動作を日本語では日常的にワンタッチと言いますが、ワンタッチは和製英語であり、one touchの英単語は存在しません。バレーボールの試合中、ブロックの手ににボールが触れた場合には、be penalized for touching the ball(=ボールを触ったためにペナルティを得た)と表現します。
バレーボールに関係する言葉を英語で紹介
6人制の一般的な室内バレーボールから派生したバレーボール競技は、すべてvolleyballの英単語が使われます。日本国内が主な発信地である9人制バレーやソフトバレーは、和製英語のまま世界発信されており、国際的にプレーするビーチバレーは伝来してきた英語のまま日本に浸透しています。
9人制バレーボールを英語で言うと?
9人制のバレーボールもvolleyballです。ただし一般的にvolleyballは国際ルールに準じた6人制のマッチを指すため、volleyball played with 9 peopleやnine-member volleyballと言います。わかりやすい固有な英単語が存在しない理由は、9人制のバレーボールが現在国際的にすたれており、あまり行われていないためです。
ビーチバレーを英語で言うと?
ビーチバレーは、英語でbeach volleyball(=ビーチバレーボール)と言い、日本語と同様です。ビーチバレーもバレーボールと同じFIVB(国際バレーボール連盟)の管轄であり、ビーチバレーの用語もバレーボール同様に英単語を用います。
ソフトバレーを英語で言うと?
ソフトバレーを英会話で伝える場合には、soft volleyballを用いることが一般的です。ソフトバレーはバレーボールから日本バレーボール連盟が派生させた日本固有の生涯スポーツであるため、海外には対応する英単語がありません。ソフトバレーを国内で管轄する日本ソフトバレーボール連盟が海外に発信するときにsoft volleyballと表記します。
英語でバレーボールを楽しもう!
バレーボールは英語をベースに作られた競技であり、英語に苦手意識が強いとされる日本人でも馴染みやすい用語がたくさんあるスポーツです。アタック、ブロックなど、学生時代にスペルを習う英単語も多数出てきます。英語と日本語が異なる英単語をつづりと共に覚えれば、バレーボールをグローバルな視点からも楽しむことが可能です。