ポジショナルプレーとは?ピッチ上で優位をつくる戦術を解説
現代サッカーの戦術を理解するうえで必須となったポジショナルプレーとは、動的に動き方を決めることでより良いポジショニングを取りながらゲームを進めていくうえでのいう考え方のことを指しています。そのためポジショナルプレーとは、戦術を超えた概念ともいえます。
Writer
公式ライター Activel_director
ポジショナルプレーとは?
ポジショナルプレーによって生み出された戦術の代表的な例は5レーン理論や偽サイドバックであり、ポジショナルプレーは戦術を超えた概念ともいえます。
ポジショナルプレーの考え方は、サッカーという偶然性の強い競技を整理するうえで、フォーメーションのような静的に規定されたポジションだけではなく、動的に動き方を決めるということです。
ポジショナルプレーの3つ優位性とは?
3つの優位性とは数的優位、位置的優位、質的優位。
従来の戦術では、数的優位か質的優位かという2択を迫られることが多かったですが、ポジショナルプレーでは位置的優位が整理されることで、数的優位も質的優位も同時に活かすことが出来るようになっています。
位置的優位
数的不利でも有効なポジションを取ることで、位置的優位性を高めて対処することが可能。
全体の陣形の意図しない密集や分散を防ぐためにも有効です。
数的優位
同じ人数で行うサッカーはピッチ上のどこかの局面で数的優位なら、どこかで数的不利な状況が生まれます。
ポジショナルプレーでは、数的優位を作ることと数的不利に対処することを同時に狙います。
質的優位
例えばドリブルが得意な選手ならサイドでフリーの状況を作ったり、マッチアップする相手に対して能力的に上回る選手がいれば、あえてそこを孤立化させて1対1の状況を作ることが出来ます。
従来のサッカーの戦術は数的優位を作るという意味合いが強かったですが、ポジショナルプレーは位置的優位で数的不利な局面、質的優位で数的同数の局面を効果的に使うことが可能となります。
ポジショナルプレーの戦術的メリット
個性と組織をどちらも活かす
ポジショナルプレーでは、原則を選手に落とし込みますが、判断は選手に委ねるのが特徴です。
つまり、配置と状況に応じた動き方をあらかじめ決めておくことで、味方選手がどこに誰がいるかをいちいち見て確認する必要がなくなるわけです。
脳内の処理を簡潔にするので、むしろ戦術的な規律があることによって創造性が高まるという利点メリットがあります。
選手に判断を委ねる
動き方が決まっていだけに選手はボールを受けた時にどうするかという判断に集中することができるので、選手の判断に規制をかけることなくむしろ自由度が高まり創造性を駆使したプレーができます。
また、選手に判断をゆだねることによって創造性だけではなく、相手の出方に応じた柔軟性の高い判断が出来ることもメリットです。
ポジショナルプレーとは真逆のストーミング
オフェンス時の敵陣でのポゼッション確立によるゲーム支配とボールロスト時の即時奪回を組み合わせたポジショナルプレー」とは逆に、敵陣でのプレッシングに主眼を置いています。
ポゼッションをディフェンスの手段としてとらえているポジショナルプレーとプレッシングをオフェンスの手段としてとらえているストーミングはオフェンスとディフェンスが一体となったゲームモデルという共通点があります。
しかし、秩序のポジショナルプレーとカオスのストーミングという意味で真逆です。
ポジショナルプレーのいくつかの定義とは?
専門用語をつかっていろいろな解説をみていると訳が分からなくなってしまうので、ポジショナルプレーを作ったとされる二人の名将の言葉を引用していきます。
ファン・マヌエル・リージョ監督によると?
その中で、システムではなく考え方について指す言葉ということを強調しています。
「難しいな。コンセプトであり評価基準であって、“人形”の配置の話ではない。人形のことなら、君らもよく知っているだろう。メッシがここにいて、ウイングがこう開いていて、4人のDFがいてこういうのは馬鹿げたことだよ。サッカーを最もダメにした張本人がこういう図なんだ。ポジショナルプレーとは攻守一体となったプレーの中でボールを自分たちの意図する場所に運び、それを有利に進めるという考え方を指す」
ペップ・グアルディオラ監督によると?
「ピッチ上のどこにボールがあるかを踏まえて、選手たちが正しいポジショニングをしていこうとする考え方。これを実践してシステムを機能させるためには、ディシプリンと思考能力の速さが必要になる」
ポジショナルプレーの注意点
戦術的にポジショナルプレーをするとき
ポジショナルプレーを行うときは、このことを念頭に置いて相手の出方や状況をよく見ながら応用を利かせていくことが必要となります、
日本でよくあるポジショナルプレーを間違ったチームは自チームの動き方を決めて、相手の動きを考慮していないで同じやり方を愚直にやるということが起きがちです。
ポジショナルプレーはシステムのように決められたものではなく、状況に応じた柔軟な判断をサポートするように練習から落とし込まなければ絵に描いた餅で終わります。
ポジショナルプレーを学ぶとき
例えば、2019年にJリーグでポジショナルプレーを行っている代表的なチームは横浜Fマリノスとセレッソ大阪ですが、二つのチームは攻撃的か守備的かという目線で見ると真逆のサッカーをしています。
実際に最多得点のマリノスと最少失点のセレッソとなっていることからも、これがポジショナルプレーというスタイルはないことがわかります。
しかし、ポジショニングを動的に動き方を決めているという意味では共通点を見出すことができますので、オフェンスかディフェンスかという目線でみると間違えてしまう可能性が高いです。
ポジショナルプレーとは原則
原則とは、多くの場合に共通に適用される基本的なきまりであって詳細なルールよりも上の概念として存在するものです。
そのためポジショナルプレーを理解すると、サッカーのすべてのチームに応用可能となります。
自陣からのビルドアップで相手がこう来たら、陣形をこうするという原則があることで選手はより自由にプレーできるようになります。
商品やサービスを紹介いたします記事の内容は、必ずしもそれらの効能・効果を保証するものではございません。
商品やサービスのご購入・ご利用に関して、当メディア運営者は一切の責任を負いません。