お腹の筋肉の名前とは?腹直筋・外腹斜筋などの名称と役割を解説!
お腹の筋肉の名前は、大きく分けて前腹筋と側腹筋の2つがあり、前腹筋は腹直筋と錐体筋の2つの名前に、側腹筋は外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋の3つの名前に細分化できます。役割は、お腹の骨盤周りにある筋肉の骨盤底筋群や腸腰筋と連動して、体幹を動かすことで、内臓の働きもサポートします。
2021.12.16
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ボディメイク
Writer
公式ライター 萩原歩
学生時代より趣味として仕事としてスポーツ業界に携わってきました。記事を通してスポーツの楽しさや奥深さが伝われば幸いです。
お腹の筋肉とは?
お腹の筋肉とは、人間の体の中央に位置し、体幹の運動と安定を司っている筋肉群です。骨盤周りにある筋肉群と合わせて作用することで、体幹は3つの動きをします。
・体を前後に倒す伸展運動
・体を左右に倒す側屈運動
・体を左右にひねる回旋運動
また、内臓の働きを助ける役割も果たし、運動のパフォーマンスだけでなく、日常生活と深く結びついた筋肉です。
お腹の筋肉の名前
お腹の筋肉の名前は、付着している場所と筋肉のかたちを模して付けられています。お腹に付いている筋肉の大きさや形は、人間の筋肉のなかでもカバーする範囲が広く、同じ役割や隣接する付着部を持つ筋肉と連動して働くため、各部の細かな筋肉の名称にくらべ、複数の筋肉を組み合わせた総称のほうが一般に広く知れ渡っています。
お腹の筋肉の名前 | |
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前腹筋 | 腹直筋 |
錐体筋 | |
側腹筋 | 外腹斜筋 |
内腹斜筋 | |
腹横筋 |
腹直筋
腹直筋は、肋骨の真ん中辺りから左右の恥骨の分かれ目までを覆う筋肉です。腹筋の中で最も表層に位置し、錐体筋とともに前腹筋を構成しています。ひとつの塊ではなく、腱画の名称で呼ばれる繊維の帯で、6つ、8つのブロックに区切られている大きな特徴があり、一般にシックスパックやエイトパックと呼ばれる所以です。
錐体筋
錐体筋とは、腹筋の種類のひとつで、腹直筋とともに前腹筋に属し、恥骨から臍にはしる小さな三角のかたちをした筋肉の名前です。部位は、白線と呼ばれる腹直筋の中央にはしる縦ラインの下部と連なって位置しています。カンガルーやコアラに代表される有袋類に特に発達がみられる筋肉で、人間の場合は、全くみられないほど退化してしまっていることも珍しくありません。
外腹斜筋
外腹斜筋は、腹部の側面をはしる腹斜筋のなかでも最も表層の部位にある筋肉で、脇腹から恥骨に伸びています。5番目から12番目の肋骨の外側から骨盤の内側を繋いでいて、内腹斜筋や腹横筋と一緒に側腹筋を構成している筋肉です。
内腹斜筋
内腹斜筋は、外腹斜筋や腹横筋とともに側腹筋をつくる筋肉で、外腹筋の内側に付いています。10番目から12番目の肋骨の内側から骨盤の外側に伸び、筋繊維は外腹斜筋とは逆向きです。また、男性の場合、骨盤側の内腹斜筋末端部の筋束は、精索を包み込むかたちで下降して精巣挙筋となります。
腹横筋
腹横筋とは、側腹筋に属する体の胴回りを覆う薄い筋肉の名前です。肋骨、骨盤、背中側の筋膜から腹直筋の白線まで腹部全体を取り囲んでいて、上は肋骨の7番から12番目から下は腸骨、鼠蹊靭帯まで伸びています。内腹斜筋のさらに内側、お腹の筋肉のなかでも最も深層部に位置し、筋肉の形状からしばしばコルセットに例えられます。
お腹の骨盤周りの筋肉の名前
骨盤周りの筋肉の名前 | ||
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腰方形筋 | ||
骨盤底筋群 | 肛門挙筋 | 恥骨直腸筋 |
恥骨尾骨筋 | ||
腸骨尾骨筋 | ||
腸骨会陰筋 | ||
会陰筋 | 浅会陰筋 | |
深会陰筋 | ||
仙尾筋 | ||
腸腰筋 | 大腰筋 | |
小腰筋 | ||
腸骨筋 |
骨盤周りの筋肉の名前は、人間の体の中でも特に細かい筋肉が集まっているため、役割を同じくした筋肉や付着した部位が近しい複数の筋肉を組み合わせて名付けられています。腰方形筋、骨盤底筋群、腸腰筋から構成され、肋骨や背骨の下部から骨盤と股関節にかけて付着している筋肉です。
腰方形筋
腰方形筋は、骨盤の上から一番下の肋骨と腰椎の端に伸びている小さな筋肉です。後腹筋とも呼ばれている筋肉で、腰の奥深くに位置し、腰椎を左右両側から支えています。左右一対が対称関係に付いている筋肉のため、左右のバランスが崩れると腰痛の原因になります。
肛門挙筋
肛門挙筋は、恥骨直腸筋、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、腸骨会陰筋の4つの小さな筋肉からなる筋肉です。骨盤の底の穴を塞ぐかたちで存在する骨盤底筋群の深層に位置し、肛門を囲む骨盤隔膜を構成します。周囲から肛門を引き上げる格好で伸びて、梨状筋、内閉鎖金とともに骨盤内臓の受け皿に形容される筋肉群です。
会陰筋
会陰筋は、肛門挙筋と同じく骨盤底筋群の一部で、肛門と生殖器の間をはしる筋肉です。浅層にある浅会陰横筋と深層にある深会陰横筋が合わさるかたちで構成され、骨盤底を支える筋の壁をつくっています。さらに深会陰横筋は、尿道括約筋とあわさって尿生殖隔膜筋膜をつくり、骨盤隔膜とともに骨盤の下部を覆っています。
仙尾筋
仙尾筋は、お腹の骨盤周りの筋肉のうち、仙骨と尾骨の間に位置する筋肉です。前仙尾筋と後仙尾筋で構成され、骨盤部位の仙骨前面から尾骨前面に付着している前仙尾筋と、仙骨後面から尾骨後面に癒着している後仙尾筋に分けることができます。
大腰筋
大腰筋とは、上半身と下半身をつなぐ腸腰筋の一部で、背骨の下部から股関節の内側に伸びる長い筋肉です。腹直筋と同様に重力に逆らって付着している抗重力筋で、生活の中で無意識に作用しています。
小腰筋
小腰筋は、背骨の下部から骨盤にかけて、大腰筋から分束しながら伸びる筋肉です。大腰筋や腸骨筋と合わせて腸腰筋を構成し、深腹筋の名前でも知られています。約半数の人しか持ち合わせていない珍しい筋肉で、多くの人は大腰筋に埋もれてしまっている特殊な筋肉です。
腸骨筋
腸骨筋は、骨盤の内側から股関節の内側にはしる筋肉です。大腰筋や小腰筋とともに腸腰筋を構成し、腸腰筋の中でも最も深層部に位置しています。腸骨筋も抗重力筋のひとつで、意識せずとも自然と作用する筋肉のひとつです。
お腹の筋肉の役割と働き
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お腹の筋肉の主な役割は、安定した姿勢の維持と力の伝達の中継です。上半身と下半身のバランスをとりながら体幹を動かし、上半身と下半身を連動させる働きをします。また、呼吸に関与する筋肉で、肋骨を動かして肺の動きをサポートする役割もあります。
腹直筋の役割と働き
腹直筋は体を屈曲、回旋、側屈させるほか、骨盤の動きをサポートする役割を担っています。運動時に体を安定させることに力を発揮し、お腹の筋肉のなかでも主役級の働きをする筋肉です。加えて、呼吸するときに肋骨を上下させて肺が広がるスペースを確保する働きもあります。
錐体筋の役割と働き
錐体筋の役割は、腹直筋の補助にあり、下腹部を支えたり、体を曲げ伸ばしたりするときに腹直筋をサポートします。しかし、人間が進化の過程であまり使われなくなった筋肉でもあるため、全くといってよいほど発達していない場合が多く、錐体筋の果たす役割は大きくありません。
外腹斜筋の役割と働き
外腹斜筋の役割は、側腹筋を主導することです。同じ側腹筋に属する内腹斜筋と腹横筋をリードし、体を捻ったり、曲げ伸ばしするときに作用します。体を回旋させるときには左右が別々に働きますが、屈曲時には左右同時に働き、肋骨と骨盤を近づけて腹直筋の働きをアシストする役目も兼ねています。
内腹斜筋の役割と働き
内腹斜筋の役割は、外腹斜筋の働きを補助することです。外腹斜筋や腹横筋と合わせて体の曲げ伸ばしや回旋に力を発揮し、左右の片側が働くときは体が捻れ、左右が同時に働けば体は屈曲します。外腹斜筋だけでなく、腹直筋をサポートする役割もあるため、腹筋の協働筋と呼ばれます。
腹横筋の役割と働き
腹横筋の役割は、肋骨下部を後方に引くことで腹圧を高め、内臓を安定させることです。呼吸をするときに大きな役割を果たす筋肉で、収縮することで息を吐くことを、緩むことで息を吸うことをサポートします。また、姿勢維持に一役買い、内外の腹斜筋と腹直筋の補助をする筋肉でもあります。
お腹の骨盤周りの筋肉の役割と働き
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お腹の骨盤周りの筋肉は、姿勢の維持や体幹の安定に重要な役割を果たします。ほとんどの筋肉が2つ以上で協働する筋肉で、走ったり重いものを持ち上げたりするだけでなく、生理現象や体の姿勢に関係し、日常生活の中でなくてはならない重要な機能を有しています。
腰方形筋の役割と働き
腰方形筋は、脊柱を安定させる重要な役割を持ち、姿勢の保持に大きく関わる筋肉のひとつです。体幹を側屈させる働きがあり、左右一対の腰方形筋のうち片方の筋肉が動くと、動いた方の腰方形筋が繋ぐ骨盤を頭のほうへ引き上げ、体を傾けます。また、左右同時に収縮すると、体幹を伸展させる働きをして背骨を安定させます。さらに、下部肋骨を動かして呼吸補助に活躍する筋肉です。
肛門挙筋の役割と働き
肛門挙筋の役割は、お腹の中にある内臓の位置を保持することです。腸骨尾骨筋と恥骨尾骨筋は尿生殖隔膜筋膜と一緒に、骨盤に収まった内臓を乗せ、ハンモックに似た構造で支えています。また、排便のときに腹部の内臓が肛門ごと体外に押し出されるのを防ぐために、周囲の骨を引っ張って肛門を支える働きをするのも肛門挙筋です。
会陰筋の役割と働き
会陰筋の働きは、お腹の中にある内臓の位置を安定させることです。特に深会陰横筋は尿生殖隔膜筋膜をつくり、挙筋で構成される骨盤隔膜とともに、骨盤内臓を支える役割を持っています。さらに、排尿や蓄尿時には、尿道を閉鎖する働きもみせる筋肉です。
仙尾筋の役割と働き
仙尾筋は尻尾を動かす働きを持つ筋肉です。かつて人間に尻尾があったときには、尻尾を動かしてバランスをとる役割がありましたが、今はほとんど使われることがなく、すでに退化し有効性はありません。
大腰筋の役割と働き
大腰筋には脊柱を安定させる働きがあります。姿勢維持に大きな役割を担い、腰をS字状に維持して直立の姿勢を保ちます。また、腸骨筋と協力して体幹や股関節の屈曲と伸展に作用し、足を引きあげる働きをするため、歩行動作に大きく関与する筋肉です。
小腰筋の役割と働き
小腰筋の役割は、大腰筋と腸骨筋の補助です。姿勢の維持や体幹と股関節の屈曲サポートする働きをしますが、大腰筋と腸骨筋の補助にとどまり、小腰筋単独で力を発揮することはありません。
腸骨筋の役割と働き
腸骨筋は、同じ腸腰筋のなかでも直接背骨に付着していないため、純粋に足を上げる役割を持っています。歩行のときは腿や膝を引き上げて足を振り出す働きをし、大腰筋と小腰筋とともに骨盤を安定させて姿勢をコントロールする筋肉です。
お腹の筋肉の名前や構造を理解して正しくトレーニングをしよう
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お腹の筋肉は、体の中心を広範囲にカバーし、どの筋肉をとってみても多くの動作に関係する重要な筋肉です。お腹周りにある各筋肉の役割を知ることでトレーニングの目的を明確化でき、体の安定感を効果的に高めることができます。加えて、複数の筋肉が連動して働くことで正しく力を発揮できる特徴があるため、筋肉同士の繋がりや体の胴回りの筋肉全体の構造を理解し、お腹から骨盤周りをバランス良く鍛えることも重要です。
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