5レーン理論とは?【サッカーの戦術解説】
現代サッカーの戦術を理解するうえで必須となった5レーン理論についてまとめてみました。サッカーの戦術を理解するうえで非常に便利で役に立つので知っておいて損はないですが、5レーン理論に傾倒しすぎるととくに育成年代では弊害もあるので、5レーン理論は理解したうえで絶対視しないことが重要です。
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公式ライター Activel_director
5レーン理論とは?
選手のポジショニングを入れ替えながらも位置関係を崩さずパスコースを限定させないことが狙いです。ピッチを5分割する考え方のことを5レーン理論と呼ぶこともありますし、5分割して同じレーンに2人連続してポジショニングしないという決めごとを5レーン理論ということもあります。
5レーン理論の3つの優位性とは?
また、この3つの優位性を高めるためのプレーモデルに基づいた戦術をポジショナルプレーと呼び、5レーン理論はポジショナルプレーの概念のうちの一つの戦術といえます。
位置的優位
数的優位
5レーン理論で得られるサイドでのトライアングルを選手間の距離を狭めることで、局面で数的優位を作りやすくなります。トライアングルを回転させてポジションを入れ替えることも数的優位な局面では効果的です。
質的優位
例えばドリブルが得意な選手なら大外のレーンにポジションさせ、周りの選手はハーフスペースにポジショニングすれば、大外の選手はドリブルしやすい状況を作ることが出来ます。ポジションが被らずに、得意なエリアで個人能力を発揮させるうえでも5レーン理論は有効です。
5レーン理論の効果
攻撃面
またピッチを縦に5分割することで、端から2番目と4番目のハーフスペースを活用した攻撃パターンを作ることが容易になります。
守備面
攻撃時に自分がどのレーンに立っているかを把握しておけば、守備に切り替わった際に誰がどのレーンからの前進を押さえるかをはっきりさせることができます。
サイドバックの求められる役割とは?
タッチラインが近く、プレーの選択肢と視野が限定される大外と違いハーフスペースでは360度の選択肢があるため、サイドバックでもターンや逆足でのボール扱い、広い視野の確保が必要なスキルとなります。そのため、サイドバックは元ボランチの選手が務めることが増えていますので、将来サイドバックでプレーしたいサッカー少年はボランチでのプレー経験が役に立ちます。
5レーン理論の弊害とは?
一方でポジションが偶発的に被ることを利用したスルーやワンツーといった即興のコンビネーションプレーが生まれにくくなったり、ポジショニングが整理されると相手からは読みやすくなるという弊害があります。
5レーン理論の生みの親とは?
ペップ・グアルディオラ
ピッチ上に数多くのトライアングルを形成してボールポゼッションで相手を圧倒するスタイルは、グアルディオラがバルセロナの選手だった時代から続くバルセロナの伝統です。
グアルディオラ監督は、このチームが暗黙の了解で分かりあっていることを説明してピッチ上に落とし込むために5レーン理論を体系化させたといえますから5レーン理論のオリジナルはバルセロナにあります。
バルセロナにおける5レーンの使い方
The Day False 9 Lionel Messi Was Introduced To The World ► Messi Vs Real Madrid (2/5/2009)
バイエルンミュンヘンにおける5レーンの使い方
メッシはいなかったもののレヴァンドフスキという世界最高峰のセンターフォワードから得点を逆算したサイド攻撃を中心に攻撃を組み立て、内側でサイドバックがプレーする戦術は偽サイドバックと呼ばれ、バイエルンミュンヘンでは、ウイングが外側、サイドバックが内側という役割分担が主な形でした。
FC Bayern Tiki Taka ● Guardiola System ●
マンチェスターシティにおける5レーンの使い方
そのため、同レーン上にポジションが近い選手が並ばないで隣り合うレーンの選手は斜めのポジションをとる約束事をつくることでサイドでのトライアングルの位置関係を頻繁に入れ替えながらもポジションバランスを崩さないチームを作ることに成功しています。5レーン理論のもっとも分かりやすい使い方をしているチームといえます。
Manchester City 2018 ● Tiki Taka Guardiola System HD
このように、5レーン理論は特別な能力を持った選手が居なくても機能するチームを作るために編み出されたものなので、どのチームにも応用が利くわけです。
育成年代での5レーン理論の教え方
5レーン理論を使う場合にも選手の発想に規制をかけないことを意識する必要があり、選手がプレー中に意識できる許容範囲を超えた要求をすると創造性を失わせるリスクがあります。
5レーン理論はフィールド全体の11人の取るべきポジショニングを分かりやすく整理する判断基準なので、子供に専門用語を並べて理論を教えて混乱させることは矛盾しています。そのため育成年代で5レーン理論やポジショナルプレーを導入するのであれば図解したり、トレーニングの中で選手自身が自然に合理的なポジショニングを導くことができるように育成していく必要があります。
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