グアルディオラの戦術とは?新しい戦術を作り出した名監督に迫る!
現在のサッカー界を代表する名将の一人であるペップ・グアルディオラ監督。さまざまな新戦術を用いて、欧州のサッカーシーンを席巻しています。これまのサッカー界になかった新しい発想で生み出される、個性的で革新的なペップ戦術の特徴を解説します。
Writer
公式ライター tatsunari1205
グアルディオラ戦術を作った名将ペップ監督とは?
現代サッカーを代表する戦術家
各クラブで多くのタイトルを獲得してきただけでなく、新たな戦術でサッカー界の新常識を生み出す戦術家でもあります。
名将ペップ・グアルディオラの実績
そこでの実績が評価されて2008-09シーズンにトップチームの監督に就任。4シーズンで国内リーグ3連覇、欧州チャンピオンズリーグ優勝2回など、計14タイトルを手にしました。
その後、2013年からドイツのバイエルン・ミュンヘンの監督を務め、ここでもリーグ3連覇の偉業を達成しました。2016年から率いるマンチェスター・シティでも2度のリーグ優勝を果たしています。
グアルディオラ戦術とは?
グアルディオラ監督のFCバルセロナの代名詞だった「ティキタカ」や「ゼロトップ」、バイエルン・ミュンヘン時代に使用した「偽サイドバック」といった戦術用語は、いずれもグアルディオラ監督をきっかけに有名になったものです。
グアルディオラ戦術は、元FCバルセロナ監督である名将ヨハン・クライフの「トータルフットボール」に影響を受けています。
グアルディオラ戦術①ティキタカ
FCバルセロナで見せたパスサッカー
【バルセロナ】伝説のTIKI TAKA 誰もボールを奪えない・・・ This TIKI TAKA made a hat trick of Messi. What a play!!
ショートパスのスピードや正確性はもちろん、ボールを持っていない選手たちの動きもハイレベルなものが求められる難易度の高いポゼッションサッカーと言えます。
「ティキタカ」という言葉自体はスペインでは古くから使われていたようですが、グアルディオラ監督のFCバルセロナが見事に実践したことで一気に有名になりました。
トータルフットボールの理想形
しかし、実際にはティキタカの本質は防御力にあります。ティキタカはボールを保持し続けることによって相手に攻撃のチャンスを与えない「守備の戦術」とも言えます。
トータルフットボールを実践したヨハン・クライフの言葉に、「完璧なパスワークの前ではプレッシングは無力だ」というものがあります。
グアルディオラ監督のFCバルセロナは、この理想に近づいたチームでした。
グアルディオラ戦術②ゼロトップ
ゼロトップ戦術とは?
【戦術解説】黄金時代ペップ・バルサ愛用のゼロトップシステムを使おう
この戦術もそれ以前にイタリアのASローマなどが実践しており、グアルディオラ監督が発明したわけではありませんが、グアルディオラ監督がFCバルセロナで見事に機能させたため有名になりました。
ゼロトップ戦術とは、本来はミッドフィルダーやウイングのプレーヤーがセンターフォワードのポジションに入る戦術です。その選手がワイドに流れたり、中盤に下がってきたり、自由な動きを見せるのが特徴です。
ゼロトップを機能させた選手とは?
元来のゼロトップとは、トップの位置に入る選手が自由な動きをすることによってバイタルエリアにスペースを作ることが目的でした。
しかし、メッシをトップに配したグアルディオラ監督のゼロトップは少し意味合いが異なり、圧倒的なドリブル能力を誇るメッシが自らのドリブルするスペースを生み出す目的がありました。
グアルディオラ監督はメッシという特別な存在の能力を最大限に引き出し、クラブの一時代を築きました。
グアルディオラ戦術③偽サイドバック
偽サイドバックとは?
攻撃のビルドアップのときにサイドバックが中央のポジションに入ることで、センターバックとの距離が近くなりパスが安定。
さらに、味方のウイングプレーヤーがプレーするスペースも生まれ、1対1の勝負が仕掛けやすくなります。
また、ボールを奪われた場合にもサイドバックが中央にしぼっていることで相手のカウンターにも対応しやすいというメリットもある戦術です。
別名はアラバロール
グアルディオラ監督がバイエルン・ミュンヘンで偽サイドバックと呼ばれる戦術を生み出したとき、最初にその役割を担ったのがアラバでした。
偽サイドバックの戦術が機能するには選手の特性も重要ですが、アラバはインサイドでのプレーを高いレベルでこなして先駆者的な存在となりました。
そのため、「アラバロール」という言葉が生まれました。
2019年のJリーグ王者横浜F・マリノスも採用
【公式】ゴール動画:エジガル ジュニオ(横浜FM)74分 横浜F・マリノスvsジュビロ磐田 明治安田生命J1リーグ 第13節 2019/5/26
アンジェ・ポステコグルー監督は左サイドバックのティーラトン、右サイドバックの松原健を偽サイドバックとして動かす戦術を見せ、Jリーグ屈指の得点力を発揮。
2019年のJリーグではサイドバックのティーラトンや松原がビルドアップのときに中央のポジションに入ってきて、中盤の選手のようにアシストするシーンも多く、チームの魅力的な攻撃サッカーを支えました。
グアルディオラ戦術の特徴とは?
①試合中の自在なポジションチェンジ
固定された一つのシステム、パターンではなく、相手のシステムや展開によって柔軟に形を変えることで、相手チームは対応が困難になります。
たとえばビルドアップのときにはセンターバックが左右に開いて、その間に中盤からアンカーが最終ラインに下りてきて組み立ての中心を担います。
そのときにサイドバックの選手はボランチの位置に入って「偽サイドバック」の働きをするなど、試合中にさまざまなポジションチェンジが行われます。
②求められるユーティリティ性
そのため、グアルディオラ監督は選手のポジションコンバートや複数のポジションでの起用を積極的に行います。
たとえばバイエルン・ミュンヘン時代には、もともとサイドバックの選手であったフィリップ・ラームをインサイドのポジションで起用。
選手の能力を見極めてポテンシャルを最大限に引き出す采配で成功を収めています。
③グアルディオラ監督はチームも管理する
普段の食事などもかなり管理されており、コンディション面に悪影響を及ぼす可能性のある飲食物は禁止。選手の体重も細かくチェックし、理想体重を大幅にオーバーしていればチームの練習に参加させないこともあります。
グアルディオラ監督の戦術は難易度が高く、選手の高い能力や理解力が求められますが、普段から規律を徹底してコンディションを管理することも重要視されています。
グアルディオラ戦術は進化し続ける
たとえば、バイエルン・ミュンヘン時代に生み出された「偽サイドバック」はマンチェスター・シティでも継続されていますが、選手が違うと全く違う戦術になるといっても良いでしょう。
これからも時代の変化や環境に応じて新たな戦術を見せてくれるであろうグアルディオラ監督のサッカーに注目しましょう!
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