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バイタルエリアとは?徹底解析 【サッカー用語・言葉】

バイタルエリアとは?徹底解析 【サッカー用語・言葉】

サッカーの試合中継でよく聞く「バイタルエリア」という言葉。とても重要な意味があるように使われていますが、では一体バイタルエリアとはサッカーにおいてどのような意味があり、どのように重要なのでしょうか。図による解説で理解しておきましょう。

2022.11.23 サッカー

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公式ライター
CAS


バイタルエリアとは?

バイタルエリアとはサッカー用語

サッカーの試合中継や戦術論などで使われる言葉には流行り廃りがあり、このバイタルエリアという言葉も最近サッカーに関するメディアで頻繁に聞くようになった言葉なのです。

筆者が学生だった頃、サッカーの指導者も使いませんでしたし、サッカーの試合中継でも聞いたことがありませんでした。ちなみにインサイドハーフなども最近の言葉ですね。

では何故このバイタルエリアという言葉がサッカーシーンでよく使われるようになったのか。これはとても使い勝手がいい言葉だからなのです。

以下で詳しく解説していきますが、この言葉の意味一つでオフェンスにしろディフェンスにしろ、簡単に指示しやすく、聞く側も言葉の意味を知っていれば指示の内容が理解しやすいからなのです。

ではサッカーにおいて、どのような意味がバイタルエリアにあるのか、バイタルエリアという言葉に込められたら意味とは何なのか、じっくり見ていきましょう。

バイタルエリアはどこのエリアなのか?

バイタルエリアとはDFラインとMFラインの間

 (6444)

サッカーにおいて一般的にバイタルエリアと言われるのは、縦幅がDFラインとMFラインの間、横幅がペナルティエリアと同幅の四角いエリアのことを意味します。

図によるとわかりやすいですが、あくまで選手間のスペースに存在していて、ピッチ上にあるわけではありません。「ペナルティエリアの前のスペース」ではないのですね。

次の図のように、DFラインが上がればMFのラインも当然上がり、つまりバイタルエリアも一緒に移動します。選手間の一部のスペースをバイタルエリアと呼んでいて、相対的な意味のものだということです。

バイタルエリアはライン位置によって変動する

 (6446)

ですからよくバイタルエリアの説明に「ペナルティエリアの前のスペース」という説明や言葉が使われたりしますが、相手がアタッキングサードまでボールを運んできたら、ちょうどディフェンスラインがペナルティエリア前あたりにくるので、便宜上そのような説明になるわけで、厳密に言えばペナルティエリアは関係なく、DFとMFの間ならどこでもバイタルエリアと言えるのです。

サッカーにおいて、バイタルエリアのケアはペナルティエリアに近づくほど重要になりますから、多くのサッカー指導者はペナルティエリア前のスペースとして、バイタルエリアという言葉を使う訳ですが、厳密な定義ではこれは間違いだということになります。

ただし言葉の定義よりも、実際のサッカーの試合で考えると分かりやすいですが、ペナルティエリア前はシュートレンジ内でもありますからより危険度が高く、その意味を踏まえるなら「ペナルティエリア前のスペース」という表現で説明しても、バイタルエリアとは何かを説明するには十分ではないか、とも言えます。

バイタルエリアの重要な意味とは?

サッカーにおいてバイタルエリアが選手間のスペースだと言うことは理解してもらえたと思いますが、ではなぜペナルティエリア前でのバイタルエリアがクローズアップして語られるのか、その重要性を説明するために以下の状況でのディフェンスを考えてみてもらいましょう。

図1 バイタルエリアで前を向かれると?

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説明を簡単にするためにボランチがいない状況で、バイタルエリアにボールを持った相手が前を向いている図を示しました。
DFラインは4人、相手は3人、数的には有利です。この状態でDFはどう対応することが出来るでしょうか。DF側として考えてみて下さい。

図2 CBがプレスに行く

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相手FWが一人なので、マークしていない方のCBがボールホルダーにプレスをかけるとするとします。放っておけませんからね。

すると相手は前に出たCBの後ろのスペースを狙えます。横とのワンツーでもいいですし、ドリブル突破を仕掛けるのでも良いでしょう。前に出てボールを奪いにいくとDFラインにギャップが出来てしまい、そこを使われてしまうということです。

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サッカーにおいて最終ラインのギャップは最も避けるべき状況です。このようにギャップに生まれたスペースを使われるだけでなく、オフサイドにして止めることもできなくなっているのが分かると思います。

図3 SBがプレスに行く

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CBが出ると危険であれば、SBがプレスに行くのはどうか。

こちらもそのSBの後ろのスペースを使われてしまいますね。サイドですから、即ゴールを狙われる心配は少ないですが、やはり危険です。

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サイドで抜けられると、図のように、結局中央のCBがカバーリングせざるを得ないので、またしても中央にスペースを作ってしまいます。

しかもこの状況はディフェンス側が自分たちのゴールに向かって戻りながらの守備になりますね。図では省略していますが、相手の他のポジションの選手がこの流れに合わせてペナルティエリアに飛び込んできても、戻りながら守備を行っているディフェンス側の選手にはそれが見えません。失点のリスクが高まっているのが分かりますね。

図4 下がることしか出来ない

バイタルエリアで前を向いてボールを持たれたら、無難な選択はもう下がるしか無いことが分かります。

しかし、どこまでも下がるわけにはいきませんし、図であればこれ以上下がると相手はやすやすとペナルティエリアに侵入出来ます。

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また何もしなければ、相手は実に余裕綽々でしっかりと狙いをつけたミドルシュートが放てます。下がれば下がるだけより精度を増したシュートを打たせてしまいます。こうなるとキーパーからは怒号が飛びます。サッカーでフリーの状況を与えて打たせるならば、圧倒的にキッカーが有利です。しかもペナルティエリア前後は絶好のシュートポイントでもありますから、キーパーが怒るのは当然と言えます。

そのような時間的な余裕を与えないようにと考えるならば、即応できるCBが前に出るしか選択する対応策が無いことになりますね。結局図1のようにディフェンスに穴をあけるリスキーな選択を強いられてしまうのです。見事にオフェンスのやりたいように動かされてしまう結果となります。

以上がサッカーにおいてバイタルエリアを重要視する意味になります。

相手はバイタルエリアで前を向いてボールを持っただけのように見えますが、それだけでディフェンス側は選択肢が無くなり、オフェンス側の有利になるようなリスクを取らなければならなくなってしまうのです。

このためにサッカーの戦術上では「バイタルエリア」とは、その言葉にこれだけの危険を含めた意味を持たせているわけです。

バイタルエリアの守り方とは?

サッカーにおけるバイタルエリアという言葉がもつ意味や重要性が理解できたと思いますが、これで終わってしまっては意味がないですね。

サッカーで勝つためにはバイタルエリアの守備が重要なのですから、危険さがわかったところで一歩進み、ではどうやって守ればいいのでしょうか。

図1 バイタルエリアに入れさせない

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前述のDFラインの前に、省いていたボランチを置いてみましょう。これだけでバイタルエリアの危険性を著しく下げることが出来ます。

ボランチがいるだけで相手はバイタルエリアでボールを受けることが難しくなりますね。無理にここで受けたとしても、すぐにボランチが張り付けるので前を向かせることもありません。

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サッカーにおいてボランチが軸になる重要なポジションである意味がここにあるのです。

図2 バイタルエリアへのパスコースを消す

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図はサイドから相手に持ち込まれようとしている局面ですが、CMFのAの位置に注意してください。

Aの選手がバイタルエリアへのパスコースを消しながらサイドッバックの応対をサポートしています。もしサイドから切り込まず、中に向かってドリブルされてもそこでカットに行ける位置に、バイタルエリアへのパスを消しながら動いているわけです。

相手は戻してサイドチェンジするか、強引な突破で、中央のFWと絡んだりクロスまでいけたらいいなぁぐらいの低い成功率に賭けるしか無くなります。

図3 バイタルエリアそのものを小さくする

どちらかというと個人的な対応策を2つ紹介しましたが、これらと複合してよりバイタルエリアの守備を効果的に行うのであれば、バイタルエリアそのものを小さくし、侵入もパスも非常に困難にするために、組織的な対応策もあります。

サッカーの多種多様な戦術でもこれは一貫して行われる対策で、俗に「コンパクトにする」と言いますね。

思い出して下さい、バイタルエリアはどこにあるのでしたか?

そう、DFラインとMFラインの間でしたね。

つまりDFラインを高くして、最終ラインから前線までをコンパクトに保てば、バイタルエリアは自然と狭く小さくなります。サッカーの試合中に監督などが大声やジェスチャーでラインを上げるよう促しているのは、このためなのです。

下の図を見てもらうとよくわかりますが、なんとなくそれなりのポジションに守備側がいるように見えますが、全体的にボールへの寄りが甘く、バイタルエリアが広いため、ここにボールを入れられて前を向かれると決定的なチャンスを作られやすい状況です。

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この状態をより固い守備にするために、全体をコンパクトにしバイタルエリアを狭くすることで、相手が攻めにくい状況にします。そのためのポジション修正図が下の図になります。
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全体的にボールサイドに寄ることによって、バイタルエリアの横幅も実質的に狭めることができますし、お互いをカバーリングしやすい距離間になります。このためには、DFラインとMFラインが組織として連携がとれていなければなりませんし、選手一人一人がバイタルエリアの守備に関する知識を共有している必要があります。
以上が基本的なバイタルエリアの守り方となります。実際のサッカーの得点シーンを観ると、上に上げたような動きや考え方による守備が間に合わず失点していることがほとんどです。

特にペナルティエリア近辺ではどうしてもシュートを警戒せねばならず、より的確な判断力と対応力が求められます。

また、守備は個人では行えないですが、全員が同じような意識でディフェンスを行えるようにまで組織化するのは非常に難しいですし、時間がかかります。ですが、日々の練習の積み重ねが確実に出てくるものでもあります。

バイタルエリアの攻め方とは?

ここまででサッカーにおけるバイタルエリアの意味とその守り方の基本的な考え方が見えてきたと思います。

さらに一歩進みましょう。サッカーは得点しなければ負けないことは出来ますが勝つことは出来ません。サッカーにおけるバイタルエリアの守備が分かったということは、バイタルエリアをどのように攻めることが大事かすぐに理解出来るはずです。

以下の記事を参考にして下さい。

サッカー用語バイタルエリアのまとめ

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この記事によって、サッカーにおけるバイタルエリアとは何か、そしてそのバイタルエリアの重要性が理解できたことと思います。サッカーの攻撃や守備が全て「バイタルエリアをどうするか」から始まっており、その言葉一つで、今何をしなければいけないのかが分かる言葉なのです。

またサッカーというスポーツがある種のパズル要素を持っていることにも気付けた方はいないでしょうか。サッカーの戦術とはバイタルエリアを主軸にしたパズルのように複雑に成り立っていますが、バイタルエリアからサッカーの戦術を考えてみると、驚くほど単純でもあるのです。

サッカー経験者の方であれば、すでに感覚としてバイタルエリアの重要性を知っておられた方もいると思いますが、この記事によって言葉として理解を深められたら、更にサッカーの深みが感じられてより一層サッカーを好きになれるのではないかと考えております。

そしてサッカーに興味があり、サッカー用語についての疑問を持ちながら訪れた方には、今後のサッカーの試合観戦や分析などの面で、チームの戦術の狙いやバイタルエリアでの駆け引きなど、サッカー楽しく観る助けになれば幸いに感じます。

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