バイタルエリアとは?徹底解析 【サッカー用語・言葉】
サッカーの試合中継でよく聞く「バイタルエリア」という言葉。とても重要な意味があるように使われていますが、では一体バイタルエリアとはサッカーにおいてどのような意味があり、どのように重要なのでしょうか。図による解説で理解しておきましょう。
Writer
公式ライター CAS
バイタルエリアとは?
バイタルエリアとはサッカー用語
筆者が学生だった頃、サッカーの指導者も使いませんでしたし、サッカーの試合中継でも聞いたことがありませんでした。ちなみにインサイドハーフなども最近の言葉ですね。
では何故このバイタルエリアという言葉がサッカーシーンでよく使われるようになったのか。これはとても使い勝手がいい言葉だからなのです。
以下で詳しく解説していきますが、この言葉の意味一つでオフェンスにしろディフェンスにしろ、簡単に指示しやすく、聞く側も言葉の意味を知っていれば指示の内容が理解しやすいからなのです。
ではサッカーにおいて、どのような意味がバイタルエリアにあるのか、バイタルエリアという言葉に込められたら意味とは何なのか、じっくり見ていきましょう。
バイタルエリアはどこのエリアなのか?
バイタルエリアとはDFラインとMFラインの間
図によるとわかりやすいですが、あくまで選手間のスペースに存在していて、ピッチ上にあるわけではありません。「ペナルティエリアの前のスペース」ではないのですね。
次の図のように、DFラインが上がればMFのラインも当然上がり、つまりバイタルエリアも一緒に移動します。選手間の一部のスペースをバイタルエリアと呼んでいて、相対的な意味のものだということです。
バイタルエリアはライン位置によって変動する
サッカーにおいて、バイタルエリアのケアはペナルティエリアに近づくほど重要になりますから、多くのサッカー指導者はペナルティエリア前のスペースとして、バイタルエリアという言葉を使う訳ですが、厳密な定義ではこれは間違いだということになります。
バイタルエリアの重要な意味とは?
図1 バイタルエリアで前を向かれると?
図2 CBがプレスに行く
すると相手は前に出たCBの後ろのスペースを狙えます。横とのワンツーでもいいですし、ドリブル突破を仕掛けるのでも良いでしょう。前に出てボールを奪いにいくとDFラインにギャップが出来てしまい、そこを使われてしまうということです。
図3 SBがプレスに行く
こちらもそのSBの後ろのスペースを使われてしまいますね。サイドですから、即ゴールを狙われる心配は少ないですが、やはり危険です。
しかもこの状況はディフェンス側が自分たちのゴールに向かって戻りながらの守備になりますね。図では省略していますが、相手の他のポジションの選手がこの流れに合わせてペナルティエリアに飛び込んできても、戻りながら守備を行っているディフェンス側の選手にはそれが見えません。失点のリスクが高まっているのが分かりますね。
図4 下がることしか出来ない
しかし、どこまでも下がるわけにはいきませんし、図であればこれ以上下がると相手はやすやすとペナルティエリアに侵入出来ます。
そのような時間的な余裕を与えないようにと考えるならば、即応できるCBが前に出るしか選択する対応策が無いことになりますね。結局図1のようにディフェンスに穴をあけるリスキーな選択を強いられてしまうのです。見事にオフェンスのやりたいように動かされてしまう結果となります。
相手はバイタルエリアで前を向いてボールを持っただけのように見えますが、それだけでディフェンス側は選択肢が無くなり、オフェンス側の有利になるようなリスクを取らなければならなくなってしまうのです。
このためにサッカーの戦術上では「バイタルエリア」とは、その言葉にこれだけの危険を含めた意味を持たせているわけです。
バイタルエリアの守り方とは?
サッカーで勝つためにはバイタルエリアの守備が重要なのですから、危険さがわかったところで一歩進み、ではどうやって守ればいいのでしょうか。
図1 バイタルエリアに入れさせない
ボランチがいるだけで相手はバイタルエリアでボールを受けることが難しくなりますね。無理にここで受けたとしても、すぐにボランチが張り付けるので前を向かせることもありません。
図2 バイタルエリアへのパスコースを消す
Aの選手がバイタルエリアへのパスコースを消しながらサイドッバックの応対をサポートしています。もしサイドから切り込まず、中に向かってドリブルされてもそこでカットに行ける位置に、バイタルエリアへのパスを消しながら動いているわけです。
相手は戻してサイドチェンジするか、強引な突破で、中央のFWと絡んだりクロスまでいけたらいいなぁぐらいの低い成功率に賭けるしか無くなります。
図3 バイタルエリアそのものを小さくする
サッカーの多種多様な戦術でもこれは一貫して行われる対策で、俗に「コンパクトにする」と言いますね。
思い出して下さい、バイタルエリアはどこにあるのでしたか?
そう、DFラインとMFラインの間でしたね。
つまりDFラインを高くして、最終ラインから前線までをコンパクトに保てば、バイタルエリアは自然と狭く小さくなります。サッカーの試合中に監督などが大声やジェスチャーでラインを上げるよう促しているのは、このためなのです。
下の図を見てもらうとよくわかりますが、なんとなくそれなりのポジションに守備側がいるように見えますが、全体的にボールへの寄りが甘く、バイタルエリアが広いため、ここにボールを入れられて前を向かれると決定的なチャンスを作られやすい状況です。
特にペナルティエリア近辺ではどうしてもシュートを警戒せねばならず、より的確な判断力と対応力が求められます。
また、守備は個人では行えないですが、全員が同じような意識でディフェンスを行えるようにまで組織化するのは非常に難しいですし、時間がかかります。ですが、日々の練習の積み重ねが確実に出てくるものでもあります。
バイタルエリアの攻め方とは?
さらに一歩進みましょう。サッカーは得点しなければ負けないことは出来ますが勝つことは出来ません。サッカーにおけるバイタルエリアの守備が分かったということは、バイタルエリアをどのように攻めることが大事かすぐに理解出来るはずです。
以下の記事を参考にして下さい。
サッカーオフェンスのコツ!基本的な攻撃技術から練習方法 – Activeる!
サッカー用語バイタルエリアのまとめ
またサッカーというスポーツがある種のパズル要素を持っていることにも気付けた方はいないでしょうか。サッカーの戦術とはバイタルエリアを主軸にしたパズルのように複雑に成り立っていますが、バイタルエリアからサッカーの戦術を考えてみると、驚くほど単純でもあるのです。
サッカー経験者の方であれば、すでに感覚としてバイタルエリアの重要性を知っておられた方もいると思いますが、この記事によって言葉として理解を深められたら、更にサッカーの深みが感じられてより一層サッカーを好きになれるのではないかと考えております。
そしてサッカーに興味があり、サッカー用語についての疑問を持ちながら訪れた方には、今後のサッカーの試合観戦や分析などの面で、チームの戦術の狙いやバイタルエリアでの駆け引きなど、サッカー楽しく観る助けになれば幸いに感じます。
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