ランジとは足を前後に開いて行う屈伸運動の筋トレのことで、大殿筋や大腿四頭筋を鍛えお尻や太ももを力強く引き締める効果があるエクササイズです。ランジは20種類以上のバリエーションがあり、フロントランジやサイドランジ、リバースランジは特に知られています。
ランジとは?
ランジとは筋力トレーニングの基本的エクササイズで、スクワットと並んで人気があります。フォームは足を前後に開いて、膝を屈伸させて下半身の筋力バランスを整え、体幹や筋力強化ができるエクササイズです。
ランジの効果
ランジの効果とは下半身を鍛錬することによりお尻回りや太ももの筋肉が鍛えられて、下半身が引き締まり体幹が強化され基礎代謝もあがるとです。さらにハムストリングの筋膜を伸ばすことによって柔軟性も高めることができます。
スクワットとの違い
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ランジ |
スクワット |
フォーム |
片足を前に出し屈伸 |
足を肩幅に開き屈伸 |
鍛えられる部位 |
大腿四頭筋・ハムストリングに加え大殿筋などお尻回り中心 |
大腿四頭筋・ハムストリングなど太もも中心 |
メリット |
フォームのバリエーションが豊富・重心移動による体幹強化 |
バランスが安定しているので高負荷重量が可能 |
スクワットとランジの最大の違いはフォームです。スクワットは足を並行に、ランジは足を前後にセットします。もしバランスをとることが難しい場合は、スクワットで筋力をつけてからランジにチャレンジすることをおすすめします。
双方メリットがありますので、スクワットとランジを組み合わせたトレーニングを取り入れてまんべんなく下半身の強化を行えば、スポーツのパフォーマンス向上や日常生活における動作の向上に効果的です。
ランジで鍛えることができる部位
ランジによって鍛えられる部位は大殿筋やハムストリング、大腿四頭筋、下腿三頭筋や太もも、ふくらはぎの複数の筋肉です。体勢が不安定になると腹筋に力を入れてバランスをとるので体幹も強化されます。
大臀筋
大殿筋はお尻回りの筋肉のことで、ランジで使う最大の単一筋肉です。ランジの動作は上体が不安定になるので安定を保つためにスクワット以上にお尻の筋肉を使うので大殿筋が鍛えられ、お尻が引き締りヒップアップ効果が期待できます。
大腿四頭筋
大腿四頭筋は太もも前側にある筋肉部位のことです。大腿四頭筋を強くすることは力強く歩けることにつながります。膝を伸ばして2足歩行に必要な動作をスムーズに機能させるために発達した筋肉が大腿四頭筋です。片足を前に踏み出す動作が太もも前側を刺激し効果的に筋肉が増強されます。
ハムストリング
ハムストリングは太もも裏側にある筋肉のことです。足を前後に開いて太ももが床と平行になるまで屈伸してハムストリングを強化します。大殿筋を支えるハムストリングが強くなればお尻の引き締めに効果的です。
下腿三頭筋
下腿三頭筋とは膝から下の筋肉の総称です。足首に近い部位はヒラメ筋で、ふくらはぎの盛り上がった部位は腓腹筋といいます。後ろに足を伸ばしたときつま先で体を支えるのでふくらはぎに力が入り、下腿三頭筋が強化されます。
腸腰筋
腸腰筋は身体の中心部にあり、上半身と下半身をつなぐ役割を持った重要な筋肉です。小腰筋・大腰筋・腸骨筋の3つの筋肉からなり、体内の深いところにあることからインナーマッスルと呼ばれています。
ランジの動作では骨盤を正面に向けて背筋を垂直に保って屈伸をおこなうことが、腰回りの筋肉を刺激し腸腰筋を鍛えるために重要なポイントです。
ランジの種類21選
ランジトレーニングは大殿筋と大腿四頭筋を効果的に鍛えられる筋トレの代表的エクササイズです。集中的に鍛えたい部位によってトレーニングの方法も変わってきますので、バリエーションに富んだトレーニングメニューを組み立てることも可能です。
1.スタティックランジ
レベル |
基本 |
効果のある筋肉 |
大殿筋・大腿四頭筋・ハムストリング |
特徴 |
足を踏み込む動作がないので負荷は軽め |
スタティックランジは両足を前後に大きく開き固定して、そのまま屈伸運動を繰り返し実施します。足を移動させないのでバランスがとれやすい筋トレです。
2.フロントランジ
レベル |
基本 |
効果のある筋肉 |
大殿筋・大腿四頭筋・ハムストリング |
特徴 |
重心移動があるので負荷は強め |
フロントランジは片足を前方に踏みこみ膝を90度まで曲げて、下半身のいくつかの筋肉を連動させて鍛えるエクササイズです。動作中バランスを保つために力が入るので体幹も強化されます。
3.リバースランジ(バックランジ)
レベル |
基本 |
効果のある筋肉 |
大腿四頭筋・大殿筋 |
特徴 |
前方足の膝の負担が軽い |
リバースランジはフロンランジとは逆に足を後方に引いてトレーニングします。大殿筋やハムストリングをより強く刺激し大腿四頭筋を鍛えるエクササイズです。フロントランジよりバランスが取りやすいので、上体が不安定になる人はリバースランジから取り組むことをおすすめします。
4.サイドランジ(ラテラルランジ)
レベル |
基本 |
効果のある筋肉 |
大腿四頭筋・ハムストリング・大殿筋 |
特徴 |
重心を傾けた側に強い負荷がかかる |
サイドランジは真横に足を踏み出して屈伸を行い、大臀筋、ハムストリング、大腿四頭筋、中臀筋を鍛えるエクササイズです。サイドランジは特に内転筋群に効くので、スポーツの横の動きの強化に役立ちます。
5.クロスランジ(ドロップランジ)
レベル |
中級 |
効果のある筋肉 |
大殿筋・大腿四頭筋 |
特徴 |
足をクロスさせるため大殿筋の負荷が高まる |
クロスランジは足を斜め後ろに交差して腰を落とすエクササイズです。初心者はバランスの取り方が難しいので、バックランジが慣れたら取り組みことをおすすめします。大殿筋や中殿筋に効くのでヒップのラインを整えるのによいエクササイズです。
6.ウィンドミルランジ
レベル |
中級 |
効果のある筋肉 |
腹斜筋 |
特徴 |
片膝を床に付けておこなう |
ウィンドミルランジは上体を真横に倒して横腹を鍛えるトレーニングです。直立しておこなう方法もありますが、片膝でおこなうと大殿筋も鍛えられます。バランスと腹斜筋の鍛錬に向いた筋トレです。
7.ウォーキングランジ
レベル |
中級 |
効果のある筋肉 |
大殿筋・大腿四頭筋・ハムストリング |
特徴 |
筋トレと有酸素運動を兼ねている |
ウォーキングランジとは歩きながらフロントランジをおこない、大殿筋や大腿四頭筋を鍛える筋トレです。有酸素運動や股関節の可動域を広げる効果もあります。
8.ランナーズランジ
レベル |
初級 |
効果のある筋肉 |
ハムストリング・大腿四頭筋 |
特徴 |
静的ストレッチとして使える |
ランナーズランジは短距離ランナーがスタートするときのフォームに似ていることから呼ばれています。ポイントは静止状態からハムストリングやアキレス腱を伸ばし、股関節のストレッチ効果を高めることです。
9.クロックランジ
レベル |
上級 |
効果のある筋肉 |
大殿筋・大腿四頭筋・ハムストリング・腸腰筋 |
特徴 |
片足を時計の文字盤のように動かしてバリエーションランジをこなす |
クロックランジは足を前・斜め・横・後ろ・斜め後ろと順番に入れ替えて、ランジをおこなうバリエーションに富んだエクササイズです。運動量が多いので脂肪燃焼効果が高く、重心の移動も瞬時におこなうのでバランス感覚と体幹の強化に効果があります。
10.スライディングランジ
レベル |
中級 |
効果のある筋肉 |
大殿筋・ハムストリング・腹筋 |
特徴 |
足をスライドさせて鍛える点 |
スライディングランジは後ろへ脚をスライドさせながら足腰を鍛えるトレーニングです。運動は激しくありませんが、ゆっくりと足を延ばして腰を落とすので、腹筋や大殿筋、太ももがじわじわと鍛えられていきます。
11.ジャンピングランジ
レベル |
上級 |
効果のある筋肉 |
大腿四頭筋・下腿三頭筋・腸腰筋 |
特徴 |
ランジ種目中、最も負荷強度なエクササイズ |
ジャンピングランジは足を交互に変えるランジをジャンプして空中でおこなう筋トレです。運動量が激しいので下半身の筋力がより強化され、瞬発力と持久力の向上も望めます。
12.ウィンドミル・ジャンピングスクワット
レベル |
上級 |
効果のある筋肉 |
大殿筋・大腿四頭筋・腸腰筋・腹斜筋 |
特徴 |
ジャンピングランジと並んで負荷強度なエクササイズ |
ウィンドミル・ジャンピングスクワットはジャンプしながら空中で体をひねって腹斜筋や腹直筋、大腿四頭筋を鍛えるトレーニングです。バランスの難易度も増すので体幹強化の効果があります。
13.ニーレイズリバースランジ
レベル |
上級 |
効果のある筋肉 |
腸腰筋・大殿筋・大腿四頭筋 |
特徴 |
膝を上げることで体幹が強化される |
ニーレイズリバースランジはバックランジと膝上げの複合型によるハードなトレーニングです。ニーレイズによって大腿四頭筋の鍛錬になり、バランスが要求されるので体幹力も強化されます。
14.ダンベルランジ
レベル |
中級 |
重量負荷 |
2kg~5kg |
効果のある筋肉 |
大腿四頭筋・大殿筋 |
特徴 |
ダンベルの重さにより大腿四頭筋がより強化される |
ダンベルランジはフロントランジをダンベルを両手に持っておこなう運動です。ダンベルの負荷が加わることで下半身全体の筋力がいっそう強化されます。
15.ダンベルオーバーヘッド・ウォーキングランジ
レベル |
上級 |
重量負荷 |
2kg~5kg |
効果のある筋肉 |
大腿四頭筋・大殿筋・腸腰筋・腹筋・三角筋 |
特徴 |
体幹や全身のバランス強化に最適 |
ダンベルオーバーヘッド・ウォーキングランジは、両手でダンベルを頭上に持ち上げて前方へ進んで下半身と上半身を鍛えるトレーニングです。重量物を持ちながらのウォーキングランジはボディバランスが強化されますので、幅広い競技のアスリートがトレーニングに取り入れています。
16.ダンベルクロスランジ
レベル |
上級 |
重量負荷 |
2kg~5kg |
効果のある筋肉 |
大殿筋・大腿四頭筋・腹斜筋 |
特徴 |
ダンベルの負荷を加えたクロスランジ |
ダンベルを両手にぶら下げ足を交差しておこなうランジがダンベルクロスランジです。負荷が加わって姿勢が不安定になるので体幹強化の効果もあります。
17.フロントランジ・ツイスト
レベル |
中級 |
効果のある筋肉 |
大腿四頭筋・腹斜筋・ハムストリング |
特徴 |
捻ることでお腹周りのシェイプアップ効果あり |
フロントランジ・ツイストはフロントランジの動きに腰のひねりを加えたエクササイズです。体幹のひねりを加えて腹斜筋も鍛えることができます。
18.ランジ&リーチ
レベル |
中級 |
重量負荷 |
2kg~5kg |
効果のある筋肉 |
腹筋・大腿四頭筋・ハムストリング |
特徴 |
上体を前傾させてハムストリングと腹筋に刺激を与える |
ランジ&リーチはフロントランジに腕を伸ばす動作を加えて、大殿筋とハムストリングに刺激を与え股関節の可動性と柔軟性を高めるエクササイズです。上体を前傾させて腕を伸ばし、腹筋や股関節強く刺激します。
19.リーチサイドランジ
レベル |
上級 |
効果のある筋肉 |
腹斜筋・大殿筋・内転筋・ハムストリング |
特徴 |
足の方向を変えてバリエーションをつけるとより効果的 |
リーチサイドランジはサイドランジに腕を伸ばす動作を加えて、大殿筋や太もも強化と内ももや股関節の柔軟性を高めるエクササイズです。
20.エレベーターランジ
レベル |
上級 |
効果のある筋肉 |
大殿筋・大腿四頭筋 |
特徴 |
バランス強化にも役立つ |
エレベーターランジは片足を椅子やソファに置いて、段差による負荷をかけたエクササイズです。軸足が高い位置にあり、トレーニングする足に体重がかかるのできつさがさらに増します。
21.スーツケース・ランジ
レベル |
上級 |
効果のある筋肉 |
大腿四頭筋・大殿筋・腹筋・腹斜筋 |
特徴 |
重量が片側だけなのでアンバランスな状態 |
スーツケースランジとは片手でウエイトを持ちフロントランジをおこなう運動です。重心がウエイトを持った側に傾きやすく、矯正するために強い体幹が必要とされます。体幹周辺の筋肉を鍛えるのに適したトレーニングです。
ランジトレーニングのコツ
ランジトレーニングはスクワットと違い、足を前後に開いて屈伸するためバランスを崩しやすいエクササイズです。まずスクワットに慣れてからランジにチャレンジすることをおすすめします。
ランジの効果を上げるためには正しいフォームを体に覚え込ませることも必要です。自分の体力に合ったセット回数やバリエーションを取り入れる必要があります。
正しいフォームの身に付け方
ランジの正しいフォームを身につけるためには、以下の3つのチェックポイントを意識して行ってください。鏡で全身を確認しながら6秒から10秒くらいかけてゆっくりとおこなうとよいでしょう。
1..猫背にならないこと。
2.反り腰にならないこと。
3.膝がつま先より出ないこと.
チェックポイントに注意し矯正しながらトレーニングをおこなえば、正しいフォームが身についていき、目標の筋肉に刺激を与えることができます。
効果的なセット数のこなし方
自重でおこなう筋トレはできるだけ回数を多くこなすことが、筋力増強や脂肪燃焼効果を高めるために必要です。ランジも回数は自分がおこなえる限界の80%を目安に合計回数を出し、それを3分割して30秒から45秒のインターバルを挟んで3セットおこなうことを想定します。
セット数の例
・1セット15回~20回×3セット
慣れてきたらセット当たりの回数を増やすかセット数を増やすことでレベルを上げていきます。
バリエーションの取り入れ方
種目 |
セット数 |
インターバル |
1.フロントランジ |
左右10回×1セット |
30秒 |
2.サイドランジ |
左右10回×1セット |
30秒 |
3.クロスランジ |
左右10回×1セット |
30秒 |
4.ウインドミル・ジャンピングスクワット |
10回×1セット |
30秒 |
バリエーションを取り入れて複合的なランジトレーニングをおこなうと、さまざまな筋肉の部位が刺激されてバランスよく下半身を鍛えることが可能です。
例として上記の4種目を取り上げます。番号順に1~4まで指示セット数をこなしていきます。インターバルは各種目間で30秒です。慣れてきたら2巡、3巡とこなしていけると筋力強化、持久力強化に大変効果があります。4種目終了後のインターバルは長めに2分前後とってもOKです。
ランジフォームによる効果的なストレッチ
ランジのフォームは股関節やハムストリングを伸ばす姿勢が多いので、筋トレ後のクールダウン用のストレッチやヨガのポーズに取り入れられています。
ローランジ
ローランジは股関節とハムストリングをよく伸ばせる静的ストレッチです。お風呂上りやトレーニング後のクールダウンのときにおこなうことをおすすめします。
手順
1.よつん這いの姿勢を取り、骨盤を正面に向け片足を後方へまっすぐ伸ばす。
2.前足の膝は90度以上曲げ体重をかける。両手は前足の両脇に置く。
3.上体を1直線上に保ち30秒キープし足を交換して同様のポーズでおこなう。
ランジバックベント
ランジバックベントのフォームは両足を前後に大きく開き、両手を上げて背中を反るポーズをとります。股関節やハムストリングのストレッチに加えて肩関節や肩甲骨のストレッチもおこなうエクササイズです。
手順
1.ローランジ同様の姿勢から後方の膝を床から離す。
2.両手を真っすぐ前方から肩を回すように上に上げ、背筋をそらして伸びを感じる。
3.10秒キープしたら体勢を入れ替えて反対側もおこなう。
ランジで引きしまった下半身を目指そう
ランジとは自体重で誰でも簡単に始められる筋トレです。大殿筋や大腿四頭筋を鍛えることによって下半身が引き締まり体幹も強くなります。トレーニングの場所も選ばないので、自分に合ったバリエーションでトレーニングメニューを組んでランジを始めてみませんか。